映画『オンリー・ザ・ブレイブ』(Only the Brave)

【画像】映画『オンリー・ザ・ブレイブ』

映画『オンリー・ザ・ブレイブ』

師弟、親子、仲間 3つの絆が人を強くする! 

映画『オンリー・ザ・ブレイブ』は森林火災のスペシャリスト“ホットショット”の凄烈な仕事ぶりを描いた作品だ。

「ホットショット」とは何か? アメリカ農務省林野局に所属する森林火災消防隊の中でも飛びぬけて優秀な精鋭部隊こと。彼らは水を使って火を消すのではなく、炎の動きを読みながら、樹木をあえて燃やして作った火で火災の火を抑え込む。小さなミスが取り返しのつかない事態に繋がるので、いつも危険と隣り合わせ。強靭な精神力も必要。

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しかし、この作品に登場するグラニット・マウンテン・ホットショットは最初からホットショットだったわけではない。実績を重ねた末に昇格した、アメリカ初の地方自治体運営の森林消防隊である。

グラニット・マウンテン・ホットショットのメンバーは日々、ハードな訓練を重ね、心身を鍛えていく。作品はヘタレだった青年が森林消防隊に入ったことで変わっていく姿をサイドストーリーにし、どんな人でもきっかけさえあれば再生できることも描く。

では、マイルズ・テラーが演じるヘタレ青年ブレンダンが変わっていった様子を3つの絆から紐解いてみたい。

1. 理解ある上司との師弟の絆

ブレンダンはセックスとドラッグに溺れた堕落した生活を送っていた。むしゃくしゃして起こした窃盗罪で保護観察中。親からも愛想を尽かされて、行くところがない。そんなときに新人募集の案内を見つけ、森林消防隊に応募した。

しかし、誰が見ても、森林消防隊のハードな仕事をやり遂げられそうもない。指揮官のマーシュもマクドナウが薬物中毒だったことを見抜く。それでも「人間として生まれ変わりたい」という決意を買い、他の隊員の反対を押し切って採用する。マーシュはブレンダンの中にかつての自分を見たのだ。時に厳しく、時に優しく、ブレンダンを鍛えていく。またブレンダンも辛い訓練を逃げ出さない。マーシュの信頼に応えようとついていく。

懐深い上司を演じたのは、ジョシュ・ブローリン。『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』や『デッドプール2』と悪役が続いたが、今回は人間味あふれる熱い男を渋く体現した。

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2. 親としての自覚を促す娘との親子の絆

ブレンダンは別れた彼女が妊娠していることを知り、「人間として生まれ変わりたい」と決意した。とはいえ、それまでの生活ぶりから、その決意は別れた彼女になかなか信用してもらえない。以前のブレンダンならむしゃくしゃして、投げやりな生活に戻りそうだが、ここは踏ん張りどころとがんばる。紙おむつなど娘に必要なものを買い、定期的に彼女の家へ届けた。「この子は私と家族で育てる」と関わりを拒絶していた彼女も、次第に心を開いていく。

やがてブレンダンは幼い娘と面会させてもらえるようになる。こうして、少しずつ父親としての時間を持つことで、彼はますます仕事にも励んだ。「この子のためにがんばる」。この気持ちは何よりも大きな原動力なのだろう。

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3. 仕事以外でも助け合う仲間との絆

当初はブレンダンに不満を抱いていた隊員もいた。クリス・マッケンジー(テイラー・キッチュ)もその1人。訓練中にブレンダンを揶揄して、ケンカ一歩手前の状況になることも。しかし、真摯に取り組むブレンダンを見て、住まいのシェアを提案するなど、次第に心を通わせていく。

ブレンダンはときどき娘を自宅で預かる。しかし慣れない育児に戸惑うことが多い。そんなとき、クリスはブレンダンと一緒に右往左往。ブレンダンの娘が熱を出したときは他の隊員にも連絡を取り、子育て経験のある妻たちに助けてもらう。こんな横の繋がりがブレンダンを精神的に強くしていった。

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3つの絆を得て、変わっていくブレンダン。マイルズ・テラーが少しずつ表情を変え、的確に演じ切った。

人生、うまくいかないときほどいろいろなことを投げ出したくなる。しかし、そんな時こそ、しっかり踏ん張ることが大事。ヘタレだったブレンダンにできたことなら、私たちにもできるに違いない。そんなエールがもらえる作品である。

[文: 堀木 三紀]

映画『オンリー・ザ・ブレイブ』予告篇

映画作品情報

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《ストーリー》

更生のために森林消防団に入隊した青年を待ち受けていたのは、未曾有の巨大山火事だった――。堕落した日々を過ごしていたブレンダン(マイルズ・テラー)は、恋人が妊娠したことをきっかけに、生まれ変わる決意をし地元の森林消防団に入隊。地獄のような訓練の毎日を過ごしながらも、仲間と絆を深め、チームを率いるマーシュ(ジョシュ・ブローリン)との信頼を築き、彼らの支えの中で少しずつ成長していくブレンダン。しかしそんな彼を待ち受けていたのは、山を丸ごと飲み込むような巨大山火事だった――。圧倒的迫力、炎のように燃えたぎる友情、あなたの心を熱くする感動の実話!

 
邦題: オンリー・ザ・ブレイブ
原題: Only the Brave
出演: ジョシュ・ブローリン、マイルズ・テラー、ジェフ・ブリッジス、テイラー・キッチュ、ジェニファー・コネリー
監督: ジョセフ・コシンスキー
字幕翻訳: 林完治  
配給: ギャガ 
2017年 / アメリカ / カラー / シネスコ / 5.1chデジタル / 134分 
© 2017 NO EXIT FILM, LLC
 
2018年6月22日(金)
TOHOシネマズ 日比谷他 全国ロードショー!
 

映画公式サイト

公式Twitter: @gagamovie
公式Facebook: @gagajapan

この記事の著者

堀木 三紀

堀木 三紀ライター

映画の楽しみ方はひとそれぞれ。ハートフルな作品で疲れた心を癒したい人がいれば、勧善懲悪モノでスカッと爽やかな気持ちになりたい人もいる。その人にあった作品を届けたい。日々、試写室に通い、ジャンルを問わず2~3本鑑賞している。(2015年は417本、2016年は429本、2017年は504本の映画作品を鑑賞)

主に映画監督を中心にインタビューを行っており、これまでにインタビューした監督は三池崇史、是枝裕和、阪本順治、岸善幸、篠原哲雄、大九明子、入江悠、本広克行、荻上直子、吉田照幸、ジョン・ウーなど30人を超える。

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