映画『流浪の月』完成披露試写会 舞台挨拶
広瀬すず、松坂桃李、横浜流星、多部未華子、李相日監督が登壇!
広瀬すずと松坂桃李をW主演に迎え、李相日監督の最新となる映画『流浪の月』が、5月13日(金)に全国公開される。
実力と人気を兼ね備えた俳優・広瀬すずと松坂桃李の2人が紡ぐ物語は、2020年本屋大賞を受賞し、同年の年間ベストセラー1位(日販単行本フィクション部門、トーハン単行本文芸書部門)に輝いた凪良ゆうによる傑作小説が原作。10歳の時に、誘拐事件の“被害女児”となり、広く世間に名前を知られることになった女性・家内更紗を広瀬が、その事件の“加害者”とされた当時19歳の青年・佐伯文を松坂が演じる。
また、事件から15年経った現在の更紗の恋人・亮を横浜流星が、癒えない心の傷を抱える文に寄り添う看護師・谷あゆみを多部未華子が演じ、加えて、趣里、三浦貴大、白鳥玉季、増田光桜、内田也哉子、柄本明らが共演に名を連ねている。
2人の限りなく稀有な関係性をスクリーンに描き出すのは、デビュー以来そのエモーショナルで骨太な作風で観客の心を鷲掴みにしてきた『フラガール』(2006年)、『悪人』(2010年)、『怒り』(2016年)などの李相日監督。また、撮影監督には『母なる証明』(2009年)、『哭声/コクソン』(2017年)、『バーニング 劇場版』(2019年)、『パラサイト 半地下の家族』(2020年)など、韓国映画史に残る作品を次々手がけてきたホン・ギョンピョ、美術には『キル・ビル Vol.1』(2003年)、『フラガール』(2006年)、『悪人』(2010年)、『ヘイトフル・エイト』(2016年)、『三度目の殺人』(2017年)など、世界を股にかけて活躍する種田陽平と、国境を越えた才能が集結した。
4月13日(水)にイイノホールで完成披露試写会が開催され、上映前の舞台挨拶に広瀬すず、松坂桃李、横浜流星、多部未華子らキャスト陣、そして李相日監督が登壇。それぞれ新境地を見せたキャスト陣によるトークが展開された。
李相日監督「広瀬すずの代表作を作らねばと思った」
10歳の時に誘拐事件の“被害女児”となり、広く世間に名前を知られることになった女性・家内更紗を演じた広瀬。李監督とは前作『怒り』以来6年ぶり2度目のタッグ。李監督から「広瀬すずの代表作を作らねばと思った」と告げられた広瀬だが「この6年の中で価値観やお芝居の感覚など色々なものがだいぶ変わっていたけれど、監督とお会いしたときに『どうしたらいいのかわからない』とすぐに相談してしまいました」と照れ笑い。李監督からは「それじゃこの映画はダメだね」と言われたそうで「そうですね、頑張りますと答えました」とはにかんで撮影前のやり取りを明かした。
その事件の“加害者”とされた当時19歳の青年・佐伯文役の松坂。「僕史上一番難しくて、掘っても掘っても答えが見つからないというか、霧の中でもがいているような、そこをずっとさ迷っている感じだった」と難役挑戦を自負し「監督が寄り添うというよりも、一緒に霧の中をもがいてくれて、役として同じ熱量、角度で向き合ってくれた。それに救われた」と李監督との共同作業に手応え。役作りの一環として「撮影地のアパートに寝泊まりしたり、日記を書いたり、コーヒーを淹れ続けたり」と演じる上でのヒントを模索していたという。
事件から15年経った現在の更紗の恋人・亮役の横浜は「チャレンジしかなかった。今回はより自分の中に大きな壁が立ちはだかった感じ」と撮影を回想。恋人である更紗への”甘え”が理解しがたかったそうで「僕は十数年間空手をやってきて、人に弱みや涙を見せるな、男はこうであるべきだと叩きこまれてきたので、甘えとはなんだろう?というところから始まった」と悩みを明かすと、そんな横浜と広瀬の距離感を縮めるために、李監督は二人きりで過ごす時間を提案。
その中で横浜は「広瀬さんに(劇中同様)膝枕をしてもらってみたけれど、これだと重いかな?体重をかけ過ぎかなとか?思ったりして」と照れつつ「そこで少しずつ距離感を近づけていけたし、人に甘えるとはこういうことかと…」と広瀬の膝枕を述懐。
