映画『パーティで女の子に話しかけるには』ジャパンプレミアイベントレポート
【写真】ジョン・キャメロン・ミチェル監督 & 山本耕史

映画『パーティで女の子に話しかけるには』
ジャパンプレミアイベント開催!

美しき天才、ジョン・キャメロン・ミッチェル監督来日!
山本耕史と9年ぶりの再会で日米の“ヘドウィグ”が生歌披露!!

今もなお「生涯のベスト1」の声多き伝説の名作『ヘドウィグ・アンド・アングリーイ
ンチ』(2001年)の原作・監督・脚本・主演を務めたジョン・キャメロン・ミッチェルの待望の最新作『パーティで女の子に話しかけるには』が、12月1日(金)、新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ渋谷他全国順次公開となる。

東京公演(10月13日‐15日)、大阪公演(10月17日)と、オリジナルキャストで日本初上演となる「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」の舞台への出演と、本作のプロモーションのため、7年ぶりに来日したミッチェル監督が10月19日(木)、新宿ピカデリーにて世界最速上映となる『パーティで女の子に話しかけるには』のジャパンプレミアイベントの上映前舞台挨拶に登壇。2007年、2008年、2009年の 3度に渡り「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」の舞台でヘドウィグを演じ、ミッチェル監督とは2008年のジョイントライブで共演したことのある俳優・山本耕史が駆けつけ、9年ぶりの再会を果たした。

イベントレポート

【写真】ジョン・キャメロン・ミッチェル監督登壇

―― まずはお越しの皆さまにご挨拶をお願いいたします。

J・C・ミッチェル監督: みなさんと会えてとっても嬉しいよ。中村中も来てくれているのかな?もう一人のヘドヴィグです!拍手を!15年ぶりに日本の劇場に来れて嬉しいよ。僕のファンはどれぐらい来てくれているのかな?35人ぐらいかな(笑)日本のファンの心に響くことを願っているし、きっとそうなるんじゃないかなという予感があります。何てったって初恋の話だからね。エイリアン女子とパンク少年の恋です。一つ気になっていることがあるんだけど、今日の服はこれで良かったかな?(笑)。スーツ、ハンカチーフ、キルト、これらのデザイナーはヴィヴィアンウェストウッドなんだけど、出演してくれているニコール(ニコール・キッドマン)が見せるキャラクターがとてもヴィヴィアン的なキャラクターなんだ。これから上映されるということで、皆さんにも気に入ってもらえたら嬉しいです。さあ、今からみんなをインスタグラムに載せるよ!

【写真】ジョン・キャメロン・ミチェル監督

会場にケータイカメラを掲げ、「ハーイ!インスタグラム!」とかけ声の後、即座にインスタグラムにアップした。

―― 日本でも「コララインとボタンの魔女 」で有名なニール・ゲイマンの短編が元になっていますが、今回短編が映画化された経緯についておしえてください。

J・C・ミッチェル監督: 無理やりやらされたんだ・・・、というのはジョークで、実は以前仕事をしたことがあるプロデューサーが元々温めていた企画で、少しずつ何年もかけて僕をこの企画に引っ張り込んでくれていたんだ。原作の短編は、わずかワンシーンしか描かれていない短い作品だったけど、それを何年もかけてより豊かな世界に広げていったんです。キャラクターも増えて、パンク少年など自分らしいキャラクターだったり、あるいは英国を舞台にしたりね。

【写真】ジョン・キャメロン・ミチェル監督

―― ニコール・キッドマンがパンク・ゴッドファーザー的な役で、エル・ファニングが異星人の女の子役と、日本でも人気のある実力派女優が出演していますが、このキャスティングにあたりお聞かせください。

J・C・ミッチェル監督: 実は撮影中あるシーンで、ニコールキッドマンの顔にパンクの方が唾を吐き続けることがあって、僕にはそれがとてもパンクだなと思ったんだ。これは以前仕事をしたこともあるニコールが、「誘ってくれるんだったらこの作品やるわ」って快諾してくれたんだよ。『ラビットホール』(2010年)という作品で、とてもいい感じに作品作りをさせてもらったこともある。ただ今回はニコールが普段演じているような役とはかけ離れたとっても下品な言動をする役を演じてもらっているんだ。彼女は僕に言った。「ジョン、この役最高に楽しいわ!」ってね(笑)。僕はいつの日か、ニコールとエル・ファニングは母娘の役で共演してもいいと思っているよ。エル・ファニングは、本当に一緒に仕事をしていて気持ちがいいし、プロフェッショナルだし、秀でた才能があって、今まで仕事をしたどの女優さんよりも一番楽しい女優さんだった。スターであり女優であるというのは難しいことだと思うけど、彼女がその両方であることを証明する初めての作品になったのではないかなと思います。

【写真】ジョン・キャメロン・ミチェル監督

―― J・C・ミッチェル監督の作品には音楽が欠かせません。なぜパンクをチョイスされたのですか?

