映画『HERO〜2020〜』西条みつとし監督インタビュー
【写真】映画『HERO〜2020〜』西条みつとし監督インタビュー

映画『HERO〜2020〜』
西条みつとし監督インタビュー

勇気を後押ししてくれる、笑顔あふれるエンターテイメント 

14年にわたる芸人活動、その後、放送作家やコント作家を経て、劇作家・演出家として活躍する西条みつとし。ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2017で“ゆうばりファンタランド大賞”を受賞した齊藤工初監督作品『blank13』(2017年)の脚本を担当し、第3回シドニー・インディ映画祭で“最優秀脚本賞”を受賞。自身が監督・脚本を手がけた、短編映画『JURI』(2019年)では、ええじゃないか・とよはし映画祭2019で“とよはし未来賞”、ドラマ「面白南極料理人」(2019年/テレビ大阪)では第56回ギャラクシー賞のテレビ部門で“奨励賞”を受賞するなど、近年では監督や脚本家として映像作品に参加し、さらに活躍の幅を広げている。

そして、2012年5月に劇団TAIYO MAGIC FILMを旗揚げして8年。旗揚げ公演作品「HERO」(2019年7月に「HERO 〜2019夏〜」として再演した舞台)を自ら映画化した『HERO 〜2020〜』が、6月19日(金)よりシネ・リーブル池袋ほか全国順次公開される。

【画像】映画『HERO〜2020〜』メインカット

舞台に引き続き、主人公の広樹を廣瀬智紀が、広樹の恋人・浅美を北原里英が演じ、二人の“2年間限定の恋”をめぐって、涙と笑いの大騒動が描かれている。

「誰かが誰かに支えられ、誰かが誰かの“ヒーロー”になる」という気持ちを届けてくれる心温まるコメディを誕生させた西条みつとし監督に話を聞いた。

劇団TAIYO MAGIC FILM
旗揚げ公演「HERO」を自ら映画化!

―― 本作を舞台から映画化しようと思われたきっかけをお聞かせください。

舞台の作品を作るときにはいつも、舞台だけを意識して作っているわけではなく、映像作品にするならこうしたいなという思いも込めつつ舞台を作っています。だから、プロデューサーから映画化のお話を頂いた時は、本当に映像になるんだと思って、とても嬉しかったです。

【写真】映画『HERO〜2020〜』西条みつとし監督インタビュー

―― 舞台から映画化するにあたって、設定や演出など変化した部分はありますか?

話自体は特に変えてはいませんが、舞台とは違ってエンタメ感を減らし、リアリティや心情をより伝えるということを意識しました。

また、松尾諭さん演じる主人公の父親の回想シーンは、舞台では主人公が言葉で語っていたものを、今回は回想として映像として作りました。

【画像】映画『HERO〜2020〜』場面カット

―― 登場人物について、特に着目して欲しい部分はありますか?

僕自身が特に気に入っているのは、レンタル人材派遣会社の社長、そしてその秘書についてです。この二人の関係性であったり、特に秘書が社長に従順に従っていく様子にも着目してもらいたいです。

【画像】映画『HERO〜2020〜』場面カット

人がいつ死ぬかは誰にも分からない

―― 劇中では「人がいつ死ぬかなんて誰にも分からない」というシーンがありました。もしも今日が人生最後の日だとしたら、監督はどう過ごしたいですか?

特にいつもと変わらず過ごしたいです。特別なことをしたくないというのではなくて、今はやれること、やりたいことをやろうと思って生きているので、常に最後の日というイメージで毎日を過ごしています。そういう意味でいつも通り過ごしたいです。

【画像】映画『HERO〜2020〜』場面カット

―― いつ死ぬか分からない毎日の中で後悔なく過ごすために、アドバイスを頂きたいです。

待っているのではなくて自ら進むということをしたら良いと思います。僕の昔は、自分の未来を信じてはいたけれど、未来が来るのを待っていました。でも、待っていても何も起きないので、未来に進むということをしたら、望んでいるものと違うものかもしれないけど、ちゃんと良い未来になるので後悔しないと思います。

“HERO”とはどのような存在か?

【画像】映画『HERO〜2020〜』場面カット

―― 監督にとってHEROとはどのような存在ですか?また、HEROに必要なものは何だと思いますか?

