第10回 TAMA映画賞 授賞式レポート
【写真】第10回 TAMA映画賞 授賞式 (フォトセッション)

第10回 TAMA映画賞 授賞式

記念すべき第10回を迎えた映画賞🏆
各賞受賞者のそれぞれの思いとは…?

東京都多摩市で毎年晩秋に開催されている映画ファンの祭典「第28回 映画祭 TAMA CINEMA FORUM」が今年も11月17日(土)から11月25日(日)、多摩市内の3会場4スクリーンで開催される。

11月17日(土)TAMA映画祭の初日、2009年に発足してから今年で第10回目を迎えた「第10回 TAMA映画賞」の授賞式がパルテノン多摩にて開催され、各賞の受賞者に選ばれた国内外で活躍中の監督、俳優たちが一同に集った。

【写真】第10回 TAMA映画賞 授賞式

例年に引き続き今年も素晴らしい作品と監督、俳優たちが選出され、各賞の受賞者には表彰状と花束、多摩市の土で焼いた多摩焼きで作られているトロフィー、副賞として男性の受賞者には多摩市商工会議所よりお菓子やお酒など多摩市特産品、女性の受賞者にはパルテノン多摩よりオリジナルオルゴールがそれぞれ授与された。

受賞結果と受賞者コメント、授賞式の模様は下記の通り。

最優秀新進女優賞
2018年度最も飛躍した女優、もしくは顕著な活躍をした新人女優を表彰

 深川 麻衣
『パンとバスと2度目のハツコイ』

深川は「『パンとバスと2度目のハツコイ』は私にとってずっと憧れだった映画の世界に溶け込めさせていただくきっかけになり、また、初めて主演を務めさせていただいた作品です。すごく思い入れのある作品で受賞させていただけて嬉しいです」と受賞の喜びを語った。自身の演じた市井ふみについては「静岡県出身で、美術をやっていたというのは、実際に私に寄せて描いていただいたので演じやすかった」と話した。

【写真】第10回 TAMA映画賞 授賞式 (深川麻衣)

 伊藤 沙莉
『榎田貿易堂』『パンとバスの2度目のハツコイ』『寝ても覚めても』『blank13』

伊藤は「私は9歳からこの仕事をしているのですが、今に至るまでの15年間は決して楽しいことだけではなく、心底悔しいことも、傷ついたこともたくさんありました。ですが、こうして誰かに認めてもらえることは本当に幸せなことだと思っています。今ここに立ててるのはいろんな人たちの支えがあるからだと思っています」と謝意を表した。

今後の予定を聞かれると「今までやったことのない役や、やったことのないジャンルの作品を演じたい」と抱負を語った。

【写真】第10回 TAMA映画賞 授賞式 (伊藤沙莉)

最優秀新進男優賞
2018年度最も飛躍した男優、もしくは顕著な活躍をした新人男優を表彰

 吉村 界人
『モリのいる場所』『悪魔』『サラバ静寂』『ビジランテ』

吉村は「すいません。失礼します」と謙遜しながら、「こういう場所に立てて、今すごくテンパってます。いろんな気持ちがあるなかで俳優をやらせていただいていて、すごく嬉しく感じてます」と緊張しながらも受賞の喜びを話した。吉村のコメント一言一言に笑う観客に対し「笑いすぎですよね」とつっこむ場面も。また、「何も持ってないけどがんばろう!って気持ちで鼓舞している」と自身の思いを宣言した。

【写真】第10回 TAMA映画賞 授賞式 (吉村界人)

 吉沢 亮
『リバーズ・エッジ』『猫は抱くもの』『銀魂2 掟は破るためにこそある』『ママレード・ボーイ』 『悪と仮面のルール』『レオン』『斉木楠雄のΨ難』

吉沢は「このような賞をいただくのは初めてで、映画を愛しているTAMA映画賞でいただけて嬉しいです」と受賞の喜びを話した。司会から受賞作の映画『リバース・エッジ』の撮影現場について問われると、「現場はすごく爽やかで、仲良くみんなでご飯を食べたりしました。その中でもすごく刺激的だったのが、90年代の空気感を心情的につけるわけではなく僕たち世代が思う90年代が見たいとおっしゃっていた」と撮影当時を振り返った。今後やってみたい役柄を聞かれると「超普通の男というか、なんにも特徴がない等身大の普通の男を演じたい」と笑顔でコメントした。

【写真】第10回 TAMA映画賞 授賞式 (吉沢亮)

