映画『メン・イン・キャット』(原題: NINE LIVES)
猫になったワンマン社長、家族へ贈る最高のプレゼント
《ストーリー》
トム(ケヴィン・スペイシー)は、幼い娘(マリーナ・ワイズマン)や愛する妻(ジェニファー・ガーナー)を顧みる時間もない、仕事一筋のワンマン社長だ。娘の誕生日の夜トムは、部下の企てにより自社の超高層ビルから落下してしまう。病院で目覚めると、トムの目に映ったのは瀕死状態の自分自身。一緒に落ちたのは、娘のプレゼントにと買った猫だった。その猫の中に、トムの中身が入ってしまったのだ。会社では、トムが入院している間に会社をのっとろうと従業員たちが策略する。猫になったトムは、仕事でなく家族が一番の時間を過ごす内、その大切さを再認識する。人間に戻り、失っていた家族との絆を取り戻すべく、奔走する。
《みどころ》
映画のタイトルから察する人も多いだろう。本作は、1997年に公開された大ヒット映画『メン・イン・ブラック』(Men in Black)の監督を務めたバリー・ソネンフェルドが手がけるコメディだ。
やけ酒にウイスキーを飲んで酔っ払った猫トムの千鳥足や、メッセージを書くべく万年筆の蓋を一生懸命開けようとする動きは、6匹もの猫の名演技とVFX技術の融合である。見かけが愛らしい猫が、人間よりも人間らしさを見せるアクションに笑いを誘われる。
ケヴィン・スペイシーは、人間のトムと猫の中に入り戸惑いながらその本能が隠し切れない、猫トムの声の両方を演じている。彼の出演作で多数をしめるシリアスな役柄とは異なる、ユーモアたっぷりの演技にも注目だ。
トムは初め猫になったことに戸惑い、自分が家主のトムであることを家族に知らせようと躍起になる。しかし、瀕死状態のトムに悲しみや不安でいっぱいの家族を前に、ペットの猫として自分にできることはなんだろうかと考える。落ち込む妻の隣にそっと寄り添い毛を撫でさせてみたり、娘にいじわるをする友達の携帯を奪いトイレに水没させてみたり。トムは、猫になったことで思いがけず、新たな家族の喜びや悲しみを目にする。トムに守られるばかりでなく、互いに守り合いたいという家族の思いを、初めて素直に受け入れるのだ。
頑固なトムに、自分の父親を重ねる人もいるだろう。猫に変わるまで気づくことができない、そんな不器用な愛を抱えているのかもしれない。
[ライター: 宮﨑 千尋]
映画『メン・イン・キャット』予告篇
映画作品情報
原題: NINE LIVES
配給: アスミック・エース株式会社
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TOHOシネマズ シャンテほか 全国ロードショー!