僕にとってのヒーローとは、何か新しい事をしたいときに行動に起こせる勇気を持っている人のことです。それと同時に、ヒーローに必要なものはその勇気だと思います。

映画では、溺れてしまった男の子を真っ先に助ける広樹のお父さんの姿を描いていて、その姿こそが、主人公の広樹にとってはヒーローでした。

―― 広樹にとってのヒーローを父親にした理由は何かありますか?

僕自身が父親を尊敬しているというのが理由のひとつです。今作は恋愛を描いていますが、元々は「お父さんってかっこいいな、すごいな」という思いから始まりました。僕にとって父親は尊敬している人なので、それを描こうと思って描きました。

【写真】映画『HERO〜2020〜』西条みつとし監督インタビュー

―― 最後に、この映画を通して伝えたいメッセージをお聞かせください。

エンターテイメントとしてこの作品を楽しんでいただけたらと思っています。その上で、敵は自分の中にある、自分に打ち勝つ勇気というものが伝わればいいなと思います。

[インタビュー: 内田 薫 / スチール撮影: Cinema Art Online UK]

プロフィール

西条 みつとし (Mitsutoshi Saijo)

1978年4月12日、千葉県生まれ。
お笑い芸人として活躍後、放送作家へと転向。バラエティ番組の構成を手掛ける一方、バイきんぐ、など、コント作家としても活躍。更に劇作家としても活動し、2012年5月より自身の劇団TAIYO MAGIC FILMを主宰、定期的に舞台公演活動を続けている。劇団公演以外にも、活躍の場を広げ、2020年2月にはKis-My-Ft2主演舞台の「○○な人の末路」の演出・脚本を担当するなど、これまでに70本以上の舞台を手がけている。

近年では、映像作品にも脚本や監督として参加。

映画では、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2017でゆうばりファンタランド大賞を受賞した齊藤工初監督作品『blank13』(2017年)の脚本を担当したほか、『ゆらり』(2017年)、『関西ジャニーズJr.のお笑いスター誕生!』(2017年)でも脚本を担当している。

ドラマでは、「下北沢ダイハード/1話」(2017年、主演:古田新太)などの脚本を手がけ、「面白南極料理人」(2019年、主演:浜野謙太)では、脚本と監督を担当し、第56回ギャラクシー賞のテレビ部門で奨励賞を受賞。

監督・脚本を手がけた短編映画『JURI』(2019年)は、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2019に正式出品された。

著書「笑わせる技術〜世界は9つの笑いでできている〜」が光文社新書から発売されている。

【写真】映画『HERO〜2020〜』西条みつとし監督

映画『HERO〜2020〜』予告篇

映画作品情報

【画像】映画『HERO〜2020〜』ポスタービジュアル

《ストーリー》

2年間限定の約束で始まった広樹と浅美の恋。広樹には、こんな約束を言い出さなければならない“秘密”の理由があった。そして2年後、運命の日。怪我で入院中の広樹を見舞った浅美は、彼の別れの決意が変わらないことを知って沈み込む。そんな時、ふたりの幸せを願う広樹の妹・真菜の行動が、入院患者から“死神”まで巻き込んで、とんでもない大騒動に! 果たして広樹の“秘密”とは? 

 
出演: 廣瀬智紀、北原里英、小松準弥、前島亜美、小早川俊輔、小築舞衣、中村涼子、米千晴(TAIYO MAGIC FILM)、小槙まこ、加藤玲大、後藤拓斗、双松桃子、飛鳥凛、伊藤裕一、根本正勝、今立進(エレキコミック)、松尾諭、斎藤工(友情出演)
 
原作: TAIYO MAGIC FILM 第1回公演「HERO」
 
エグゼクティブプロデューサー: 石田誠、中西研二
プロデューサー: 村田泰介
協力プロデューサー: 皆川拓也
音楽: 浅梨なおこ(avenir LLC)
撮影: 神田創
照明: 丸山和志
録音: 吉方淳二
衣装プラン: 摩耶
監督・脚本: 西条みつとし配給: ベストブレーン
企画: MMJ
製作: 「HERO」~2020~製作委員会
 
©「HERO」~2020~製作委員会
 
2020年6月19日(金)より
シネ・リーブル池袋他、全国順次公開!
 
映画公式サイト
 
公式Twitter: @HERO2019summers

この記事の著者

かおるシネマレポーター/ライター

シネマティーンズオンライン所属
2001年生まれ、兵庫県出身。
高校の授業でマスコミュニケーションについて学んだことをきっかけに、メディアに興味を抱き、自分自身が何かを発信したいという思いから活動を開始。大の「科捜研の女」ファン。

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