映画『更年奇的な彼女』レビュー
更年奇的な彼女

映画『更年奇的な彼女』
(原題:我的早更女友 Meet Miss Anxiety) 

二人の数奇な出会いは、運命の出会いだった!? 
とっておきのラブコメ円舞曲が今はじまる 

ストーリー

まだ20代なのに更年期障害を患ってしまったチー・ジア(ジョウ・シュン)。病気の原因は大学の卒業式までさかのぼる。最愛の恋人リウ・チョン(ウォレス・チョン)にサプライズでプロポーズをしようと、ウエデイングドレスをまとって卒業式に出席。相思相愛の二人だったのでもちろん返事はOKと思っていたチーだが、「まだ早い」と予想外にもフラれてしまう。卒業後、彼は就職のため遠い北京の地へ向かい、そのまま離れ離れに。以来、失恋のトラウマを引きずり続けるチー。病気が原因で怒りっぽく、情緒不安定…躁うつも激しくなり辛い日々を送っていた。そんなある日、大学時代の同級生ユアン・シャオオウ(トン・ダーウェイ)に助けられたことがきっかけで、ルームメイトのリン・シューアル(ジャン・ズーリン)とともに一緒に三人で同居することになるが・・・

© New Classic Media Corporation

“アジアの彼女”三部作。堂々の完結編!

本作でメガホンをとったのは、自国の韓国だけでなく、日本・中国など東アジア各国に活躍の場を広げてきたクァク・ジェヨン監督だ。映画の訳題は更年“期”でなく、あえて更年“奇”となっている。これはクァク監督の代表作『猟奇的な彼女』(2001年)をもじったため。笑って、泣いて、感動して…日本でも圧倒的な支持を集めた映画『猟奇的な彼女』。そこから始まり、綾瀬はるかが主演をつとめた『僕の彼女はサイボーグ』(2008年)を経て、今回の『更年奇的な彼女』をもって“アジアの彼女”三部作・最終章としている。どの作品も、かなり変則的な設定をからめながら、観ている人を虜にする純愛ストーリーとなっているが、本作は特に『猟奇的な彼女』のエスプリをあちこちにちりばめたつくりとなっており、ファンにはたまらない一本だろう。

劇中で流れるBGMもそうだし、お酒にのまれる愛らしいバイオレンスなヒロインも、「猟奇的な~」の主人公“彼女”(実は名前は出てこない)を思い起こさせる。おなじみ「パッヘルベルのカノン」だって、頭の中を何度もリフレインしてしまう。カノンとはそもそも音の主旋律を他の音部が忠実に模倣しながら追唱していく曲のことだそうだ。まさに『更年奇的な彼女』は名作を追唱しながらも、その上で独自のエッセンスを加えた快作となっている。

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みどころ

アジアの彼女三部作は、それぞれ舞台となっている国が異なる。今回は中国が舞台だ。TVドラマの影響もあり、中国の映像作品と言えば、どちらかというと時代劇タッチのものが日本人にはなじみ深いが、本作は中国の若者中心の現代劇。等身大のチャイナ・ポップカルチャーを肌で感じられる仕上がりとなっている。都会のシーンが多いこともあり、日本とほとんど変わらない近代的な街並みばかり。でも、時折織り交ぜられている屋台や路地裏などのシーンが、喧騒な夜や庶民の日常など、雑多としたアジアの情景を絶妙に演出していて、非常にバランスの良い作品となっている。

そんな中で繰り広げられるチーとユアンのドタバタ劇は、男女の友情とも言えず、恋慕とも思えず。もどかしくなるくらい不思議なかけ合いに、いつしか引きずり込まれてしまう。ラジカルな女子に翻弄される一途な男子- コミカルな二人の関係は、果たしてどのような結末を迎えるのか。是非、劇場で二人の見届け人になって頂きたい。

[ライター: 藤田 哲朗]

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映画『更年奇的な彼女』予告篇

映画作品情報

邦題: 更年奇的な彼女
原題: 我的早更女友 Meet Miss Anxiety
監督・脚本: クァク・ジェヨン
 
キャスト: ジョウ・シュン、トン・ダーウェイ、ジャン・ズーリン、ウォレス・チョン
 
日本語吹替版キャスト: 藤原紀香 他
日本語版 主題歌: 華原朋美「君がそばで」(UNIVERSAL J)
2015年 / 中国 / 中国語 / カラー / 100分 / 映倫区分: G
配給: アジアピクチャーズエンタテインメント / エレファントハウス / カルチャヴィル
配給協力: DMZtokyo
© New Classic Media Corporation
 
2016年4月8日(金)より、
TOHOシネマズ日本橋・新宿他全国順次公開

 

映画公式サイト

この記事の著者

藤田 哲朗映画ライター・愛好家

大手出版取次会社で20代後半より一貫してDVDのバイヤー/セールスの仕事に従事する。
担当したクライアントは、各映画会社や映像メーカーの他、大手のレンタルビデオチェーン、eコマース、コンビニチェーンなど多岐にわたり、あらゆるDVDの販売チャネルにかかわって数多くの映画作品を視聴。
プライベートでも週末は必ず都内のどこかの映画館で過ごすなど、公私とも映画づけの日々を送っている。

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