J・C・ミッチェル監督: なぜパンクじゃダメなんだい?イギーポップが大好きだし、今の若い方って、親から手渡されたこの世界をちょっと奇妙で怖いなと思っていると思うんだ。セルフィーやインスタで心の中が手いっぱいになってしまっているのかもしれない。逆に、上の世代は何かしらの怒りに似た感情で世界を作ってきたと思うんだ。ただそれがちょっと右翼気味のパンク的な行動であり、だからこそトランプのような大統領が生まれ、ブレグジットが起きたんじゃないかなと思うんだ。非常にそれらは反移民、反ゲイなどの考え方を持つ人々であって、そんな世の中だからこそ僕は若い方にパンクスピリットを持って欲しいと思っているんだ。なぜならパンクの精神はとても健康的な反抗心だと思うんだ。ある意味全てを綺麗にするような怒りをもって、愛を見つけて欲しいと願っての作品なんだ。

【写真】ジョン・キャメロン・ミチェル監督

そんな時代だからこそ、新しいカタチのパンクが必要なんじゃないかと僕は思っている。若い人たちは、この世界をちょっと怖いなという思いから、どうしても麻痺してなかなか動けないんじゃないかな、受け身の状態なんじゃないかなって感じている。逆に年を重ねた方は若者達に怖いと思わせてしまう行動を取っている人が多くいるだろうけど、その中には僕が全く賛同できない行動も沢山ある。全てを隠してしまう、扉も国境も閉鎖してしまうという行動はナンセンスだ。なのでいま改めて、若さとは何かというのを考え直したい。だたし、これは政治的な作品じゃない。そのパンクの意味は抑圧するものの体制を容認して受け入れる考え方、様々な問題に問いかけていくものであり、全ての多様な人々を受け入れていくものなんだ。人生においても、全てのクリエイションにおいても。という考え方にたどり着ければなと思っているよ。

そしてもう一人のスペシャルゲストとして山本耕史が登場!

【写真】ジョン・キャメロン・ミチェル監督 & 山本耕史

J・C・ミッチェル監督と9年ぶりの再会を喜び、互いが“ヘドウィグ”を演じた『ヘドヴィグ・アンド・アングリーインチ』の想い出話を語り合うと、先に本作『パーティで女の子に話しかけるには』を観たという山本の感想は、「青春時代を思いだして懐かしい感じもあれば、近未来的なディテールもある。僕はファンタジーが好きなんだけど、これまでジョンってファンタジーをきっちり表現したことってなかったんですよね。本作はジョンのファンタジーな心の中がきっちりとカタチになって、アートになっています。曲も最高に良いですし、楽しかったです」と本作の世界観に太鼓判を押した。

【写真】山本耕史

劇中のファッションは主にヴィヴィアンウェストウッドということで、J・C・ミッチェル監督だけでなく山本もこの日はヴィヴィアンの衣装を着用。

フォトセッションの後、おもむろにJ・C・ミッチェル監督が歌い始めると、山本も歌声を重ね、二人でヘドウィグの劇中歌「The Origin Of Love〜愛の起源〜」を即興で披露!

【写真】ジョン・キャメロン・ミチェル監督 & 山本耕史

会場はもちろんのこと、『ヘドヴィグ・アンド・アングリーインチ』を観て映画に係わる世界へ飛び込んだという本イベントでMCを務めた奥浜レイラも感極まって涙を流した。

二人のヘドヴィグによるサプライズ生歌披露に興奮する会場を笑顔で後にしてイベントは終了した。

【写真】ジョン・キャメロン・ミチェル監督 & 山本耕史

[スチール撮影: Cinema Art Online / 記者:蒼山 隆之]

 

イベント情報

<映画『パーティで女の子に話しかけるには』ジャパンプレミアイベント>

日時: 2017年10月19日(木)
場所: 新宿ピカデリー
登壇者: ジョン・キャメロン・ミッチェル監督、山本耕史
MC: 奥山レイラ

【写真】ジョン・キャメロン・ミチェル監督 & 山本耕史

映画作品情報

【画像】映画『パーティで女の子に話しかけるには』ポスター

《STORY》

斬新なのに懐かしい、刺激的だけど切ない〈ボーイ・ミーツ・ガール〉の新たなる傑作、誕生!
1977年、ロンドン郊外。パンクなのに内気な少年エンは、偶然もぐりこんだパーティで、反抗的な瞳が美しい少女ザンと出会う。大好きなセックス・ピストルズやパンク・ファッションの話に共感してくれるザンと、たちまち恋におちるエン。だが、ふたりに許された自由時間は48時間。彼女は遠い惑星へと帰らなければならないのだ。大人たちが決めたルールに反発したふたりは、危険で大胆な逃避行に出るのだが──

 
原題: How to Talk to Girls at Parties
邦題: パーティで女の子に話しかけるには
 
出演: エル・ファニング、アレックス・シャープ、ニコール・キッドマン
 
監督・脚本: ジョン・キャメロン・ミッチェル
脚本: フィリッパ・ゴスレット
プロデューサー: ハワード・ガートラー、イアン・カニング
原作: ニール・ゲイマン
撮影: フランク・デマルコ
美術: ヘレン・スコット
衣装: サンディ・パウエル
音楽: ニコ・ミューリー、ジェイミー・スチュワート
2017年 / イギリス、アメリカ / カラー / シネスコ / 5.1chデジタル / 103分
字幕翻訳: 稲田嵯裕里
配給: ギャガGAGA★
© 2017 IN Splitter, L.P. All Rights Reserved.
 
2017年12月1日(金)
新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ渋谷他 全国順次ロードショー!
 
映画公式サイト
 

この記事の著者

蒼山 隆之アーティスト/インタビュア/ライター

映画俳優や監督のインタビュー、映画イベントのレポートを主に担当。
東京都内近郊エリアであれば、何処にでも自転車で赴く(電車や車は滅多に利用しない)スプリンター。

そのフットワークを活かし、忙しい中でもここぞという時は取材現場に駆けつけ、その時しかないイベントを現地から発信したり、映画人の作品へ対する想いを発信するお手伝いをしている。

また、自身も表現者として精力的に活動を展開。

マグマ、波、雷など、自然現象から受けたインスピレーションをブルーペイントを用いたアートで表現する「Blue Painter」として、数々の絵画作品を制作。銀座、青山、赤坂などで開催する個展を通じて発表している。

俳優の他、映画プロデューサーやインテリアデザイナーと幅広い顔を持つブラッド・ピットをこよなく尊敬している。

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