映画『彼女がその名を知らない鳥たち』公開記念トークイベントレポート
【写真】映画『彼女がその名を知らない鳥たち』公開記念トークイベント

映画『彼女がその名を知らない鳥たち』
公開記念トークイベント開催!

釜山帰りの蒼井優、阿部サダヲ、白石和彌監督が登壇!
スペシャルゲスト光浦靖子の沼田まほかる愛に唸る!

ラブストーリーに夢を見られなくなった大人の女性たちに「究極の愛とは何か」と突きつけ、読者を虜にした沼田まほかるの 20万部を超える人気ミステリー小説の待望の映画化!蒼井優、阿部サダヲW主演『彼女がその名を知らない鳥たち』が10月28日(土)より新宿バルト9他、全国ロードショーとなる。

【画像】映画『彼女がその名を知らない鳥たち』メインカット

公開を記念して、10月17日(火)に蒼井優、阿部サダヲ、白石和彌監督、そして大の沼田まほかるファンを公言する光浦靖子が登壇し、ヴィレッジヴァンガード渋谷本店初の映画イベントとなる『彼女がその名を知らない鳥たち』公開記念トークイベントを開催!W主演の2人、監督、原作ファンと、それぞれの立場から本作への熱い想いがあふれ出し、キャスティングや撮影の裏話も飛び出す非常に濃厚なイベントとなった。

イベントレポート

ヴィレッジヴァンガード渋谷本店初の映画イベントで注目が集まり会場から溢れんばかりに集まった報道陣と立ち見も出るほどの観客の前に、蒼井優、阿部サダヲ、白石和彌監督が登場すると大きな歓声が上がった。

そして本屋でのイベント開催という貴重な機会に、芸能界きっての読書好きとして有名、さらに本作の原作者であり“イヤミスの女王”とも呼ばれる沼田まほかるの大ファンを公言している光浦靖子がスペシャルゲストとして登場。光浦はさっそく「すごくおもしろかったのと、映画も原作の通りだなと。あと、十和子って綺麗だったんだと(笑)。小説では気付かなかったんです、でも十和子は蒼井さんのような美人じゃなきゃつじつまが合わないということを改めて知りましたし、蒼井さんの、味というか、ぱっと見では出ていない魅力がありましたね。阿部さんのパンプアップしてない体も非常に陣治っぽくて(笑)、背中のラインとか、役作りだったなら凄いなーと。映画で謎が解けました」と原作ファンならではの視点で本作について熱く語ると、蒼井は「ほどよい顔だと思うんです(笑)。こういう顔は芸能界にいそうでいなかったりするので。本当の美人さんが来たらもっと幸せになってるはずなので、ほどよいんだと思ってます」と返した。

【写真】映画『彼女がその名を知らない鳥たち』公開記念トークイベント

白石監督がキャスティングについて「登場人物が彼女に惹きつけられていかなくてはいけないので、すごく魅力的じゃなければ、と感じたのでぜひ蒼井さんに、という思いがありました」と振り返り、続けて「阿部さんは汚し甲斐のある人で、十和子との年齢差も重要だと思いました。汚れることもいとわず、なおかつ純粋なものを抱えてなくてはいけない。阿部さんにやっていただいて気付いたのは、目は汚せないんだなと。一番重要なのは阿部さんの美しい瞳」と語ると光浦がすかさず「茶目がきれいで、だから家康(2017年大河ドラマ「おんな城主 直虎」徳川家康役)に選ばれたんだと思ったんです。家康も肖像画が茶目なので、目が一緒なんです」と、目に注目の集まった阿部は「自分が茶目だとは。うれしいですね」と照れつつ喜びを明かした。

共感できない登場人物を演じた本作について問われると、阿部は「演じてるときは楽しいんです、どこまでも汚くして良くて、それはなかなか普段できない。お店で食べていても汚く食べちゃいけないと育ってきたので、それができる楽しさもあるし、監督やスタッフさんからもアイディアがすごく出てくる。昔、ロケ弁に陰毛が入ってたことがあって、共演の方に話したらそれは腋毛かもしれないと言われ、思い込みはいけないなと感じたことを思い出しました。なんでこんなことを話してるんでしょうか?ちょっと茶目が濁る(笑)」と衝撃的なエピソードを披露し会場を沸かせ、蒼井は「脚本を読んでいるときは最低だと思ったんですが、松坂桃李さんや竹野内豊さんが自分よりもっと最低な役なので、あんまり自覚せずいられました」と話すと、光浦が「共感できなかったんです、何かを読むときってやっぱり誰かを応援しながら読むんですけど、この作品は誰一人応援せずに最後まで(笑)。全員が切なくて。

可哀そうだと言われることはよくあるけど、他人のことを可哀そうだとあまり言ったことはなくて、でもこの作品は小さすぎる世界、エンドのない地獄にハマっちゃった人たちに見えて可哀そうになっちゃいました」としみじみ語ると、白石監督は「タイトルに“鳥”とあるように、鳥かごから出られない人たちだと思ってやっていました。タイトルについてはまほかる先生からずっと宿題を出されたまま撮影をしていたような感じで、“彼女”はもちろん十和子なので、“鳥”はこの物語で気づく誰かの愛、なのかな」と同調して語った。

