優しく、哀しい、嘘をついた
TVアニメ第一期が2008年に放送を開始、今年10周年を迎えた「夏目友人帳」が劇場版アニメーションとして映画化され、9月29日(土)に全国公開となる。
TVアニメ同様に神谷浩史、井上和彦ら主要キャスト、制作スタッフらが惜しみなく力を発揮しているのはもちろん、本作が声優初挑戦となるバイきんぐ、高良健吾、島本須美ら豪華ゲストキャストを新たに迎え、主題歌には包容力のある歌声と神秘的な存在感が注目を集めるUruを起用した。更に魅力を増した本作は、10年間の集大成の一つと言えるだろう。
原作である累計1300万部のベストセラー漫画「夏目友人帳」(白泉社/月刊LaLa連載)の作者・緑川ゆき監修による完全オリジナルエピソードにも注目だ!
ストーリー
主人公・夏目貴志(声:神谷浩史/藤村歩)は、小さい頃から変なものが見えた。“妖(あやかし)”と呼ばれるそれらが見えることで、人と距離を感じ孤独を味わってきた夏目は、同じく妖を見ることができた祖母・夏目レイコ(声:小林早苗)が遺した「友人帳」を受け継ぐ。レイコとの勝負に負けた妖の名前が書かれた契約書の束であり、妖達を統べることができる「友人帳」を狙う妖も多い。かつてはその一人であり、現在は夏目の自称用心棒であるニャンコ先生(声:井上和彦)と共に妖達に名前を返しながら、妖そして周囲の“人々”との交流を通じ夏目が戸惑いながらも成長していく日常を描く。
《劇場版ストーリー》妖達に名前を返すせわしない日々を送る夏目は、小学生時代の同級生・結城大輔(声:村瀬歩)との再会で妖に関する苦い記憶を思い出す。ある日、名前を返した妖怪の記憶に現れた女性・津村容莉枝(声:島本須美)と知り合いになる。祖母・レイコを知る彼女と一人息子の椋雄(声:高良健吾)との交流に和やかな気持ちになる夏目だったが、二人の暮らす街にいる謎の妖が気にかかる。その妖について調べた帰り道、ニャンコ先生が身体につけて帰ってきた種が庭先で成長し一晩で実をつけた。自分の姿に似た実を食べてしまったニャンコ先生がなぜか三つに分裂?!可愛らしい姿になってしまって・・・? |
劇場版の見どころをレビュー!
『夏目友人帳』の大きな魅力は、優しさと切なさがあふれるストーリーだ。一話に少なくとも一つは、思わず涙を流さずにはいられない場面があるのではというほどで、劇場版でもその魅力は健在だ。本作のキーワードの一つとも言える「嘘」。人なら誰しもが「嘘」にまつわる苦い思い出を持つことだろう。しかし、『夏目友人帳』という物語によって紡がれた「嘘」は驚くほど温かく心を震わせる。主人公・夏目の変化にも注目だ。妖に名前を返すたびに夏目は祖母・レイコの面影を見る。妖が見えるレイコの孤独や諦めに同調することが多かった夏目が、本作ではむしろ客観的にレイコをみ“夏目貴志”として妖そして人に向き合おうとする姿に胸が温かくなる。夏目を慕う妖達や人々とのやり取りも微笑ましい。また、レイコが手元に残した“一つの鈴”からレイコにも新たな一面が垣間見える。『夏目友人帳』という物語の本質が丁寧に描かれた本作は、原作・アニメどちらも観たことがない人でももちろん楽しめる。しかし、映画を観た後に(もちろん先でもいいのだけれど、スクリーンで見逃さないために)全て観ることをオススメしたい。観たことがある人は原作漫画・TVアニメ―ション共に第一話からもう一度見返したいと感じるだろう。
夏が終わり秋の始まりを感じさせる本編と並行するかのように、9月下旬に公開される本作は、この秋冬一番の感動を与えてくれるに違いない。
[ライター: 宮﨑 千尋]
『劇場版 夏目友人帳 ~うつせみに結ぶ~』予告篇
キャストコメント
神谷 浩史 <夏目貴志 役>とにかく楽しく、そして丁寧にアフレコをさせていただきました。 |
井上 和彦 <ニャンコ先生・斑 役>
