
映画『じっちゃ!』主演・中村静香 インタビュー
16年越しの約束が叶った主演作
青森・津軽の魅力と“家族”への想いを語る!!
つがる市市制施行20周年記念作品として製作された映画『じっちゃ!』が、10月17日(金)に青森にて先行公開、10月31日(金)より池袋シネマ・ロサほか全国順次公開された。
本作は、東京からIターン移住した孫娘と、青森・つがる市でメロン農家を営む祖父との絆を、四季折々の美しい風景の中に描くヒューマンコメディだ。

主演の中村静香が演じるのは、地域おこし協力隊制度を利用して東京からIターン移住した三上ゆき。慣れない田舎暮らしに戸惑いながらも、祖父や地元の人々の温かさに触れ、自身の人生を見つめ直していく孫娘を瑞々しく演じている。
監督・脚本は、青森を“第二の故郷”と語る千村利光。主演に中村を起用した背景には、中村が10代の頃からの約束があったという。
映画の公開に際して、千村監督にも同席いただき、主演の中村静香にインタビュー。監督との長年の縁が実を結んだ本作への出演経緯にはじまり、つがる市での撮影エピソードや“じっちゃ”こと祖父・泰助を演じた小野武彦との共演、さらには自身にとっての映画という存在についてまで、率直に語ってくれた。

「何も迷いなく」受けたオファー
千村監督との16年越しの約束
―― はじめに、本作への出演が決まった経緯を教えてください。
中村: 千村監督とは、私が19歳の頃にご一緒した作品でお世話になって以来のお付き合いなんです。そこから今回お話をいただいて。こんな温かい作品が作れることがすごく嬉しかったですし、出演に際しては「何も迷いなく」お受けしました。
千村監督: そんなスムーズだった?(笑)
中村: いやいや、本当ですよ(笑)。
―― 千村監督とは10代の頃からのご縁なのですね。
千村監督: そうなんです。彼女が19歳の頃に出演してもらった特撮作品『トミカヒーロー レスキューファイアー』(2009年)が最初で、その時に「いつか一緒に映画やろうぜ」って話していたんです。それを僕が勝手にずっと覚えていて(笑)。もちろん、その後も何本かご一緒はしていましたが、今回主演という形で16年越しくらいの約束が叶いました。受けてくれるかなってドキドキしながらオファーしましたよ。
主人公・ゆきと同じ目線で触れた、津軽の“ぬぐだまる(温かい)”魅力
―― 物語の舞台は青森県ですが、中村さんはつがる市には今作が初めてだったのでしょうか。
中村: はい。以前、お仕事で青森の「ねぶた祭り」に参加させていただいたことはあったのですが、つがる市を訪れたのは今回が初めてでした。なので、主人公のゆきと全く同じように、初めての土地でその魅力に触れていくという感覚でしたね。

―― 劇中には津軽の名所や名物がたくさん登場します。特に印象的だったものはありますか?
中村: やっぱり、あの「古代のサングラス」(遮光器土偶型のサングラス)ですね(笑)。すごく印象的でした。実際に雪の中でかけてみると、視界は狭まるんですけど本当に眩しくなくて、いにしえの知恵ってすごいなと。あれが今、グッズとして売られているのも面白いですよね。
千村監督: 道の駅で売ってます(笑)。
中村: あとは、メロンも。津軽がりんごだけでなくメロンにも力を入れていることを、今回初めて知りました。

―― 劇中で召し上がっていたメロン、本当に美味しそうでした。
中村: 本当に美味しかったです! 糖度もみずみずしさもすごくて。実は、撮影でお借りした畑は、つがるで一番と言われる農家さんの畑だったんです。
千村監督: そう。初売りの時には一玉15万円の値がついたこともあるような、すごいメロンを作っている農家さんで。そんな特別なメロンを撮影で使わせていただけたのは、本当に光栄なことでした。

役者って怖いなと(笑)――津軽弁と大先輩・小野武彦の温かさ
―― 津軽弁での演技はご苦労されたのではないでしょうか。
中村: はい(笑)。ネイティブな地元の方の早口はやっぱり聞き取れなくて大変でした。自分のセリフは事前に何度も練習して、すり込みをしてから現場に臨みましたね。特に印象的だったのは、意地っ張りやこだわり屋を意味する「じょっぱり」や、居心地よくしてねという意味の「あずましくしてね」という言葉。馴染みがないからこそ、すごく新鮮でした。

