
映画『ゆきてかへらぬ』
本編上映付きティーチインイベント in 福岡市・西南学院大学
広瀬すずから学生たちへ力強いエール
「やりたい事を大切に思っていたら人生楽しい!」
2月13日(木)、映画『ゆきてかへらぬ』の公開を記念して本編上映付きティーチインイベントが福岡県福岡市の西南学院大学で開催。上映後には出演者の広瀬すず、木戸大聖、監督の根岸吉太郎をゲストに迎え、映画に関する質問に答えながらのトークセッションが行われた。
会場となる西南学院は大正5年に創立(大学は1949年開設)。文学賞受賞者のOBを輩出しており、イベントには学生らも多数参加した。
上映後の余韻と興奮がまだ冷めやらぬ会場に、主演の広瀬すず、共演の木戸大聖、根岸吉太郎監督が登壇。拍手が鳴りやまぬ中、福岡の印象を聞かれた広瀬は「あんまりお仕事で福岡にそんなに来たことがなくて、今回はTHE福岡なので楽しみにしてきました!」と元気いっぱいに答え、会場のボルテージはマックスに!
続いて福岡県北九州市出身で木戸は「福岡には5歳までしかいなかったので、皆さんの前で福岡を語るのは恥ずかしいんですけども、自分の中の福岡っぽさは確かに残っています。やっぱり今無くなってしまった遊園地や、PayPayドームにもよく応援に行ってました」とにこやかに答えた。
喧嘩のシーンはまさに、戦争!
本作では、木戸演じる天才詩人・中原中也、岡田将生演じる文芸評論家・小林秀雄の2人の天才に愛されながら、自身の夢や想いを真っ直ぐに貫いた女優・長谷川泰子を演じた広瀬。演じた役柄についての感想を聞かれると「泰子さんみたいに正直で人間らしく生きている姿に、うらやましいなと思う部分があったり、かっこいいなって思う部分があったり、自分をちゃんと表現できてる人だと感じました」と泰子という役へのリスペクトを語った。
一方で、詩人・中原中也を演じるため、山口県の中原中也記念館にも足を運んだ木戸は「詩が映画の中に出てくるっていう経験は中々無くて、僕自身が読むシーンがあったので、そのシーンは一番注力したのは勿論、中也についてもしっかり勉強しました」と実在の人物を演じる上での苦労を明かした。
2人の役者の言葉を受けた根岸監督は「実はこの物語、トータルすると15年間ぐらいの時間経過があるんですよね。映画の中では描き切れていない、色んな出会いや出来事によって、登場人物たちも凄く変化していくんですよね。そんな変化をどんどん演じ分けていかなきゃいけないから、かなり難しい仕事だったと思います。それをよくやりきったなって思いますよ」と手放しで広瀬と木戸を賞賛した。
特に印象的に残ったシーンについて聞かれた広瀬は「泰子が中也の元を去って小林(岡田)の家に行って、なぜか中也も含めて3人でウイスキーを飲むシーンです」と明かし「あのシーンはすごいカオスというか。3人の関係性が凄く表れていて、それぞれの目線がめちゃくちゃ面白い事になってるなと、結構好きなシーンになりました」とあらゆる役を演じてきた広瀬にとっても挑戦しがいのあるシーンだったことが伺える。
木戸は「僕はやっぱりダンスホールのシーンですかね。あのワンシーンの中に幾つもの感情が入っています。楽しく踊っていると思ったら、突然喧嘩になるし、小さなきっかけで、泰子が怒って中也もそれに怒って、小林は冷静に座りながら見てるみたいな。あのワンシーンの濃密具合は凄かったですね」と映画の中で最も激しいシーンの思い出を回顧。「完成した本編も凄かったけど、実際の現場はもっと激しくて」と苦笑していると、広瀬が「監督が全然カットかけてくれないから…私達どんどん2人でヒートアップしてね、止めてくれる大人がどんどん増えていって、手が使えなくなったら私、最後は足出してましたけど…まさに戦争って呼んでました」と互いに本気でぶつかり合ったエピソードを笑いながら振り返っていた。
今後の人生後悔のないように何でもチャレンジしてほしい!
