映画『メイズ・ランナー:最期の迷宮』(MAZE RUNNER: THE DEATH CURE) レビュー
【画像】映画『メイズ・ランナー:最期の迷宮』 (原題: MAZE RUNNER: THE DEATH CURE) メインカット

映画『メイズ・ランナー:最期の迷宮』 (原題: MAZE RUNNER: THE DEATH CURE)

迷路から砂漠の迷宮、そして最期の迷宮へ…少年たちの永遠(とわ)の闘いがついに終結!
謎が謎を呼んだ荒廃の世界は救われるのか―その真実と末路が今明かされる!!

突如、巨大な迷路に送り込まれた少年…外界と隔絶された世界から脱出を試みようとするうちに、思いもよらぬ方向へと物語は進んでいき・・観る人の想像を超える展開と映像でセンセーショナルを巻き起こした映画『メイズ・ランナー』。通常の映画なら、トレーラー(予告編)を観ると、ある程度のストーリーは何となく想像できるものだが、このメイズ・ランナーはとにかく予測不能!第一作のプロローグから誰がこのような顛末を想像できたろうか。日本ならず世界中の人が超絶のジレンマに陥った名シリーズだ。

【画像】映画『メイズ・ランナー:最期の迷宮』 (原題: MAZE RUNNER: THE DEATH CURE) 場面カット

その名シリーズがいよいよ終焉を迎える(勿論、次回作がなければだが…予測不能なシリーズだけに、もしかして!?)。グレードと呼ばれる広場からトーマス(ディラン・オブライエン)は、仲間のテレサ(カヤ・スコデラリオ)やニュート(トーマス・ブロディ=サングスター)たちと禁断のメイズ(迷路)へ飛び込み、苦心の末やがて脱出に成功する。だが、そこの終着点で観たのは思いもかけない光景だった。破壊された研究室、残された謎のダイイング・メッセージビデオ。そして正体不明の救出隊…目まぐるしい展開に翻弄されながら、トーマスたちはようやく休息の地へとたどり着く。が、そこは安住の地ではなかった!休息の地と思われた基地は、実はトーマスたちを迷路に送り込んだWCKDの傘下だったのだ。

【画像】映画『メイズ・ランナー:最期の迷宮』 (原題: MAZE RUNNER: THE DEATH CURE) 場面カット (L-r, Dylan O'Brien, Thomas Brodie-Sangster, Giancarlo Esposito, Dexter Darden and Rosa Salazar in Twentieth Century Fox's "Maze Runner: The Death Cure.")

一行は新たな逃避行を余儀なくされ灼熱の砂漠を横断し、やがて新たな味方たちを得てレジスタンス「ライト・アーム」のベースにたどり着いた。しかし、思いもよらぬテレサの裏切りからWCKDの襲撃を受け、仲間の一人ミンホ(キー・ホン・リー)が連れ去られてしまう。多くの人が犠牲となり、ベースは壊滅状態。落胆と悲しみに包まれたトーマスたちだが、敵への憎悪がそれを上回った。逃避行はやめ武器をとり、彼らは反攻に転じたのだ!

【画像】映画『メイズ・ランナー:最期の迷宮』 (原題: MAZE RUNNER: THE DEATH CURE) 場面カット (Dylan O'Brien, left, and Thomas Brodie-Sangster in Twentieth Century Fox's "Maze Runner: The Death Cure.")

映画『メイズ・ランナー』シリーズは、前述したように一切の予想を裏切り、斜め上を行くストーリーが魅力の映画だ。第三作目の『メイズ・ランナー 最期の迷宮』はその集大成。だが意外性の他にも、これまでの映画にない魅力がたくさん詰まっている。

主人公のトーマスたちは特に屈強であるわけでもなく、エスパーのような特殊能力をつかえるわけでもない。ひ弱でナマの人間だ。ある意味平凡なヒーローたちと言えるが、不屈の精神と勇気が尋常でなかった。マーベルやDCコミックの映画に代表されるように、昨今は超人的なヒーローが胸のすくような活躍をする作品が多いが、その対極といえる映画かもしれない。非力な彼らが力を合わせ、次々と敵を出し抜く姿は観ていて爽快だ。

【画像】映画『メイズ・ランナー:最期の迷宮』 (原題: MAZE RUNNER: THE DEATH CURE) 場面カット(L-r, Katherine McNamara, Nathalie Emmanuel, Jacob Lofland, Thomas Brodie-Sangster, Dylan O'Brien, Rosa Salazar, and Dexter Darden star in Twentieth Century Fox's "Maze Runner: The Death Cure.")

