映画『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』
主演・南沙良インタビュー
相手のセリフや気持ちを汲んで、お芝居することが大切だと気付きました。
映画『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』が、新宿武蔵野館ほか全国にて上映中。原作は、漫画家・押見修造の同名コミック。作者の実体験をベースに描かれ、ファンの中でも人気が高い。
喋ろうとするたび言葉に詰まってしまう志乃は、ひとりぼっちの高校生活を送るなか、ひょんなことから同級生の加代と友達になる。
素直になれない、思いが伝えられない、伝わらない。思春期のもどかしさを描いた本作の主人公・大島志乃を演じた南沙良さんに本作への出演について話を聞いた。
―― 本作はオーディションで役が決まったそうですが、オーディションの為に準備していた事はありますか?
オーディションを受ける前に初めて原作を読んだんですけど、その時に凄く「志乃を演じたい!」と思ってオーディションに望みました。オーディションの時に実は喉を痛めていて、上手く声が出せなかった事が心残りではありました。
―― 実際に志乃役が決まった際に「嬉しい反面とても不安」とコメントされていましたが、その不安を解消するために準備していた事はありますか?
現場に入るまでは「大丈夫かな?」と心配していたのですが、いざ現場に入ってみて、彩珠(蒔田彩珠/岡崎加代役)やスタッフさんとお話して、緊張が取れて自然体になれました。
―― 全体的に現場の雰囲気が明るかったそうですが、唯一バス停で2人が対面するシーンだけ南さんが役に入られて、ピリッとした空気の中で緊張感のある良いシーンが撮れたと蒔田さんから伺ったのですが、そのシーンにかける意気込みはどうでしたか?
バス停のシーンは志乃が自分の内に秘めているものを加代にぶつけるシーンだったので、今までの志乃や加代の気持ちを大切にしようと事前に監督と話し合っていたので、それは大事にできたと思います。
―― 蒔田さんと実際に共演してみて、いかがでしたか?
彩珠が元々凄く明るい子で、グワーッていう感じで、現場でもムードメーカーというか、現場を盛り上げてくれたのですが、本番になると凄く加代になるので、とても尊敬しています。
―― 蒔田さん演じる加代と対面して、自分の中の志乃が引っ張り出された瞬間はありましたか?
最初に志乃と加代が一緒に帰るシーンは、志乃としても心が開けて、もっと加代の事が好きになりました!
―― 原作を初めて読んだ時の志乃への印象を教えてください。
人の目の前で表現するのが苦手だったり、上手く喋れなかったりと自分と重なる部分が凄く多くて、共感を覚えました。なので、演じる時もその気持ちを忘れないように大切にしながら演じました。
―― 実際に南さんが人前で話す時はどのように緊張を解いていますか?
すごく申し訳ないんですけど、、、目の前の人をジャガイモや人参などに置き換えたりしていますね(笑)。
―― オーディション時や現場に入る時も実戦されたんですか?
演じる時は大丈夫なんですけど、舞台挨拶やインタビューなど大勢の人の前で自分の言葉で表現するのが苦手なので、その時はみんなジャガイモです(笑)。
―― 志乃を演じるにあたっての役作りはどうやって行いましたか?
そこまで志乃のイメージを固めるのではなく、事前に監督ともお話をさせていただいたのですが、志乃がその時抱いた感情や表情を素直に出したかったので、あくまでも自然体で演じました。
―― 号泣するシーンもありましたね。
あの時も自然に涙が止まらなくなりました。気持ちに身を任せることも大切にしていました。
―― 地元の方々がエキストラで出演されましたが、何かエピソードはありますか?
地元の方が星が綺麗だって事を教えて下さったので、撮影終わりにキャストのみんなで外に出て空を眺めたのですが、雲ひとつ無い満天の星空で凄くきれいでした!誰も星座に詳しくなかったんですけど、それでも楽しめました(笑)。
―― 休憩時間は何をする事が多かったですか?
キャストの方とお喋りしたり、彩珠はギターの練習をしている事が多かったので、私はそれに合わせて歌ったりする事が結構ありました。
―― 歌がとてもお上手でしたが、ボイストレーニングはしましたか?
撮影の1カ月程前から通いました。元々歌は好きだったのですが、自信が無かったので練習は沢山しました。
―― 先生からはどのような指導がありましたか?
私の歌う時の声の出し方が違うという指摘を受けたので、撮影中も歌声の出し方に気をつけながら歌いました。
―― 劇中の歌はご存知でしたか?
「あの素晴しい愛をもう一度」は小学校で習ったので知っていたのですが、他の曲は知らなかったので母に聞いたら、「ちょうど私の世代だ〜」って言っていました。
―― 初挑戦が多かった現場で1番力になったと思うことを教えてください。
吃音を知れた事が1番大きいです。実際に吃音がある方にお話を伺ったり、インターネットで調べたりしながら理解を深めていきました。
―― 最後に、シネマアートオンラインの読者の皆様へメッセージをお願いします。
プロフィール
南 沙良 (Minami Sara)2002年6月11日生まれ。神奈川県出身。 |
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映画『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』予告篇
映画作品情報
《ストーリー》高校1年生の大島志乃は上手く言葉を話せないことで周囲と馴染めずにいた。 そんな時、ひょんなことから校舎裏で同級生の加代と出会い、一緒に過ごすようになる。 人と距離を置きがちな志乃だったが、加代からバンドを組まないかと誘われたことで少しずつ変わっていく。 ふたりで過ごす夏休みが平穏に過ぎていくと思っていた志乃だったが、自分をからかった同級生の男子・菊地が強引に参加することになり…。 |
監督: 湯浅弘章
原作: 押見修造 「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」 (太田出版)
脚本: 足立 紳
音楽: まつきあゆむ
配給: ビターズ・エンド
制作プロダクション: 東北新社
製作: 「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」製作委員会(日本出版販売 カルチュア・エンタテインメント 東北新社 ベンチャーバンク)