最優秀新進監督賞
2018年度最も飛躍した監督、もしくは顕著な活躍をした新人監督を表彰

 三宅 唱
『きみの鳥はうたえる』

三宅監督は、「『君の鳥はうたえる』はシネマアイリスという函館の市民映画館で作ろうと企画を始めた一本です。映画祭をやって何になるのかと思う方もいるけど、絶対映画祭が必要って思ってる方もいるので素晴らしいことだと思います」と自身の映画祭への思いを話した。今後の抱負を聞かれると「函館で作品を撮った後に山口県の中高生と一緒に作った作品があるので是非よろしくお願いします」とコメントした。

 【写真】第10回 TAMA映画賞 授賞式 (三宅唱監督)

 今泉 力哉
『パンとバスと2度目のハツコイ』

今泉監督は「『パンとバスと2度目のハツコイ』にも出演されている深川麻衣さんと伊藤沙莉さんと一緒に受賞できて嬉しいです」と受賞についての思いを話した。それに対し、深川は「今泉監督のオリジナルで、撮るギリギリまで相談してくださった」と撮影を振り返り、伊藤は「今泉監督が寄り添ってくださり、空気がより心地が良くて、しっかりしたビジョンのもとに一緒に導き出してくださった」と話した。

【写真】第10回 TAMA映画賞 授賞式 (今泉力哉監督、深川麻衣、伊藤沙莉)

今後の予定を聞かれた今泉監督は「『愛がなんだ』が2019年春、『アイネクライネナハトムジーク』が2019年秋に公開、さらにはまだ公にできない準備中の作品もあるので、気にしていただけたらと思います」と今後の予定について話すと、どうしても言いたかったようで「映画とは関係ないんですが、最優秀男優賞の東出昌大さんと最優秀新進男優賞の吉沢亮さんとたまたま誕生日が3人一緒なんです」と披露し、会場を笑いに包んだ。

【写真】第10回 TAMA映画賞 授賞式 (今泉力哉監督)

最優秀女優賞
2018年度最も心に残った女優を表彰

 安藤 サクラ
『万引き家族』『DESTINY 鎌倉ものがたり』

安藤は予定が合わず授賞式には参加できなかったためビデオメッセージが流された。ビデオメッセージでは「『万引き家族』の撮影ではあの撮影があったから今、お仕事と子育てができているんだと思います。産後間もない私をスタッフの方々がすり合わせてくださって、今回この賞がいただけたんだと思います」と謝意を示し、「今回は『万引き家族』が作品賞とまた、茉優ちゃんと同じ賞を受賞できて嬉しいです。これからも頑張って行こうと思います」とコメントを残した。

【写真】第10回 TAMA映画賞 授賞式 (安藤サクラ)

 松岡 茉優
『勝手にふるえてろ』『万引き家族』『ちはやふる -結び-』『blank13』

松岡は「本当に嬉しくてたまりませんが、もしこの映画賞の最優秀女優賞が1名のみだったら私は確実にここにはおりません。完全な2位だと思っています。『万引き家族』をご覧になった方はご存知かと思いますが、サクラさんが話題になったあるシーンがあります。試写でそのシーンを見たリリーフランキーさんが”安藤サクラはあのシーンだけで8個賞が取れる”と言っておりました。私はあのシーンをみて悔しいと思いました。ただ2年前映画祭で新人女優賞をいただいてからの私の1番の成長はサクラさんのあのシーンを観て悔しいと思えたことです。サクラさんに追いつきたい、追い越したいと思えました。今回最優秀女優賞をいただいて認めてもらえたという自信と、温かい気持ち、また映画を観てくださった皆さんの後押しでこれからも飛躍していくことを誓います」と素直な気持ちを交えながら今後の活躍について宣言した。映画『勝手にふるえてろ』について聞かれると、「勝手にふるえてます」と会場を笑いに包み、「監督とはヨシカを通してたくさん話が出来た」と撮影を振り返った。今後の抱負を聞かれると「少しフライングですが、次回作の主演をさせていただき、頑張っていますので、また多摩映画祭に呼んでいただけるように精進します」とコメントした。

【写真】第10回 TAMA映画賞 授賞式 (松岡茉優)