また、その戦いの舞台のテイストが第一作から最終章の本作まで、それぞれ大きく異なるのも特長だ。大石と木々に囲まれ昔の遺跡を想像させるような超巨大な迷路、荒廃した世界まで飲み込もうとする壮大で過酷な砂漠…そして本作では一転、最新のSF映画で登場するような未来都市が舞台となっている。全く次元の異なる世界、それぞれが持つ圧倒的なビジュアル美・・こうした演出もシリーズの魅力であるに違いない。また舞台のテイストに大きな落差を与えることで、主人公たちの冒険がいかに壮大で永きに渡るものだったか、わかろうというものだ。

【画像】映画『メイズ・ランナー:最期の迷宮』 (原題: MAZE RUNNER: THE DEATH CURE) 場面カット

本作は、先に「平凡な人間」と書いたが、実に個性的でユニークな人物が登場する映画でもある。それは敵側も同様だ。興味深いのは、憎き敵役でもそれぞれが彼らなりの正義と倫理感で動き、決して純悪といえない点だ。日本人のメンタリティーとしては勧善懲悪が合うのだろうが、それを遮る人間の複雑さと葛藤を感じることができるのが、実は一番の魅力かもしれない。

[ライター: 藤田 哲朗]

映画『メイズ・ランナー:最期の迷宮』予告篇

映画作品情報

【画像】映画『メイズ・ランナー:最期の迷宮』 (原題: MAZE RUNNER: THE DEATH CURE) ポスタービジュアル

《ストーリー》

巨大迷路から脱出するために、3年もの歳月を費やしたトーマスと仲間たち。だが、謎は深まるばかり。囚われた仲間ミンホを救うため、そして、自分たちが閉じ込められた理由を解明するため、彼らは決死の覚悟で難攻不落の伝説の迷路に逆侵入することを決断する。だが、彼らの前には謎の組織「WCKD」が立ちはだかる。人類滅亡の危機を救う“治療法”とは一体何なのか。トーマスたちが目指す場所は、ほんとうに出口のない「メイズ=迷路」かもしれない。だが、謎を解かなければ、この世界は終わってしまう。挑戦しなければ、生き延びることは出来ない。全世界を熱狂させる大ヒットシリーズが遂に完結する!

【画像】映画『メイズ・ランナー:最期の迷宮』 (原題: MAZE RUNNER: THE DEATH CURE) 場面カット

 
邦題: メイズ・ランナー:最期の迷宮
原題: Maze Runner: The Death Cure  
監督: ウェス・ボール  
出演: ディラン・オブライエン、カヤ・スコデラリオ、トーマス・ブロディ=サングスター 
配給: 20世紀フォックス映画
2018年 / アメリカ / カラー / 142分
© 2017Twentieth Century Fox Film Corporation.
 
2018年6月15日(金) 全国ロードショー!
 

映画公式サイト

公式Twitter: @MazeRunnerJP
公式Facebook: @MazeRunnerJP
公式Instagram: foxjpmovie

この記事の著者

藤田 哲朗映画ライター・愛好家

大手出版取次会社で20代後半より一貫してDVDのバイヤー/セールスの仕事に従事する。
担当したクライアントは、各映画会社や映像メーカーの他、大手のレンタルビデオチェーン、eコマース、コンビニチェーンなど多岐にわたり、あらゆるDVDの販売チャネルにかかわって数多くの映画作品を視聴。
プライベートでも週末は必ず都内のどこかの映画館で過ごすなど、公私とも映画づけの日々を送っている。

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