映画 「オデッセイ」 (The Martian)

映画 オデッセイ
© 2015 Twentieth Century Fox Film

映画 「オデッセイ」 (原題: The Martian)

火星でたった一人・・・
映画史に残る究極のサバイブ&ブレイブ・ストーリー!

●あらすじ

宇宙飛行士のマーク・ワトニー(マット・デイモン)は火星での探査任務中に仲間のクルーたちとともに突如大砂嵐に襲われる。マークたち探査研究チームは、全てのミッションを放棄して火星から脱出するためロケットへ向かうが、その途中で折れたアンテナがマークを直撃する。クルーたちはマークが死んだと判断、遺体を確認することもできず、やむなく火星を後にした。
ところがマークは生きていたのだ。火星にたった一人取り残されてしまい、次の探査ロケットが到着するのは4年後。食料など物資も限られた量しかない状況の中、マークの孤独なサバイバルが始まった・・

●絶体絶命!・・だが決して諦めず、悲観せず

知的でクールな印象を、その端整なマスクから醸し出すマット・デイモン(中退してしまったが、かつて名門ハーバード大学にも在学していたエリートだ)。そんな彼のキャラが、まさに今回の役にピタリとはまった。なぜならマットの演じたマーク・ワトニーは、宇宙飛行士であると同時に植物学専攻の博士でもあるからだ。

映画では、その専門性を活かして火星という不毛の地で食料を育てることを思いつき、そして成功する。その後も、次から次へと襲いかかる難題を持ち前の知識でドンドンと解決していく。ここで目にとまるのが、彼の悲観なき前向きな姿勢だ。これまであった宇宙空間の絶体絶命状況をテーマにした映画は「ゼロ・グラビティ」といい「アポロ13」いい、常に悲壮感がつきまとい、観ている我々もハラハラ・ドキドキしながら手に汗を握っていた。だが本作は、そうした悲愴さがスクリーンからあまり漂ってこない。無論、絶体絶命の極限状態であることは変わらないのだが、マークのユーモアあふれるジョークや、懐かしいディスコナンバーのBGMが、シリアスな中にもどこか和みのある軽快さを生んでいるのだ。こうした観客へのアプローチがある意味とても斬新で、名匠リドリー・スコット監督の真価が大いに発揮されたと言って良い。

遠く離れた火星で背水の陣に追い込まれた必死の状況だが、プレッシャーとは無縁のマークの孤軍奮闘ぶりを劇場でぜひ体感して頂きたい。

© 2015 Twentieth Century Fox Film

●みどころ

原作は小説「火星の人」で、映画の方も「The Martian(火星人)」が原題であるが、日本での題名は火星とは無縁の「オデッセイ(Odyssey)」とされた。これは古代ギリシアの詩人ホメーロスの叙事詩「オデュッセイア」からきているようだ。オデュセイアはギリシア神話の英雄オデュッセウスが、経験した10年間にも及ぶ苦難の漂泊と凱旋が語られており、まさに今作のうってつけの訳題と言える。

映画の中での“オデュセウス”は、既に語ってきたようにハリウッドきってのナイスガイ、名優マット・デイモンがつとめる。ボーン・シリーズなどで魅せたギリシア彫刻を思わせる鋼の体は、今回は宇宙服で潜めているが、強靭な精神を持ち合わせた知勇兼備の学者を見事に演じ切っている。同じく宇宙を題材にした映画「インターステラー」では、悪役のマン博士役で登場していたが、今回は善良なる博士で堂々たる主役。ほぼ全編がマットの独壇場であるといっても過言ではない。と言っても、脇を固める俳優陣もやはり大作に相応しい顔ぶれ。主人公マークを救出すべく、数多くの同僚やサポートメンバーが登場するが、とりわけ火星探査機のキャプテン・メリッサ役をつとめたジェシカ・チャステインは、やはり際立った存在感である。彼女といい、マット・デイモンといい、良い意味で堅物な宇宙飛行士のイメージを崩しており、それが映画の中で流れるポップな雰囲気の演出にもつながっているのだ。

制作はハリウッド・スタジオの雄20世紀FOXで、火星のシーンや宇宙ロケットのリアルさなど、さすがの一言につきる完成度。SF映画としての質の高さも、もちろん折り紙付きだ。20世紀FOXといえばスターウォーズシリーズの興行をディズニーに奪われてしまったが、スターウォーズに負けない壮大な宇宙の物語を、これからも私たちに届けてくれるであろう。そしてさらなるSF映画の進化をとげていくに違いない。「オデッセイ」は、ハッキリとそう確信させてくれる映画だ。

[文: 藤田 哲朗]

© 2015 Twentieth Century Fox Film

 
映画 「オデッセイ」 予告篇

 

映画作品情報

邦題: 「オデッセイ」
原題: 「The Martian」
監督/製作: リドリー・スコット (Ridley Scott)
製作: サイモン・キンバーグ (Simon Kinberg)
製作: マイケル・シェイファー (Michael Schaefer)
製作: アディタヤ・スード (Aditya Sood)
 
出演: マット・デイモン (Matt Damon)
    ジェシカ・チャステイン (Jessica Chastain)
    クリステン・ウィグ (Kristen Wiig)
    ジェフ・ダニエルズ (Jeff Daniels)
    マイケル・ペーニャ (Michael Pena)
    ショーン・ビーン (Sean Bean)
    ケイト・マーラ (Kate Mara)
    セバスチャン・スタン (Sebastian Stan)
    アクセル・ヘニー (Aksel Hennie)
    キウェテル・イジョフォー (Chiwetel Ejiofor)
  
第88回 アカデミー賞 ノミネート
作品賞、主演男優賞(マット・デイモン)、脚色賞(ドリュー・ゴダード)、美術賞、視覚効果賞、録音賞、音響効果賞
 
第73回 ゴールデン・グローブ賞 受賞
作品賞(ミュージカル・コメディ部門)、主演男優賞(マット・デイモン/ミュージカル・コメディ部門)
 
2015年 アメリカ / 英語 カラー 2D/3D / 142分
配給: 20世紀フォックス映画

© 2015 Twentieth Century Fox Film

2016年2月5日(金) よりスカラ座他全国ロードショー

映画公式サイト

この記事の著者

藤田 哲朗

藤田 哲朗映画ライター・愛好家

大手出版取次会社で20代後半より一貫してDVDのバイヤー/セールスの仕事に従事する。
担当したクライアントは、各映画会社や映像メーカーの他、大手のレンタルビデオチェーン、eコマース、コンビニチェーンなど多岐にわたり、あらゆるDVDの販売チャネルにかかわって数多くの映画作品を視聴。
プライベートでも週末は必ず都内のどこかの映画館で過ごすなど、公私とも映画づけの日々を送っている。

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