また、作品のタイトル『ゆきてかへらぬ』にちなみ、自分の青春時代のエピソードと今の10代20代に伝えたいことを聞かれた広瀬は「私は14歳からこの仕事をしていて、部活とか好きなことを諦めなきゃいけなくなった瞬間があって。もちろん今になってはすごく運命的なのかなって思う瞬間もありますが、あの時に戻りたいなって思う気持ちが、今になって思うことも多くて。でも意外と流れに身を任せてみたら、自分だけでは見れなかった景色を見れたりとか、どっちもどっちだなって、思えるようになってきて、今は自分が楽しくいれることだったり、やりたい事を大切に思っていたら、人生楽しいかも!という思考になれるようになりました」と知られざる十代の頃の悩みを吐露しつつも広瀬のポジティブな人生観に会場の学生は静かに頷いていた。
木戸は「僕は学生時代っていうのがしっかり青春を過ごしたんですが、夢を追いかけるっていうことにやっぱり悩んだ時期やつらい時期もありました。最近、よく考えることが、自分がいくつになって亡くなるかわかりませんが、もし80歳のときにベッドの上にいても、10代の時、20代の時、30代の時に「ああしておけばよかったなって」思わないように前向きにチャレンジするようにしています。まだ皆さんお若いと思うので、今後の人生後悔のないように何でもチャレンジしてほしいなと思います!」と力強いエールを贈った。
あの時代にこういう価値観があったことを知ってもらえたら
最後に根岸監督は「本日は本当にありがとうございます。1人でも多くの観客の方に観てもらいたいなと思っています。ぜひともよろしくお願いいたします」と深々とお辞儀。
木戸は「今日はお忙しい中、映画を観に来てくださってありがとうございます。監督がおっしゃってくれたようにこれから公開されるっていう中で皆さんみたいに若い方たちからの感想を僕らもすごく楽しみにしてます!この作品を広めてもらえたら嬉しいです!」と笑顔で作品を一押し。
広瀬は「この作品はお話頂いたのが5年前で撮影したのも2年前なので、なんかやっとこういうふうに手元から離れて届けられると考えると本当に多くの方に観ていただきたいなと思います。実在していた3人が過ごした真っ赤な青春を、今の若い同世代の方が観て、どういうふうに感じ取るのかなって凄く気になります。大正から昭和初期の時代の中でこういう女性の生き方があったりとか、価値観があったことを皆さんに知ってもらえたり、何かそれが皆さんに少しでもいい影響を与える作品になったらいいなと思います!今日はありがとうございました」と感慨深い表情で改めて心からの感謝を告げた。
イベント情報
映画『ゆきてかへらぬ』
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映画『ゆきてかへらぬ』予告篇🎞
映画作品情報
《ストーリー》京都。まだ芽の出ない女優、長谷川泰子(広瀬すず)は、まだ学生だった中原中也(木戸大聖)と出逢った。20歳の泰子と17歳の中也。どこか虚勢を張るふたりは、互いに惹かれ、一緒に暮らしはじめる。価値観は違う。けれども、相手を尊重できる気っ風のよさが共通していた。東京。泰子と中也が引っ越した家を、小林秀雄(岡田将生)がふいに訪れる。中也の詩人としての才能を誰よりも知る男。そして、中也も批評の達人である小林に一目置かれることを誇りに思っていた。男たちの仲睦まじい様子を目の当たりにして、泰子は複雑な気持ちになる。才気あふれるクリエイターたちにどこか置いてけぼりにされたようなさみしさ。しかし、泰子と出逢ってしまった小林もまた彼女の魅力に気づく。本物を求める評論家は新進女優にも本物を見出した。そうして、複雑でシンプルな関係がはじまる。重ならないベクトル、刹那のすれ違い。ひとりの女が、ふたりの男に愛されること。それはアーティストたちの青春でもあった。 |
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