最優秀男優賞
2018年度最も心に残った男優を表彰

 東出 昌大
『寝ても覚めても』『菊とギロチン』『パンク侍、斬られて候』『OVER DRIVE』 『予兆 散歩する侵略者 劇場版』

11月18日(日)の『寝ても覚めても』の上映プログラムとトークショーに合わせて授賞式を実施。

【画像】映画『寝ても覚めても』東出昌大

© 2018 映画「寝ても覚めても」製作委員会/ COMME DES CINÉMAS

 松坂 桃李
『孤狼の血』『娼年』『不能犯』『彼女がその名を知らない鳥たち』

松坂は、「TAMA映画賞は今年で10周年なんですよね。ちょうど僕もお芝居を初めて10周年が経ちました。このタイミングで受賞できたことは何かの縁かと思い、先ほど10年を振り返ったんです。1年目、初めてドラマが決まった時は『松坂くんはバーターだね』と言われました(笑)。バーターというのは事務所の売れている方の力を使って出させてもらうということで(笑)。この現実を受け入れろと言われました。2年目は、『今年結果を出さないと貴方は終わりです』と言われまして、3年目、『ここで結果を出さないと本当に終わりです』とマネージャーから言われました(笑)。4、5、6年目と1年に1回以上は精神的に不安になる言葉をかけられ続け、メンタルが強くなりました。そんな10年の中で数々の作品でいろんな共演者の方と出会い、素敵な時間を過ごさせていただきました。ボロ雑巾のように扱われてたんですけどね(笑)。今年で37歳なんですけど30歳以降はたくさんの受けた恩を一個一個丁寧に向き合いながら返しています」と自身の俳優人生を振り返り、会場を笑いに包んだ。

【写真】第10回 TAMA映画賞 授賞式 (松坂桃李)

『孤狼の血』で共演した役所広司とのことを聞かれると、「包み込むような厳しい空気を感じつつも、いてくださるだけで締まるといいますか、あの背中は本当に大きかったなと思います」とコメント。最後に今後の抱負を聞かれると、松岡同様に次回作『蜜蜂と遠雷』について「ぜひ楽しみにしていてください」と話した。

【写真】第10回 TAMA映画賞 授賞式 (松坂桃李)

特別賞
映画ファンを魅了した事象に対し表彰

 上田慎一郎監督、及びスタッフ・キャスト一同
『カメラを止めるな!』

来場できなかった上田慎一郎監督に代わり、市橋浩治プロデューサーとキャスト陣が登壇。

市橋プロデューサーは「上田慎一郎監督はじめ、スタッフ、キャストの協力のもと撮れた作品です。本当にありがとうございます」と謝意を示した。

【写真】第10回 TAMA映画賞 授賞式 (市橋浩治プロデューサー)

授賞式に予定が合わず来場できなかった上田慎一郎監督からはビデオメッセージが「受賞者の対象が監督、及びスタッフ・キャスト一同となっていてカメ止めらしくとても嬉しく思います。みんなで作ってみんなで届けた作品です。映画賞をいただき背中を押されました、頑張ります。映画は続ける、カメラは止めない!」メッセージを残した。

【写真】第10回 TAMA映画賞 授賞式 (上田慎一郎監督)

授賞式には映画『カメラを止めるな!』のキャスト10名が登壇し一言ずつコメントを話した。上田監督に変わり今後の展開を聞かれた市橋プロデューサーは、「映画祭だとか、単独での公開に向け活動していきます。夢を持ってる人たちと今後もこのような感じで応援しつつ活動していきたいと思っています」とコメントを残し、最後にキャスト全員でゾンビポーズをする場面も。

【写真】第10回 TAMA映画賞 授賞式 (映画『カメラを止めるな!』市橋浩治プロデューサー&キャスト10名 カメ止め・ゾンビポーズ!)

 沖田修一監督、及び山﨑努、樹木希林
 スタッフ・キャスト一同

『モリのいる場所』

沖田修一監督と主演の山﨑努が登壇。

沖田監督は「こうして山崎努さんの横に立って監督した映画で賞を取れて嬉しいです」と受賞の喜びを明かした。

【写真】第10回 TAMA映画賞 授賞式 (沖田修一監督)

山崎は「何にもことの起こらない映画です。また、いろんな人が関わって来たりする映画です。ここに樹木希林がいればもっとよかったですが、残念です」と思いを話した。「自分が憧れている人を演じるのはとても苦労した」と話し、それに対して沖田監督は「何も起こらなくはないんです。いろんな冒険が待っています」とコメントした。

【写真】第10回 TAMA映画賞 授賞式 (山崎努)

吉村は「すごく自由にやらせていただいて楽しかったです」と撮影を振り返った。

【写真】第10回 TAMA映画賞 授賞式 (沖田修一監督、山崎努、吉村界人)

