主演・製作 ブラッド・ピット来日記者会見
世界的大スター・ブラピ渾身の作品
俳優&製作者として約2年ぶりの来日!
ブラッド・ピット主演・製作の本格スペース・アドベンチャー『アド・アストラ』(原題:Ad Astra)が9月20日(金)より全国ロードショーとなる。
世界的人気俳優ブラッド・ピットがエリート宇宙飛行士ロイ・マグブライドを、オスカー俳優トミー・リー・ジョーンズがその父親を演じ、ハリウッドスター同士の初共演も話題となっている世界大注目の作品だ。監督はヴェネチア国際映画祭やカンヌ国際映画祭などで常連のジェームズ・グレイ。本作の主人公ロイ・マグブライドは地球外知的生命体の探求に人生を捧げた英雄の父を見て育ち、自身も宇宙飛行士の仕事を選んだ男性。その父は地球外生命体の探索の中で行方不明となってしまう。その父のドラマと、父の謎に迫るミステリアスな展開となっている。
先日の第76回ヴェネチア国際映画祭(8月28日~9月7日)のコンペティション部門で初お披露目され、上映後にスタンディングオベーションが湧き起こったという。ブラッド・ピットは上映後「この壇上にいる全員が全力投球しました」と本作の完成に大きな自信をみせている。
9月12日(木)、東京・お台場の日本科学未来館で主演・製作を務めるブラッド・ピットの来日記者会見が開催された。特別ゲストとして毛利衛氏(日本科学未来館館長・宇宙飛行士)、山崎直子氏(一般社団法人Space Port Japan代表理事・宇宙飛行士)が登壇。今回初めて宇宙飛行士を演じたブラッド・ピットと、実際に宇宙飛行の経験を持つ毛利氏、山崎氏との間でどのような話が飛び出すのかイベントへの期待が大きい。
大スター ブラピの登場に拍手が鳴り止まない
親日家としても知られるブラッド・ピットたっての希望で、日本がアジアで唯一の訪問国。約2年と4ヶ月ぶり、12度目の来日となる。8日から9日にかけて首都圏を直撃した台風15号の影響で搭乗予定だったフライトが欠航となったが、無事に成田に到着し、日本科学未来館で記者会見の運びとなった。
日本科学未来館の前には若いファンが一目見ようと待ち構えている中、報道陣も続々と集まってきた。世界的ハリウッドスターの来日と本物の宇宙飛行士との対談ということで会場は期待と緊張が入り混じった雰囲気だ。記者会見は二部構成となっており、最初にブラピのステージ、次に毛利氏と山崎氏を交えたトークセッションが行われた。
ジーンズ姿にハンチング帽をかぶったブラピが会見場に姿を表すと拍手とため息が沸き起こり拍手が鳴り止まない。さすが世界の大スターはリラックスした衣装ですら素晴らしくカッコイイ。最初にブラピが、「大好きな東京に来られ、温かい歓迎を受け感激をしています」と挨拶をし、記者会見がスタート。
後半は二人の宇宙飛行士、毛利衛氏と山崎直子氏が登壇。ブラピから実際に宇宙へ行った二人に質問が投げかけられた。毛利氏は「自分が宇宙に飛び立った記念日にこのような会見が開かれて嬉しい」と感激をあらわに。山崎氏は「子供を置いて宇宙に旅立ったシーンに自分の気持ちが重なった」と母親ならではの心情を語った。
日本メディアの記者質問 (Q&A)
ーー 俳優とプロデューサーの二役はいかがでしたか?
ブラピ: 昼間は俳優、夜はプロデューサーをしていました。チームを作りまとめ上げる作業はまるでチームスポーツのよう。毎日が挑戦で楽しかったです。
ーー 一番大変だったことは?
ブラピ: 宇宙服を着て演技をしたこと。ワイヤーに 吊るされ、まるでピーターパンみたいでした。トレーニングの間はクルクルと回され、どこまで吐くことなく耐えられるかが勝負でした。
ーー 主人公ロイの繊細な表現は映像に反映されたと思いますか?
ブラピ: この物語は一人の男性の自己発見の旅を描いています。表現がとても難しかったのですが、結果には満足をしています。
ーー この先俳優業を縮小していくと報道がされました。本当ですか?
ブラピ: 自分が心を惹かれる作品には今まで通り参加するつもりです。複雑な心の表現が好みです。
ーー リアルで迫力ある宇宙の撮影は?
ブラピ: 監督のジェームズ・グレイとシネマトグラファーのホイテ・ヴァン・ホイテマの努力の賜物だと思います。CGにはあまり頼らず、真実味を追求したアナログな撮影手法にこだわりました。
ーー 今回の来日で楽しみにしていることは何ですか?
