映画 「ハドソン川の奇跡」 (Sully)

映画 「ハドソン川の奇跡」

© 2016 Warner Bros. All Rights Reserved. 

映画 「ハドソン川の奇跡」 (原題: Sully)

墜落の危機から生還した実話に基づく奇跡! 
その時機長は絶体絶命のトラブルと、理不尽な国家からの追求と闘った 

ストーリー 

2009年1月15日、USエアウェイズの1549便はラガーディア空港を離陸した。が、その直後、前方から鳥の群れが飛来し不運にもバードストライク(航空機と鳥が衝突すること)によって左右の両エンジンが停止してしまう。突如襲った墜落の危機。機長のサリー(トム・ハンクス)は副機長のジェフ(アーロン・エッカート)とともにあらゆる手段を試みるが、有効なリカバリー策は見出せない。航行ルートは大都市ニューヨークの上空。このまま墜落すれば大惨事は免れず、ついにハドソン川へ緊急着水するしか助かる方法はないとサリーは決断する。時間の猶予は一刻もない。凍てつくような冷たさの真冬の川へ、まさに薄氷を踏むような思いで、前代未聞の不時着劇が始まろうとしていた。

みどころ 

本作のメガホンをとるのは、御年(おんとし)86歳のご存知クリント・イーストウッドだ。かつての名優も今やすっかり名監督の仲間入り。ボクシングからイラク戦争まで― ありとあらゆるテーマを撮りあげてきたイーストウッドは、一つとして同じテーマを選んだことがない。これぞ監督としてのあくなき探究心の表れと思うが、そんな数ある作品の中でも本作は極上の仕上がりとなっている。

既に述べてきたように今から7年前、実際に起こった航空機の不時着事故が本作のベースだ。当時、ニューヨーク州知事から「ハドソン川の奇跡」と激賞された世紀の生還劇。機長のサリーは、その“奇跡”が生まれる英断を下し、無事着水させた機長は英雄としてもてはやされ、一躍時の人となる。その数年前に同じニューヨークで起きた9.11の悲劇と対照的に犠牲者がゼロであったことが、さらに人々の興奮に拍車をかけた。だが、栄光の陰に実は大きな「苦悩」と「苦闘」が潜んでいたのだ。

何度も何度も事故のシーンが脳内で繰り返され、大きなストレスが彼を襲う。それは民衆の賛辞が多くなればなるほど、皮肉にも増幅されていった。そして、NTSB(国家運輸安全委員会)との闘い。不時着という結末を由(よし)とせず、機長であるサリーの判断は間違っていた、と容赦なく理不尽な責任追及を浴びせる。サリーを演じたトム・ハンクスはイーストウッド同様、誰もが認めるハリウッドの“生ける伝説”だ。その卓越した演技力で、四面楚歌のサリー機長の心情と逆境を跳ね返す芯の強さを見事に演じきっている。その様は、まさに英雄と呼ばれるのに相応しいものだ。

映画の主たるテーマである事故や機長のシーンに時間の大半が費やされ、観客は手に汗を握り終始息をのむ思いだが、それだけに犠牲者を一人も出さなかった後半部の救出劇には心を洗われる。機長のサリーだけが英雄だったわけではない。共にコックピットでエンジントラブルと闘った副機長のジェフ。乗客の動揺を最低限におさえ、速やかな誘導を行ったキャビンアテンダントたち。そして、事故当時偶然近くに居合わせ、間髪入れずに救出へ向かったフェリーや水上タクシー、沿岸警備隊。平凡な市井の人たちが一致団結して繰り広げた救出劇には感動すら覚える。一人一人が紛れもなくヒーローであり、奇跡の立役者であった。ドキュメンタリー、お役所との対決、九死に一生を得たが故の心の傷み…様々な切り口で見どころがある本作だが、最後に心に残るのは、改めて人間て良いものだな、と思えるその心地よさだろう。

[文:藤田 哲朗]

映画 「ハドソン川の奇跡」 予告篇

映画 「ハドソン川の奇跡」 予告編

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映画作品情報

邦題: ハドソン川の奇跡
原題: Sully
監督: クリント・イーストウッド
製作: クリント・イーストウッド、フランク・マーシャル、アリン・スチュワート、ティム・ムーア
出演: トム・ハンクス、アーロン・エッカート、ローラ・リニー 他
2016年 アメリカ / カラー / 96分
配給: ワーナー・ブラザース映画

© 2016 Warner Bros. All Rights Reserved.

2016年9月24日(土)より全国ロードショー!

映画公式サイト

この記事の著者

藤田 哲朗

藤田 哲朗映画ライター・愛好家

大手出版取次会社で20代後半より一貫してDVDのバイヤー/セールスの仕事に従事する。
担当したクライアントは、各映画会社や映像メーカーの他、大手のレンタルビデオチェーン、eコマース、コンビニチェーンなど多岐にわたり、あらゆるDVDの販売チャネルにかかわって数多くの映画作品を視聴。
プライベートでも週末は必ず都内のどこかの映画館で過ごすなど、公私とも映画づけの日々を送っている。

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