原作の沼田まほかる先生に話が及ぶと、大のまほかるファンを公言する光浦が「例え、言葉のチョイス、小さい単語一つ逃したくないです。どうなっても言葉に感情が誘導されてしまう。すごく好きなんです」とその愛が止まらない様子で語ったあと、阿部さんも続き「描写がものすごく細かくて、映画にもできないようなものもあってすごい。実際に見ていないとまほかる先生も書けないような、そこまでするのかという描写もある。その、量、精液の量とかなかなか。・・・あれ、ヴィレッジヴァンガードってこういうこと言っていい場所だと思ってたんですけど(笑)」と空気を一変させますが、光浦も「昔は言ってよかったんですよ!昔はね!」とフォロー。

【写真】映画『彼女がその名を知らない鳥たち』公開記念トークイベント

蒼井も「どういう人生経験をされてきたら、何を見てこられたらこんな描写が描けるのか、まほかるさんご自身に興味がわきました。なかなかいない経歴をお持ちですし。あんまり一人の方の本を読み込むことはしないんですが、ご本人に惹かれていってしまい、この映画の話をいただいていからまほかる先生のいろんな本を買って読みました」とすっかり魅了されていることを明かし、白石監督も「すごい変わった経歴をお持ちなことと、とんでもない苦しみを人生の中で味わってきたのかなと想像してしまう。その先の、なかなか人間が持てないやさしさ、厚みをものすごく感じます」と続けた。

劇中の舞台が大阪ということで関西弁に挑戦した蒼井と阿部。両親が大阪出身という蒼井は「耳なじみはあったのですが、大阪なまりが入っていると言われてきたのですが、実際100パーセントでしゃべろうと思うとこんなに難しいのかと。聞いているだけに自分で違いが分かるし、余計に気持ちわるくて。大変でした」と苦労を振り返ると、阿部も「感情がのっかってくると合ってるか本当にわからなくなる。難しかったです。でも大阪キャンペーンに行ったときに現地のアナウンサーさんたちが大丈夫だと言ってくれた。すごく厳しい方言指導の方に教わったのでよかったですね」と現地の人々からも太鼓判を押されたことを明かしましたが、白石監督が現場で突然どんどんセリフを追加してきたことについて阿部は「関西弁でアドリブなんてできないのに監督がどんどん足すんです」、蒼井も「10行以上足されたのに結局まるまるカットでしたね(笑)」とクレームを入れる事態に。

【写真】映画『彼女がその名を知らない鳥たち』公開記念トークイベント

またヴィレッジヴァンガードのスタッフからの質問を受けることになり、衝撃的なラストを迎えるこの作品のラストについて聞かれると光浦は「これ、本当に個人に寄りますよね。私はアンハッピーエンドだと思うんです。光が見えそうで、見えてないほうかな…って」と苦悩しながら話すと、阿部「じゃあ僕はハッピーエンドで」光浦さん「“じゃあ”はやめて“じゃあ”は(笑)」とおどけつつ、「こういうディスカッションができるエンドだと思うんです。僕から見たらハッピーエンドと言いたいです」と続け、蒼井さんは「日によって違うんです。あのラストについて考えることがよくあるんですけど、美しい、すごいものを見たなと突き抜けれる感じのときと、突き落とされる感じのときと。話す相手によっても変わってくるのがおもしろいし、きっと1人で観に行かれると悶々とされる思うので、ぜひお友達と言ってほしい」と作品のアピールを忘れず、白石監督も「この作品を見てよかったよーとハグを求めてくれるのは陣治寄りの汚いオッサンが多いんです。僕もどちらかというとそちら側なので、自分にはたまらない終わり方です。ハッピーであってほしい。何をどう託したかを見てほしい映画になりました」と語り、全員のこの作品への熱い想いがあふれ、終了してしまうことが名残惜しくなる空気に包まれた非常に濃厚なイベントとなった。

[スチール写真&レポート: オフィシャル提供 ]

イベント情報

<映画『彼女がその名を知らない鳥たち』公開記念トークイベント>

日時: 2017年10月17(火)
場所: ヴィレッジヴァンガード渋谷本店
登壇者: 蒼井優、阿部サダヲ、白石和彌監督 / スペシャルゲスト:光浦靖子

映画作品情報

【画像】映画『彼女がその名を知らない鳥たち』ポスタービジュアル

《ストーリー》

八年前に別れた男・黒崎を忘れられない十和子は、今は15歳上の男・陣治と暮らしている。
下品で、貧相で、地位もお金もない陣治を激しく嫌悪しながらも、彼の稼ぎで働きもせず日々を過ごしていた。ある日、十和子は黒崎の面影を思い起こさせる妻子ある男・水島と関係を持ち、彼との情事に溺れていく。そんな時、家に訪ねてきた刑事から「黒崎が行方不明だ」と知らされる。どんなに足蹴にされても文句を言わず、「十和子のためなら何でもできる」と言い続ける陣治が、執拗に自分をつけ回していることに気付いた十和子は、黒崎の失踪に陣治が関わっているのではないかと疑い、水島にも危険が及ぶのではないかと怯え始める――

 
出演: 蒼井優、阿部サダヲ
松坂桃李 / 村川絵梨、赤堀雅秋、赤澤ムック、中嶋しゅう / 竹野内豊監督: 白石和彌
原作: 沼田まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち」(幻冬舎文庫)
制作プロダクション: C&I エンタテインメント
製作: 映画「彼女がその名を知らない鳥たち」製作委員会
配給: クロックワークス2017年 / 日本 / カラー / シネマスコープ / DCP / 5.1ch / 123分 / R15
© 2017映画「彼女がその名を知らない鳥たち」製作委員会
 
2017年10月28日(土) 新宿バルト9他全国ロードショー!
 
映画公式サイト
公式Twitter: @kanotori_movie
公式Facebook: www.facebook.com/kanotori.movie/

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