ブラピ: 台風のせいで飛行機が飛ばなくて…。(残念そうな表情)でもいつか京都で古い建物を見たり、鯉を育てている場所に行ってみたいです。
ーー 自我との闘いを宇宙を舞台に描きたかった理由はありますか?
ブラピ: 映画の魅力は、人間の葛藤にスポットを当てられることです。人間の存在の謎を象徴するのが宇宙。人生がうまくいかない主人公ロイの自分の存在価値や喪失感と向き合うために太陽系の彼方まで旅をさせたかったのです。
ーー この役を演じたかった理由は?
ブラピ: まずジェイムズ・グレイ監督とは昔からの友達でした。一緒に仕事をしたいと話し合っていたのですが、年に一本しか出演できない状況でした。この作品は題材に惹かれ、いつも念頭にあり実現することになったのです。
ーー 理想的な監督とは?
ブラピ: 個人の視点を持っている人です。強いストーリー性と視点が重要だと思います。面白い方向性も大切です。
アジア各国メディアの記者質問 (Q&A)
続いてアジアのプレスの質問タイムとなった。
今回、アジアでのプロモーションは日本だけということもあり、アジア各地域からも大勢のプレスが集まった。
ーー 難しいシーンやアップでの撮影が多く、ある意味裸にされているようでした。監督にどう説得されたのですか?(シンガポール)
ブラピ:自分が信用している監督の要求には、いつでも応じられるものなのです。皆さんもジェームズ監督お会いしたら、欠点の話も含め人間的にオープンな関係を築けると思います。今回の演技は“静的”なものになるので、物足りなかったら教えて欲しいとお願いしました。
ーー この役ロイを演じることで、男の子の夢“宇宙飛行士”の気分になれましたか?(フィリピン)
ブラピ:自分の中の少年の部分が、宇宙船に乗るだけで興奮しました。以前パイロットのライセンスを取得したのですが、コックピットに乗るだけで楽しい時間を過ごせました。
ーー 映画の中で何度も現在の状態の心理テストをしていました。今はいかがですか?(フィリピン)
ブラピ: 時差ボケでお腹が空いていますが、まだ寝ません。というのは、東京の町をもっと見たいからです(笑)。
毛利衛&山崎直子の登壇にブラピが「リアル」と感激!
引き続き日本人として初めてスペースシャトルに乗り込んだ毛利衛氏と国際宇宙ステーションの組み立てに携わった山崎直子氏が登壇し、それぞれ映画の感想を述べた。
毛利: 9月12日は、1992年に宇宙へ飛んだ日です。そんな日にブラッド・ピットさんにお会いできて嬉しいです。ピットさんの演じる表情が繊細で、すごい俳優なんだと改めて驚かされました。
山崎: 圧倒的美しさと壮大さは、細部まで魂を込めた賜物だと感動しました。宇宙飛行士の立場から言うと、子どもを地球に残してミッションを遂行する宇宙飛行士に心をえぐられるように感じました。
ブラピ: 地球を宇宙から見た時の感想を教えてください。
毛利: 地球は誰が見ても美しいことを世界中の人に伝えたいです。子どもの頃、宇宙飛行士ガガーリンの「地球は青かった」という言葉にどんな“青”なんだろうと思っていました。実際に宇宙から見るとそれ以上の美しさでした。
山崎: 地球は青いと言葉の上で知っていましたが、理屈ではなく身体で感じる美しさでした。
ブラピ: また宇宙に行きたいですか?
山崎: もちろんです。
毛利: 今度は火星に行きたいです。
3人の登壇者の機転の利いたユーモアに会場が笑いに包まれたまま記者会見は無事に幕を閉じた。
[スチール撮影: 坂本 貴光 / 記者: 花岡 薫]
イベント情報
映画『アド・アストラ』ブラッド・ピット来日記者会見■開催日: 2019年9月12日(木) |
フォトギャラリー
映画『アド・アストラ』予告篇
映画作品情報
《ストーリー》主人公ロイ・マグブライドは地球外知的生命体を探求に人生を捧げた英雄の父を見て育ち、自身も宇宙士の仕事を選んだ。しかし、その父は地球外生命体の探索に出た船に乗ってから16年後、43億キロ離れた太陽系の彼方で行方不明となった。 だが、父は生きていた──。 地球から43億キロ離れた太陽系の彼方で消息を絶った父。彼はなぜ生きていたのか?そして、なぜ危険な実験を抱えたまま彼は姿を消したのか?──父の謎を追い、宇宙の彼方でロイ・マグブライドが見たものとは? 隠された秘密が今、明らかとなる壮大なスペース・アドベンチャー大作。 |
原題・英題: Ad Astra
製作: ブラッド・ピット 他
脚本: ジェームズ・グレイ&イーサン・グロス
撮影: ホイテ・ヴァン・ホイテマ