中条あやみ、西野七瀬、堀田真由、森川葵 インタビュー
スクリーンに映るすべてに意図が潜む
「役者の目線を追ってみて」
とある山荘に集められたのは、劇団に所属する男女7名の俳優たち。新作舞台の主役の座をかけた最終オーディションで彼らが演じるシナリオは「大雪で外部との接触が断たれた山荘」という架空の設定で起こる連続殺人事件。演出家より遠隔で指示されるシナリオを演じ続けるうち、一人、また一人と山荘から姿を消していく。
果たしてこれは、フィクションか?それとも本当の連続殺人か?彼らを待ち受ける衝撃の結末とは――。
東野圭吾が1992年に発表した、長編小説を実写映画化した映画『ある閉ざされた雪の山荘で』が1月12日(金)に公開された。
本作は、タイトルの通り、“ある閉ざされた雪の山荘で”殺人事件が起きたら?という架空の設定のもとストーリー展開されるミステリーだ。二重三重に仕掛けられたトリックで登場人物たちを、さらには観客をも翻弄していく。
最終オーディションに参加した唯一の“部外者” 久我和幸役を重岡大毅、華と実力を兼ね備えた劇団トップ俳優 本多雄一役を間宮祥太朗、公演直前に役を奪われてしまった女優 中西貴子役を中条あやみ、恋愛感情をこじらせたクセあり怪優 田所義雄役を岡山天音、世間知らずなお嬢様女優 元村由梨江役を西野七瀬、役のためなら超勝ち気なワガママ女優 笠原温子役を堀田真由、誰よりも優しい劇団リーダー 雨宮恭介役を戸塚純貴、圧倒的な演技力を持つ天才女優 麻倉雅美役を森川葵が演じている。
映画公開に際して中条あやみ、西野七瀬、堀田真由、森川葵の4名にインタビューを実施。同世代7名の俳優が集う撮影現場では、どのように映画制作が進んでいったのか?二重三重に仕掛けられたトリックだけでなく人物描写の複雑さからも“映像化は不可能”と言われていた作品の登場人物たちを見事に演じきった彼女たちの、「演じること」へのこだわりを聞いた。
同世代俳優の個性が揃う
突き詰めた役作り
―― 今作への出演オファーがあった際の感想をお聞かせください。
中条: 個人的にミステリー映画がすごく好きで、特におもしろいなと思うのは、ほとんどが東野圭吾さんの原作だったんですね。いつか東野さんの作品に出演してみたいなと思っていたので、お話をいただいたときは即決でした!実は東野さんとは2月4日の誕生日が一緒で、勝手にご縁を感じていて。この映画の撮影中に誕生日をお祝いしてもらえたことも嬉しかったな。
西野: これまで同世代の俳優さんだけの現場はあまり経験がなかったので、すごく勉強になりそうだし楽しそうだなと思いました。実際本当に楽しくて、同じ劇団に所属する俳優という設定のために控室は1つだったので、終始リラックスモードでした。
中条: 控室の雰囲気は、学園ものみたいだったよね(笑)。
―― にぎやかな撮影現場が想像できないほど、本編では舞台の最終オーディションという設定ならではのピリッとした空気感がありました。その雰囲気は、どう作り上げたのですか?
森川: 今回出てくる7名は、それぞれ本人とちょっと違う個性を持った役柄なんですけど、みんな細かく役を作り込んでいました。「あ、役者だな」って(笑)。
堀田ちゃんは普段はこんなに柔らかい雰囲気なのに強気な人柄を佇まいから感じたり、(岡山)天音は「こういうときにこういう行動するだろう」みたいな細かいところまで芝居を作り込んでいたりして、それぞれ違う形で役を突き詰めているのが、現場でも試写でも見ていて面白かったです。
堀田: 今回、メンバー1人ずつイメージカラーがあったんですよね。私は赤だったのですが、赤ってすごく情熱的で、チームの中でも真ん中に立つ人のイメージ。私が演じた温子も自分の目的のためならなんでもやる!という人柄だったので、爪の先まで真っ赤にして、装いからキャラクター性を感じさせることは意識しました。
森川: あと、普段よりもちょっと声が低かった気がする?
堀田: あ、そうですそうです!舞台俳優という設定だったじゃないですか。舞台は経験がないのであくまでイメージなんですけど、声をはっきり出すことは意識していました。いつもより声量を張って、伝えたいことをわかりやすく伝える、みたいな。
―― その役の「癖」まで作り込んでいたのですね。皆さんはどのようなことを心掛けていましたか?