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小林 早苗 <夏目レイコ 役>大きなスクリーンで夏目友人帳の世界を堪能できる! |
藤村 歩 <夏目貴志(少年時代) 役>劇場版で少年夏目くんをまた演じることができて、とても嬉しいです。 |
堀江 一眞 <田村要 役>今回初の劇場版作品ということで、キャスト陣は勿論、スタッフ陣もいつも以上の緊張感を持って、いつも通り気持ちを込めて収録が出来たと思います。 |
佐藤 利奈<多軌透 役>多軌を演じている私的には…あのお方の可愛さが大爆発でした…!あぁ、多くを語れないのがもどかしい…! |
石田 彰<名取周一 役>今回登場する妖怪の素性が、本当にこの作品らしくて期待を裏切りません。 |
ゲストキャストコメント
高良 健吾<津村椋雄 役>好きな作品でしたので、劇場版に出演する機会をいただき、とても嬉しく思っています。 |
島本 須美<津村容莉枝 役>初めての劇場作品、おめでとうございます。 |
村瀬 歩<結城大輔 役>幼いときに生じてしまった小さな綻び、「見える」という嘘がその後気まずく妙にリアルに描かれていて刺さりました。その昇華も含め、爽やかに描かれています。是非ご期待ください! |
小峠 英二 (バイきんぐ)<もんもんぼう 役>アニメどころかアフレコに参加することが初めてだったので、戸惑いつつも楽しんで演じました。 |
西村 瑞樹 (バイきんぐ)<六本腕 役>ずっとアニメ作品に参加したいと思っていたので、出演が決まってめちゃめちゃ嬉しかったです。 |
『劇場版 夏目友人帳 ~うつせみに結ぶ~』主題歌「remember」
Uru コメント原作と劇場版のお話を全て読ませて頂き、人間と妖の話なのだけれど、私達が生きていく上で経験する、出会いと別れが根本にあり、孤独や寂しさ、人の優しさや愛情など、全てが詰め込まれた本当に感動の名作だなと感じました。お子さんだけでなく大人の方にも是非観て頂きたい作品です。 そして、それ故、主題歌もそれに添うものでありたいと思いました。必ず誰もが一度は経験する出会いや別れ、その時の心の動きや背景を曲を聴いた方がご自分の経験と重ね合わせた時に、何か温かい気持ちになれるような、そんな意味も込めて制作しました。劇場で感じて頂ければ嬉しいです。 |
Uru プロフィール聞く人を包み込むような歌声と、神秘的な存在感で注目を集めるシンガー。 2013年よりYouTubeチャンネルを立ち上げ、様々なジャンルの楽曲をカバーする事をスタート。100本に及ぶ動画をアップし続けた結果、デビュー時点で総再生回数は4400万回以上、チャンネル登録者は14万人越えとなり、新人にも関わらず幅広い世代から支持を得る存在となる。 2016年6月1stシングル「星の中の君」でソニー・ミュージックよりメジャーデビュー。 コンスタントにリリースを重ね1stアルバム「モノクローム」を2017年12月にリリース。早耳のリスナーからの支持は、メジャーデビューを経て様々なメディアやSNSで顕在化し、日々新しいファンを獲得している。 ドレープ状の幕が幾重にも重ねられた幻想的なステージも話題を呼んでおり、限られた本数しか行っていないライブは毎回チケットが即完売している。 |
『劇場版 夏目友人帳 ~うつせみに結ぶ~』完成披露上映会舞台挨拶
2018年9月8日(土) @ユナイテッド・シネマ アクアシティお台場
映画作品情報
<スタッフ>
総監督: 大森貴弘
監督: 伊藤秀樹
サブキャラクターデザイン: 萩原弘光
音楽: 吉森 信
<キャスト>
結城大輔:村瀬 歩
西村 悟: 木村良平
瓜姫: 樋口あかり
牛顔の中級妖怪: 下崎紘史
六本腕の妖怪: 西村瑞樹(バイきんぐ)
津村容莉枝: 島本須美
© 緑川ゆき・白泉社/夏目友人帳プロジェクト