―― 祖父・泰助役の小野武彦さんとの共演はいかがでしたか?
中村: 小野さんご自身が、本当にとってもチャーミングで柔らかい空気感の持ち主で。撮影期間はそれほど長くはなかったのですが、体感としてはもっとずっと長くご一緒していたように感じます。撮影中は、普段からなるべく小野さんとお話する時間を大切にしていました。
千村監督: 小野さんは津軽弁が本当に上手で。僕自身も神奈川出身なので、「僕と同じくらいの下手さで大丈夫です」とお願いしたら、僕より全然上手くなっちゃって(笑)。ゆき(中村さん)の後半の津軽弁も「上手くなりすぎなくていいよ」って言ってたのに、少しずつ上手くなってくるから「待って待って!」って止めたりして。役者さんって耳がいいのか、本当に吸収が早い。怖いなと思いました(笑)。

「年齢と共に視点が変わる」
中村静香にとって映画は欠かせない存在
―― 素敵な作品のお話を伺ってきましたが、中村さんご自身の映画に対するお話しも是非お聞かせください。ご自身にとって、「映画」はどのような存在でしょうか?
中村: 普段のお仕事がアウトプットなので、オフの時間はインプットをしたいという気持ちが強いんです。その中で映画は欠かせない存在ですね。特に、年齢を重ねるごとに同じ作品を見ても視点が変わっていることに気づくんです。昔は自分と年齢の近い役に感情移入していたのが、いつの間にか親の目線で見ている、とか。自分を振り返る時間にもなっています。
―― ジャンルにこだわりなく、幅広くご覧になるのでしょうか?
中村: そうですね。昔からホラーは好きですけど(笑)、より好みせず色々な作品を観ます。映画館に足を運ぶのも大好きです。最近だと、人に勧められて観た『バッファロー’66』(1998年)が印象的でした。時代を経ても面白い作品って、やっぱりすごいなと感じますね。

―― 今後、俳優として挑戦してみたい役柄やジャンルはありますか?
中村: お声がけいただけるだけで嬉しいので、何にでも挑戦していきたいという貪欲な気持ちは常にあります。その中でも、いつか「家族もの」をじっくりとやってみたいです。世の中では大事件じゃなくても、一つ屋根の下で家族だからこそ起こる問題や、埋まりそうで埋まらない溝ってありますよね。そういう物語に興味があります。
踏み出す一歩を、そっと押せるような映画に
―― 最後に、これから映画『じっちゃ!』をご覧になる方々へメッセージをお願いします。
中村: ゆきがつがるという土地と人々に触れて、少しずつ心が柔らかくなっていくように、この映画が何か新しい一歩を踏み出そうとしている人の背中を、そっと優しく押せるような作品になっていたら嬉しいです。じっちゃがメロン作りを通して人を幸せにするように、勝吾が新しい仕事に向き合うように、何かを頑張ろうとしている皆さんの心に、温かいものが届けられたらと思っています。

[ヘアメイク: 近藤 由菜 / スタイリスト: 竹上 奈実 / 衣装協力: MASTER gUi]
プロフィール
中村 静香 (Shizuka Nakamura)1988年9⽉9⽇⽣まれ。京都府出⾝。 2003年、「第9回全⽇本国⺠的美少⼥コンテスト」出場。その後、「法医学教室の事件ファイル」「緊急取調室」シリーズなど、さまざまなドラマに出演。近年の主な出演作に、『てぃだ いつか太陽の下を歩きたい』(2022年/中前勇児監督)、『レディ加賀』(2024年/雑賀俊朗監督)、『私が俺の⼈⽣!?』(2024年/中前勇児監督)、⼤河ドラマ「光る君へ」などがある。⼥優としてのキャリアを重ねる⼀⽅、情報・バラエティ番組でも活躍している。
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映画『じっちゃ!』予告篇🎞
映画作品情報

《ストーリー》祖父の泰助が住む街という無難な理由で、地域おこし協力隊制度を利用し、東京からつがる市にIターン移住した三上ゆき。就職先の市役所で観光・ブランド戦略課に配属された彼女は、市の魅力を全国に発信するため、慣れない業務に苦戦しながらも、祖父との日々のやりとりに癒されながら乗り越えていく。やがて怒涛の1年が過ぎ、淡い恋心を抱いていた同僚から東京でのビジネスを持ちかけられ、心が揺れるゆき。そんなある日、ゆきは、これまで多くを語ろうとしてこなかった泰助が40年間秘めてきた事実を聞く。そこには青森に住み続けた泰助の知られざる絆の物語があった―――。 |
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