映画『我は神なり』(사이비/サイビ/THE FAKE)

【画像】映画『我は神なり』 原題:사이비(サイビ/THE FAKE)

映画『我は神なり』
原題:사이비(サイビ/THE FAKE)

「真実を語る悪人」と「偽りを言う善人」の対決!
究極の矛盾をはらむ衝撃の社会告発アニメ!

『新感染 ファイル・エクスプレス』のヨン・サンホ監督長編アニメ第2作!

「真実を語る悪人」と「偽りを言う善人」の対決を描き、人がなぜ歪んだ信念を持つのかという重要なテーマを追求している。『我は神なり』は、ヨン・サンホ監督が実写映画を想定してシナリオを書いている。ダム建設で水没が運命づけられた村を舞台に「人は信念なしに生きられるのか?」「歪んだ信念を持つ人をあざ笑う権利が、私たちにはあるのか?」という人間の信念や信頼の本質について、主要キャラクターの対決によってストーリーが構成されている。

真実をまくし立てる札付きのワル

ダム建設で水没が運命づけられた片田舎の村に粗暴なトラブルメーカーのキム・ミンチョルが久しぶりに姿を現わす。世界を呪うかのように振る舞うミンチョルは、村に帰ってくるなり、ソウル大学に合格した娘が貯めた貯金を博打で使ってしまうほどの札付きのワル。ところが、そんなミンチョルは、ダム建設の立ち退き補償金に目をつけたインチキ集団の陰謀を察知する。家族や村人の財産を狙う詐欺師の集団に単独で立ち向かうも、普段の素行の悪さから、家族や村人、警察も彼の言い分には全く耳を傾けてくれず、周囲からは「悪魔に憑かれた男」のレッテルを貼られて四面楚歌となってしまう。

キム・ミンチョル役の声は、『息もできない』(2009年)で監督・脚本・主演を手がけて世界的な評価を得て、日本映画でも『あゝ、荒野』(2017年)に菅田将暉とダブル主演のヤン・イクチュンが担当。ヨン・サンホ監督は、素顔がとても繊細なヤン・イクチュンが会話の全く通じない壁のような人物を声優だけでなく、共に映画を作るほどに演じてくれたことで、キム・ミンチョルのキャラクターが複雑化して深みが増したと語っている。

【画像】映画『我は神なり』 原題:사이비(サイビ/THE FAKE)

嘘で庶民を惑わす善人の顔をしたインチキ教団と牧師

村人の不安や弱みに漬け込み、彼らの立ち退き補償金を巻き上げていくインチキ教団を率いる詐欺師チェ・ギョンソクと雇われ牧師ソン・チョルウ。ギョンソクは、村に教会を建てて、カリスマ牧師ソンを崇める盲目的な村人たちの信仰心を利用し尽くしてゆく。とくに、カリスマ牧師ソンが、本当は善人であるのにギョンソクに騙されて使われているのか、それとも共に悪人なのかもこの作品の見どころの一つとなっている。

情け容赦のないブラックストーリーに目が離せない

ヨン・サンホ監督の魅力は、昨今の「最後に正義が勝って愛に気付く」作品が多い中、決して妥協せずに社会の矛盾を告白し続ける点である。『我は神なり』も、登場人物の全員が破滅への道へ自ら転がり落ちていく情け容赦のない展開であり、私たちの価値観を根底から揺さぶり、究極の矛盾を突きつけてくる作品となっている。このように私たちの映画への幻想をとことん打ち砕くヨン・サンホ監督の作家性は、世界中の観客を魅了して、第38回アヌシー国際アニメーション映画祭コンペティション部門招待作品(2014年)、第34回ポルト国際ファンタスティック映画祭長編コンペティション部門・脚本賞受賞(2014年)、第46回シッチェス・カタロニア国際ファンタスティック映画祭アニメーション部門・最優秀作品賞受賞、第38回トロント国際映画祭VANGUARD部門招待作品(2013年)、第18回釜山国際映画祭韓国映画トゥデイ パノラマ部門出品(2013年)、第51回ヒホン国際映画祭Animafix部門・最優秀作品賞受賞(2013年)、第86回全米アカデミー賞長編アニメーション賞エントリー作品(2013年)とその才能と実力が注目されている。

『我は神なり』は、実写版の監督デビュー作『新感染 ファイナル・エクスプレス』(2006年/原題:Train to busan)が世界中で大反響を呼び起こし、韓国では1,100万人以上の観客動員数を達成して歴史的な大ヒットを記録したヨン・サンホ監督の長編アニメの代表作の一つである。この作品を観る誰もが、ヨン・サンホ監督の社会問題を追求して妥協を許さない脚本力や実写以上にキャラクターの心情が伝わる豊かな表現力や演出力、情け容赦のないブラックな展開など、その優れた才能や実力、作家性に大きく気付かされるだろう。【画像】映画『我は神なり』 原題:사이비(サイビ/THE FAKE)

《ストーリー》

ダムの建設によって水没が運命づけられて、活気が失われた片田舎の村に、粗暴なトラブルメーカーのミンチョルが久しぶりに帰ってきた。ところが、ミンチョルの家族を含む村人たちは、村に建てられた教会に足しげく通い、若きカリスマ牧師ソンを崇めていた。それらが、詐欺師のギョンソクが率いたインチキ教団によるもので、村人たちのなけなしの財産が狙われていることを察知したミンチョルは、ギョンソクたちの悪行を阻止しようと奮闘するが、誰もミンチョルの言い分に耳を傾けない。札付きのワルであったミンチョルの真実の言葉は、家族や村人、警察にも信用してもらえず、逆に「悪魔に憑かれた男」として四面楚歌に陥ってしまうのだった。

[記事構成: おくの ゆか]

映画予告篇

映画作品情報

第38回 アヌシー国際アニメーション映画祭 コンペティション部門招待作品
第34回 ポルト国際ファンタスティック映画祭 長編コンペティション部門出品 脚本賞受賞<ヨン・サンホ>
第46回 シッチェス・カタロニア国際ファンタスティック映画祭 アニメーション部門出品 最優秀作品賞受賞
第38回 トロント国際映画祭 VANGUARD部門招待作品
第18回 釜山国際映画祭 韓国映画トゥデイ パノラマ部門出品
第51回 ヒホン国際映画祭 Animafix部門 最優秀作品賞受賞
第86回 米国アカデミー賞 長編アニメーション賞エントリー作品
 
邦題: 我は神なり
原題: 사이비(サイビ/THE FAKE)
監督・脚本: ヨン・サンホ
声の出演: ヤン・イクチュン(ミンチョル)、クォン・ヘヒョ(ギョンソク)、パク・ヒボン(ヨンソン)
2013年 / 韓国 / ドルビーデジタル・5.1chサラウンド / 101分
© 2015 NEXT ENTERTAINMENT WORLD INC.& Studio DADASHOW All Rights Reserved.
 
2017年10月21日(土) ユーロスペース他にて全国公開!
 
映画公式サイト

この記事の著者

おくの ゆか

おくの ゆかライター

映画好きの父親の影響で10代のうちに日本映画の名作のほとんどを観る。
子どものときに観た『砂の器』の衝撃的な感動を超える映像美に出会うために、今も映画を観続けている。

★好きな映画
『砂の器』[監督: 野村芳太郎 製作: 1974年]
『転校生』[監督: 大林宣彦 製作: 1982年]
『風の谷のナウシカ』[監督: 宮崎駿 制作:1984年]
『硫黄島からの手紙』(Letters from Iwo Jima) [監督: クリント・イーストウッド 製作: 2006年]

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