今後の抱負を聞かれた山崎は「無いです。しばらく冬眠して、冬眠したまま消えていきたいと思っています」と答え、会場の笑いを誘った。

【写真】第10回 TAMA映画賞 授賞式 (山崎努)

最優秀作品賞
2018年度最も活力溢れる作品の監督及びスタッフ・キャストに対し表彰

『寝ても覚めても』
 濱口竜介監督、及びスタッフ・キャスト一同

来場できなかった濱口竜介監督の代わりにエグゼクティブプロデューサーの福嶋更一郎が登壇した。

濱口監督はビデオメッセージで、「『寝ても覚めても』では、とても素晴らしい役者さん方と仕事ができ、映画にも出演された東出昌大さん、伊藤沙莉さんが今回受賞ということで嬉しく思っています。お二人とも映画の中で自分のキャラクターを素晴らしく演じてくださり、素晴らしい映画になりました。これからも映画祭で上映していただけるように頑張りたいと思います」と喜びとこれからの意気込みを語った。

【写真】第10回 TAMA映画賞 授賞式 (濱口竜介監督)

福嶋プロデューサーは「カンヌでも日に日に期待され、ワールドプレミアでも約10分間拍手をいただきました。その次の日の公式記者会見でも活発に記者から質問があり、これはヒットするんじゃないか?!とプロデューサーとして思いました」と自身の思いを話した。『寝ても覚めても』に出演している伊藤は「ワークショップから始まったんですけど、全部最初にセリフを棒読みで読むところから始まるんです。それが意外と難しくて感情的に読んでしまって、繊細に指導してくださいました」と濱口監督の撮影現場について話した。福嶋プロデューサーは「香港で公開されたり、フランスでも公開の準備をしています」と今後の展開について話した。

【写真】第10回 TAMA映画賞 授賞式 (福嶋更一郎エグゼクティブプロデューサー)

『万引き家族』
  是枝裕和監督、及びスタッフ・キャスト一同

フランスに滞在中の是枝裕和監督からビデオメッセージが届き、「安藤サクラさん、松岡茉優さんの受賞作品の中に映画『万引き家族』が入っていて嬉しいです。また、転機となるような大きな作品になり、この作品をこういった形で評価していただき嬉しく思っています」と受賞の喜びを語った。

【写真】第10回 TAMA映画賞 授賞式 (是枝裕和監督)

カンヌでのことを聞かれた松岡は「雨が降ったり止んだりとなかなか難しいお天気模様だったんですが、樹木希林さんが雨のカンヌが見られてよかったとおっしゃっていました。私も雨の日は気持ちが落ちてしまうけど雨は雨でその景色として、その時しか見れないものがあるんだなと思い希林さんの深さを感じました」と振り返った。

一同を代表して授賞式に登壇した松崎薫プロデューサーは『万引き家族』について、「私たちが最初に想定したよりも大勢の方に観ていただけて、今週末もロシア、来週からはアメリカなど各国で観ていただけて嬉しいです」と謝意を示した。

【写真】第10回 TAMA映画賞 授賞式 (松崎薫プロデューサー、松岡茉優)

最後に、受賞者が一同に並んで記念写真撮影を行い、2時間に渡り行われた第10回TAMA映画賞授賞式は終了した。

【写真】第10回 TAMA映画賞 授賞式 (フォトセッション)

[記者: 井上 綾乃 / スチール撮影・編集: Cinema Art Online UK]

イベント情報

第10回 TAMA映画賞 授賞式

■開催日: 2018年11月17日(土)
■会場: パルテノン多摩 大ホール
■登壇者:
プレゼンテーター(TAMA映画フォーラム実行委員会): 阿部裕行(名誉会長/多摩市長)、水野信利(名誉委員長)、野坂きよか(名誉委員長)、竹内昇(委員長)
受賞者: 是枝裕和監督(ビデオメッセージ)、松崎薫プロデューサー、濱口竜介監督(ビデオメッセージ)、福嶋更一郎エグゼグティブプロデューサー、沖田修一監督、山﨑努、上田慎一郎監督(ビデオメッセ―ジ)、真魚、しゅはまはるみ、長屋和彰、細井学、市原洋、大沢真一郎、合田純奈、吉田美紀、浅森咲希奈、山口友和、上田慎一郎監督、安藤サクラ(ビデオメッセ―ジ)、松岡茉優、今泉力哉監督、三宅唱監督、吉村界人、吉沢亮、深川麻衣、伊藤沙莉

◆TAMA映画賞ページ
http://www.tamaeiga.org/award/

◆TAMA映画賞特設サイト
https://www.tamaeiga.org/award/history/

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