- 2016-2-12
- 映画レビュー, 映画作品紹介, 第28回 東京国際映画祭
映画『99分、世界美味めぐり』
(原題: FOODIES)
グルメと毒舌に心満たされる99分間
《ストーリー》
“フーディーズ”とは、各々が独自の採点基準を持ち、SNSを駆使してグルメ情報を発信する美食家たち。その中でも、美食家の最高峰と称えられる5人がレストラン案内人を務める。彼らと共に巡るのは、有名所はもちろん、自然豊かな秘境の地にある店まで、世界中のありとあらゆるレストランだ。時に辛辣で、遠慮のない批評は痛快である。数々のグルメを前に、心は日常を抜け出し、満たされる。
《みどころ》
世界の三つ星店で、死ぬまでに一度は食事をしてみたい!
この映画は、その夢が本当なら何百回と死んでしまっているだろう、5人のフーディーズのグルメドキュメンタリーである。
普段は見ることができない有名店の舞台裏(厨房)や、取材お断り店へも次々と潜入する。美食というと、裕福な家庭に育ったいわゆるお金持ちしか縁がないと思いがちだが、5人それぞれの生い立ちと食への思いに、見方が変わった。
例えば、食べるものに困るほどの貧しい幼少期を過ごした元スーパーモデル、アイステ。
定時の仕事の給料で高級料理店を食べ歩く、ごくごく普通の女の子、ケイティ。
誰もが生まれてから死ぬまで、食べ続ける。なら、美味しいものを食べたいじゃないか。その意見に確かに!と共感できる。
特に印象的だったのが、ロンドンから数1,000km先にある中国の秘境の地で食べる料理だ。「今までの食事は何だったんだろう」そうフーディーズが言葉を漏らす。青菜を炒め味付けしただけの簡単なもの、湯気をたてた色とりどりの蒸し物、熱々のスープ・・・・・ずらりと円卓に並ぶ様は圧巻だ。そこには「変にこねくりまわさない」自然な料理の究極がある。「誰もが懐かしさを感じる味だ」そう言いながら中華料理を食べ、涙をこぼしそうになる姿に、は・・・・・食べてみたい、と思わず言葉を漏らさずにはいられなかった。
“ミシュラン”もいいが、時代は“フーディーズ”に追い風かもしれない。
[ライター: 宮﨑 千尋]
映画『99分、世界美味めぐり』予告篇
映画作品情報
原題: FOODIES
監督: トーマス・ジャクソン (Thomas Jackson)
監督/編集: シャーロット・ランデリウス (Charlotte Landelius)
監督: ヘンリック・ストッカレ (Henrik Stockare)
製作: パトリック・アンデション (Patrik Andersson)
製作: フレドリック・ヘイニ (Fredrik Heinig)
製作: マティアス・ノールボリ (Mattias Nohrborg)
音楽: アンドレアス・セーデルストレム (Andreas Söderström)
音楽: ユーアン・ベルトリン (Johan Berthling)
出演: アイステ・ミセヴィチューテ (Aiste Miseviciute)
パーム・パイタヤワット (Perm Paitayawat)
アンディ・ヘイラー (Andy Hayler)
ケイティ・ケイコ (Katie Keiko)
スティーヴン・プロトニッキ (Steven Plotnicki)
2014年 / スウェーデン / 英語語 / カラー / 99分
配給: 株式会社KADOKAWA
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角川シネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国ロードショー!