森川: 私は天才女優の役だったので、他の6人に認めてもらえるお芝居をしようと思っていました。天才の基準ってそれぞれだから、せめてここにいるみんなには認めてもらえたらいいなって。
中条: 気迫に思わず引き込まれてしまって、さすがって感じでした!
森川: 本当?よかった!
中条: 私が演じた貴子は天真爛漫で自由なキャラクターなので、私も自由にお芝居をやらせてもらいました。いい意味で何も考えていない性格は、演じる私も頭を硬くしすぎないほうがいいなと。なので、本当に何も考えていない子に見えるのではと思います(笑)。ピリピリしたシーンの中でもちょっとどんくさい。でも思うところはある、という。
西野: 自分で難しくしすぎないようにするのは私も意識していました。そもそもトリックが二重三重となっているので、深く考えずに演じようと心掛けました。.匂わせるとき以外は(笑)。
脚本への理解が難航するなか
新たな表現へも挑戦
―― この作品は映画化が難しいと言われてきましたが、演じてみていかがでしたか?
西野: 実際に演じてみて、この作品の映像化が難しいと言われていた理由がよくわかりました。台本を一度読んだだけではすべてを理解しきれなくて、私、相関図を描いたんです。こういうことが起きていて、これを知っているのはこの人たちで…って一つひとつ整理しないとわからなくて。
森川: 私も1回読み終わって「え、どうしよう」って思った(笑)。
堀田: あと、同じ劇団に所属する役者が6名いるという設定上、すでに関係性があるから言葉を削ぎ落として話すじゃないですか。お互いのことを理解しているからこその端的な話し方なんですけど、それもあって最初に台本を読んだときは理解が追いつかなかったですね。でも、わかってくると面白くて、みんなで話している中で仲良い3人は目配せしてみようとか、映画を二度三度観たときに「だからこういう表情していたんだ」と気づけるような、そういうリアルな人間関係みたいなものを出せたらなと思うようになりました。
―― 現場では、役者同士や監督との話し合いが多かったのですか?
中条: そうですね、「どう見えているか」は演じている側にはわかりにくいので、監督含めての話し合いは多かったと思います。編集で加えられる演出も予定されていたので、「この人がそっちを見るなら私はこっちを見ようかな」と目線の位置など細かいことまで相談しながら進めました。
森川: 今回、映像の仕掛けも面白いですよね。山荘の中で誰が何をしているかを俯瞰して見られる表現があるんですけど、あんな表現があったんだなって。
中条: そのシーンはアドリブだったので、本当にオーディションを受けているみたいな気持ちになりました。「君の役は、このタイミングで何をやってくれるんだい?」って試されてるような気がして(笑)。
「誰かと一緒に」
見た景色をシェアして欲しい
―― この映画、観客としては観なきゃいけない場面がたくさんあって、目がひと組では足らなさそうですね…!
中条: 7名それぞれ個性があって、観る人によって共感できるキャラクターが違うはずです。さらには、最初はこの人の気持ちになっていたのに途中からこの人の気持ちもわかる!って、いろんな気持ちの変化を感じるはず。思わず惑わされてしまう感じが、この映画に吸い込まれる魅力なので、世界観にどっぷり浸かって惑わされてほしいなって思います。
森川: 1人で観ても画面を見切れないと思うので、友達とかと一緒に行って欲しいですね。そうすると、それぞれ目に入る場所が全然違うと思うんです。観終わった後に、「あのシーンのとき、あの人たちこうしてたよね?」みたいな考察のしあいをしたら、楽しいと思う。「え、そのシーンでそんなことしてた?」って気になってもう1回観に行く、そういう楽しみ方もいいのかな。
中条: 確かに!
