全米が喝采したミュージカル映画の最高峰
恋と夢・・そして古き良き時代へのオマージュが躍りに踊る!
《ストーリー》
いつの日か晴れの舞台で輝けることを夢見ている女優志望のミア(エマ・ストーン)。カフェでアルバイトをし友人とルームシェアしながら日々オーディションを受けているが、なかなか陽の目を見ることができない。一方、いつの日か自分が望むジャズをプレイ(演奏)できるお店を持ちたいと願っているセブ(ライアン・ゴズリング)もなかなか思うように夢を実現することができない。そんな二人がふとしたことから出会い、やがて恋に落ちる。互いに似た境遇で、それぞれの夢を語り合うミアとセブ。季節が進むにつれて二人の仲は深まるばかりだったが・・・
《みどころ》
今年の映画賞レース。ゴールデングローブ賞からアカデミー賞まで駆け抜けた「ラ・ラ・ランド」の狂騒と熱量は、まだ記憶に新しい(そして前代未聞のアカデミー作品賞の誤発表も)。ハリウッドの映画関係者各位、有名新聞紙を始めとする数々のマスコミ、そして全アメリカの国民が称賛を浴びせた映画。恋愛と夢をふんだんに盛り込んだ王道のシナリオ。ポップでキャッチーな音楽。そしてノスタルジー色あふれるセットの数々。本作はまさに「THE アメリカ」を具現化した映画だ。残念ながら大本命に推されたアカデミー賞で、本丸とも言うべき作品賞は逃したが、だからと言ってこの映画の評価が微塵も下がることはない。『シカゴ』(2002年)や『レ・ミゼラブル』(2012年)といった数々の名作を引き継ぐミュージカル映画の金字塔。その歴史にしっかりと名を残すことだろう。
ヒロイン・ミアに起用されたのは、エマ・ストーン。『アメイジング・スパイダーマン』(2012年)や『バードマン あるいは (無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(2014年)など女優としてのキャリアを着実に重ね、まだ若いのに早くも風格すら漂う存在感バツグンの女優だ。ヒーロー・セブ(正確にはセバスチャン)には、その甘いマスクで日本にもファンが多いライアン・ゴズリング。二人のロマンスが大半をしめる物語は、まさに二人の独壇場。同じ監督の作品「セッション」で強烈な個性を放っていたJ・K・シモンズなども出演しているが、今作に限って言うと、どんな名優でもエマとライアンの後塵を拝す他にない。奇しくもこの二人が恋人役で共演するのはこれで三度目。息もピッタリ合おうというものだ。
ファッションや街並みなど、カラフルで煌めくようなビジュアルも本作のみどころの一つだが、同時にそれらを効果的に観客の体内へ沁みこませる監督デミアン・チャゼルのカメラワークや演出も実に見事。メガホンをとるのは、前述した『セッション』に続きまだ二度目だが、アカデミー監督賞の戴冠に相応しい堂々たる仕事ぶり。卓越したセンスあふれる才能で、今後もますます活躍が期待される監督だろう。
あきらめずに夢を追い続けた二人の恋の物語。最後の結末も含めて、観る人が十人いれば十通りの感傷が残るかもしれない。が、まるで夏の打ち上げ花火のような刹那の輝きを感じる映画というのは、満場一致の思いではないだろか。
映画『ラ・ラ・ランド』予告篇
映画作品情報
ミュージカル / コメディ部門 作品賞、主演女優賞、主演男優賞
監督賞、作曲賞、主題歌賞、脚本賞
監督賞、主演女優賞(エマ・ストーン)、撮影賞、美術賞、作曲賞、主題歌賞(City of Stars)
原題: LA LA LAND
原題: 2016年 / アメリカ / 128分 / カラー / シネスコ / 5.1ch デジタル / 字幕翻訳:石田泰子
劇場公開日: 2017年2月24日
Photo credit: EW0001: Sebastian (Ryan Gosling) and Mia (Emma Stone) in LA LA LAND.Photo courtesy of Lionsgate.