- 2015-10-23
- イベントレポート, ティーチイン, 東京国際映画祭, 第28回 東京国際映画祭
第28回 東京国際映画祭 Japan Now 部門
映画『ラブ&ピース』園子温監督 Q&A
台本を書いてから映画化まで25年以上。
園子温監督、無名だった頃の作品をようやく世に出すことができた喜びを語る!!
10月23日 (金) 、第28回東京国際映画祭(TIFF)Japan Now部門で園子温監督の映画『LOVE&PEACE』が上映され、上映後の舞台挨拶に園子温監督が登壇し、Q&Aが行われた。
《Q&Aレポート》
主人公は、ロックミュージシャンになる夢をあきらめてサラリーマンになった男、鈴木良一(長谷川博己)。鈴木良一には、社内に思いを寄せる女性 寺島裕子(麻生久美子)がいたが、極度に小心者であったためまともに話もできずにいた。その冴えない容貌のせいか会社の同僚や上司からも嫌がらせを受け、フラストレーションを抱えながら冴えない日々をおくっていた。ある日、デパートの屋上でちいさなミドリガメと目と目が合い運命的なものを感じた良一は、そのミドリガメを家へ連れて帰り「ピカドン」と名付けてかわいがる。そのピカドンをうっかりトイレへ流してしまったことからピかドンは謎の老人が住む地下世界にたどり着き、それから鈴木良一の快進撃が始まる。
上映後の舞台挨拶Q&Aは、安藤紘平(第28回東京国際映画祭 プログラミング・アドバイザー)の司会で行われた。園子温監督はジーパンにTシャツ、足元はスニーカーで黒いハットを被ってラフな感じで登場し、本作にまつわるエピソードを軽快に語った。
本作の台本は、25年以上も前に仕上がっていたが、プロデューサーがなかなかみつからず製作ができなかったこと、その四半世紀の間にトイストーリーなどの似たような映画が出てきてハラハラしたこと、台本を書いたころの自分は、まるで主人公の鈴木良一が住んでいたような4畳半住まいだったが大きな夢を持っていたことなどを語った。
今回のストーリーについては、台本を書いた時代はバブルの頃で、豊かになっている日本の陰で捨てられて忘れ去られたものたちの存在があり、そこから着想を得たところもあったことを語った。製作にあたり渋谷で「ピカドン」(広島、長崎に投下された原子爆弾の俗称)を知っているかという街頭インタビューを行ったが、誰ひとり知るものがいなかったこと、ミドリガメのピカドンが東京の街を歩くシーンでは、敢えて今どきだれも使わないような特撮をつかったことなどを語った。そして、主要キャストのひとりである西田敏行にダメもとで台本を渡した際、読む時間もないほどすぐにOKの返事が来たことに驚かされたことを嬉しそうに語った。
Q&Aでは、作品が年々マイルドになっているわけではなく、みんなが望んでいる園子温から離れたいと意識して毎回異なるテイストでつくっていること、出演しているカメはオーディションをして一番演技力のあるカメを選んだこと(カメによって得意分野が違うため、全部で5匹いた)、撮影後にそのカメたちは助監督がひきとったことなどを語った。そして、次回作『ひぞひそ星』(2016年5月公開予定)にもこのカメたちが出演しているらしい。
フォトセッション後、客席にガッツポーズをみせ笑顔で会場を去った。
[記者: Takako Kambara / スチール写真: © 2015 TIFF]
イベント情報
第28回 東京国際映画祭 Japan Now部門
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