堀田: 7名のキャラクターが立っているので、アドリブのシーンとかは、私ももう一回観たいくらい。みなさん本当に役作りが細かくて、人間味を感じられるんですよね。
この映画は「嘘」が見え隠れするんですけど、嘘って誰かのための優しい嘘だったりとか、そういったところに人間味がありますよね。それぞれのキャラクターの個性も見てもらいながら、そういったリアルさにも触れてもらえたら嬉しいです。
西野: 意味ありげなカットだったり、怪しそうで怪しくなかったり…。どこがゴールにつながるヒントになるかわからないので、気を抜かずに楽しんでいただけたらなと思いますね。
プロフィール
中条 あやみ (Ayami Nakajyo)1997年、大阪府出身。14歳で芸能界に入り、2011年に「ミスセブンティーン」グランプリに選ばれる。翌年、TBS ドラマ「黒の女教師」(2012年)で俳優デビュー。 2014年には『劇場版 零 ゼロ』(2014年/安里麻里監督)にて映画初主演を務め、『チア☆ダン〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜』(2017年/河合勇人監督)、『覆面系ノイズ』(2017年/三木康一郎監督)、『3D彼女 リアルガール』(2018年/英勉監督)、『ニセコイ』(2018年/河合勇人監督)、『雪の華』(2019年/橋本光二郎監督)、『劇場版 TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』(2023年/松木彩監督)など数多くの映画に出演。 バラエティ番組や CM への出演も多く、ドラマ「白衣の戦士!」(2019年/NTV)、「閻魔堂沙羅の推理奇譚」(2020年/NHK)、「君と世界が終わる日に」(2021年/NTV)などにも出演。待機作に映画『あまろっく』(2024年4月19日公開公開/中村和宏監督)がある。 [ヘアメイク: 山口 朋子(HITOME) / スタイリスト: 沢田 結衣(UM)]
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西野 七瀬 (Nanase Nishino)1994年、大阪府出身。2011年に乃木坂46の1期生オーディションに合格し、デビュー。2017年に『あさひなぐ』(英勉監督)で映画初出演で主演を務める。 主な出演作にドラマ「あなたの番です」(2019年/NTV)、「アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋」(2020年/CX)、「ハコヅメ〜たたかう!交番女子〜」(2021年/NTV)、「0.5の男」(2023年/WOWOW)、「ケンシロウによろしく」(2023年/DMM TV)、「ポケットに冒険をつめこんで」(2023年/TX)など。 映画『孤狼の血 LEVEL2』(2021年/白石和彌監督) では日本アカデミー賞優秀助演女優賞、新人俳優賞を受賞し、『恋は光』(2022年/小林啓一監督) でヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞。映画『シン・仮面ライダー』(2023年/庵野秀明監督)、現在放送中のドラマ「大奥」(CX)などに出演し、待機作に映画『52ヘルツのクジラたち』(2024年3月1日公開/成島出監督)などがある。 [ヘアメイク: 猪股 真衣子(TRON) / スタイリスト: 森田 晃嘉]
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堀田 真由 (Mayu Hotta)1998年、滋賀県出身。 2017年に朝のNHK連続テレビ小説「わろてんか」で主人公の妹を演じて注目を集めた。 2020年からファッション誌「non-no」の専属モデルに、その他の出演作に映画『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』(2019年/河合勇人監督)、『るろうに剣心 最終章 The Beginning』(2021年/大友啓史監督)、『ハニーレモンソーダ』(2021年/神徳幸治監督)、NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(2022年)、ドラマ「風間公親-教場0-」(2023年/CX)、映画『禁じられた遊び』(2023年/中田秀夫監督)、ドラマ「たとえあなたを忘れても」(2023年/ABC)など。 映画『バカ塗リの娘』(2023年/鶴岡慧子監督)では映画主演を務めた。 [ヘアメイク: 河嶋 希(io) / スタイリスト: 辻村 真理]
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森川 葵 (Aoi Morikawa)1995年、愛知県出身。2010年に「ミスセブンティーン」グランプリに選ばれ、その後俳優デビュー。2016年から1年間、バラエティ番組「A-Studio」のアシスタントを務め、2018年に「ロミオとジュリエット」で初舞台を踏んだ。 その他の映画出演作に『劇場版 零〜ゼロ〜』(2014年/安里麻里監督)、『恋と嘘』(2017年/古澤健監督)、 『映画 賭ケグルイ』(2019年/英勉監督)、『天外者』(2020年/田中光敏監督)、ドラマ出演作に「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」(2016年/CX)、「ナンバMG5」(2022年/CX)、「褒めるひと褒められるひと」(2023年/NHK)など。 [ヘアメイク: 石川 奈緒記 / スタイリスト: 有本 祐輔]
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映画『ある閉ざされた雪の山荘で』予告篇🎞
映画作品情報
TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー!
大ヒット公開中!
公式Instagram: @tozayuki_movie