癒えない心の傷を抱える文に寄り添う看護師・谷あゆみ役の多部は、二人の膝枕エピソードを「初めて聞いた。私は何もないままに撮影に参加したんだなあと思った」と驚き、恋人役を演じた松坂との関係性づくりについても「膝枕はなくて、手を繋いだり抱きついてみたりしただけ。私ももう少し色々としたかった」と明かすと、すかさず松坂から「もう少し色々としたかった?」とツッコまれていた。
広瀬と松坂は2作目の映画共演。広瀬は「あれ?誰だろう?と思うほどに、お芝居中は文そのもの。でもカメラの回っていないところではフラットなまま。不思議な方でした」と印象を明かすと、松坂も「いやいや、それはこちらもです。前の現場とは印象が全く違くて、こっちが広瀬すずなのかと思った。お芝居をするときも、お互いのはらわたを見せ合わないとできないよね、という認識の上でやっていくところもあった」と分析した。
松坂と共演の多い多部は、カフェの店主役を演じた松坂が撮影前に淹れたコーヒーを飲んだとういうも、李監督からは「多部さんはコーヒーが飲めない」とまさかの事実が。すると多部も「私はコーヒーが苦手で、どうしようと思いながら、飲まないわけにはいかないと」と打ち明けると、松坂は「お優しい方だから。グッと飲んでくれました」と気遣いに感謝していた。
登壇者それぞれが「宿命の相手」を発表!
舞台挨拶では〈宿命〉という絆で結ばれる更紗と文の関係性にちなみ、登壇者それぞれの「宿命の相手」が発表された。
李監督は「映画」、横浜は「自分」と発表。横浜が「常に自分と向き合わなければいけない。空手でも仕事でもそう」とストイックに語り出すと、李監督から「撮影ではこういう感じをほぐそうとしたんです!」と指摘され、横浜は「…はい、スイマセン」と赤面していた。
続いて多部は「もうひとりのわたし」と発表。自分自身の中に宿命の相手がいることを明かした。
松坂は「樹木希林さん」と回答。長編映画初単独主演となった映画『ツナグ』(2012年)で樹木希林と共演した松坂は「番宣にもわざわざ付いてきてくれて、『あなたね、喋る前にあーとかえーとか言わないの』『記者の方が同じ質問をしてきても、同じ返しではダメよ』と言われて。お芝居から人から番宣のことまで教えてくれた」と感謝。しかも今回は希林さんの娘で女優の内田也哉子が母親役で「縁を感じてゾクッとした。お母さんとのシーンでは僕の中でなんとも言えない感情が巻き起こりました。今だったらなんと言われるのだろうかと思ったりしました」と不思議な偶然に感慨を抱いていた。
一方の広瀬は「姉」と回答し、「姉妹であり、友達であり、同業者であり、いつもなんだろうなと思ったりして。切っても切れないし、先輩でもある。なんか不思議な距離感の姉妹だと思う。なんともいえない、言葉に表せない存在は姉かもしれません」と姉・アリスとの独特な関係性を告白した。
最後にW主演の二人から公開に向けてメッセージ!
最後に主演の松坂は全国公開に向けて「作品がどう受け止められるのだろうかという恐怖もある。登場人物の関係性や世界観がどのように皆さんの目に映るのか。怖いですが、しっかりと観ていただきたいという気持ちが大きい」と観客の反応に興味津々。
同じく広瀬も「李監督の作品に出演できたことも光栄だし、李監督の映画は改めて凄いと思いました。みんなでお腹の中のマグマを吐き出しながら作った映画です。一人でも多くの方に届いたら嬉しいです」と大ヒットを祈願していた。
フォトギャラリー📸
イベント情報
映画『流浪の月』完成披露試写会 舞台挨拶■開催日: 2022年4月13日(水) |
映画『流浪の月』予告篇🎞
映画作品情報
《ストーリー》雨の夕方の公園で、びしょ濡れの10歳の家内更紗に傘をさしかけてくれたのは19歳の大学生・佐伯文。引き取られている伯母の家に帰りたがらない更紗の意を汲み、部屋に入れてくれた文のもとで、更紗はそのまま2か月を過ごすことになる。が、ほどなく文は更紗の誘拐罪で逮捕されてしまう。それから15年後。“傷物にされた被害女児”とその“加害者”という烙印を背負ったまま、更紗と文は再会する。しかし、更紗のそばには婚約者の亮がいた。一方、文のかたわらにもひとりの女性・谷が寄り添っていて… |