映画『彼女が目覚めるその日まで』(Brain on Fire) レビュー
【画像】映画『彼女が目覚めるその日まで』(原題: Brain on Fire) メインカット

映画『彼女が目覚めるその日まで』(原題: Brain on Fire)

原因不明の病と闘った一人の女性と、生きる希望をつないだ家族の感動の実話

ニューヨーク・タイムズのベストセラーノンフィクション第一位に輝き、全米を感動の渦に巻き込んだスザンナ・キャハランの著書「脳に住む魔物」(Brain on Fire)。オスカー女優であるシャーリーズ・セロンがプロデュースに乗り出し、主演には『キックアス』(2010年)で大ブレイクを果たしたクロエ・グレース・モレッツを迎え、満を持しての映画化が実現した。愛から生まれた希望、勇気の強さと美しさを描く感動の実話が12月16日(土)よりついに全国ロードショーとなる。

【画像】映画『彼女が目覚めるその日まで』(原題: Brain on Fire) 場面カット

《ストーリー》 

憧れのニューヨーク・ポスト紙で働く21歳のスザンナ・キャハランは、一面を飾る記者になるという夢を叶えるべく、日々の仕事に励んでいる。プライベートでも、ミュージシャンを目指すスティーヴンと付き合い始め、仕事も恋も順調で、希望と喜びに満ちあふれる毎日を送っていた。ところが、幸せな日々はある日突然足音もなくやってきた“それ”によって奪われる。物忘れが、ひどくなり、トップ記事になるはずの大切な取材でとんでもない失態を犯してしまうスザンナ。幻聴や幻覚に悩まされたり、全身が痙攣する激しい発作に襲われたりと、体調の異変も日に日に深刻化していくが、検査の結果は「異常なし」。医師たちは精神の病だと決めつけ、精神科への転院を進めるなか、両親と恋人であるスティーヴンだけはスザンナの瞳の奥の叫びを受け止めていた―。

【画像】映画『彼女が目覚めるその日まで』(原題: Brain on Fire) 場面カット3

《みどころ》

主人公のスザンナ・キャハランを演じたクロエ・グレース・モレッツの演技力なしには、この作品は成り立たなかったであろうと思わせるような、圧巻の演技で魅了したクロエ。まるで悪魔に憑りつかれたかのように人間性が崩壊し、突然幸福感に包まれて喜びだしたかと思えば、次の瞬間暴言を吐き散らして発狂し、周囲の人々を悩ませるという、振り幅の広い難しい役どころを見事に演じ切っている。その豹変性は観ているこちらがおもわず困惑して、顔をしかめてしまうようなリアリティに溢れるものであり、彼女の両親や恋人、上司の痛ましい心情をよりストレートに訴えかけてくるとなっている。次第に元気がなくなり、弱々しくなっていく姿は非常に痛ましく、涙なしには観られないものになっているが、そんな中でも彼女を信じて希望を捨てず、解決策を見つけるべく奮闘しながら全力で支え続ける両親や恋人の存在にも注目してほしい。

【画像】映画『彼女が目覚めるその日まで』(原題: Brain on Fire) 場面カット4

本作はというノンフィクション作品の実写化ということで、“もし明日自分自身が、もしくは自分の大切な人が同じような病にかかってしまったら?”“当たり前の日々が当たり前でなくなってしまうとはどういうことなんだろう?”などと考えされられるものでもあるが、それと同時に今自分がいる環境に感謝し、与えられた日々を大切に過ごそうと、背中を押してもらえるようなメッセージも込められたストーリーとなっている。

[ライター: 小森 萌菜]

© 2016 On Fire Productions Inc.

映画予告篇

映画作品情報

【画像】映画『彼女が目覚めるその日まで』(原題: Brain on Fire) ポスタービジュアル

原題・英題: BRAIN ON FIRE
邦題: 彼女が目覚めるその日ま
監督・脚本: ジェラルド・バレット
製作: AJ・ディクス、ベス・コノ、シャーリーズ・セロン、リンジー・マカダム、ロブ・メリリーズ
出演: クロエ・グレース・モレッツ、トーマス・マン、キャリー=アン・モス、リチャード・アーミティッジ、タイラー・ペリー、ジェニー・スレイト
原作:「脳に棲む魔物」(Brain on Fire)スザンナ・キャハラン著・澁谷正子訳(KADOKAWA刊)
2016年 / カナダ・アイルランド / 英語 / カラー / 5.1ch / スコープ / 89分 / G / 字幕翻訳: 松浦美奈 
配給:KADOKAWA
© 2016 On Fire Productions Inc.
 
2017年12月16日(土)より
角川シネマ有楽町他全国ロードショー!
 
映画公式サイト
 

この記事の著者

小森 萌菜シネマレポーター/ライター

幼いころから映画に親しみ、映画『プラダ着た悪魔』をきっかけに洋画の世界に惹きこまれていく。休日は洋画邦画共に幅広いジャンルの映画を鑑賞して過ごしている。

★好きな映画
『プラダを着た悪魔』 (The Devil Wears Prada) [監督: デヴィッド・フランケル 製作: 2006年/米]
『あと1センチの恋』 (Love,Rosie) [監督: クリスチャン・ディッター 製作: 2014年/英・独]
『バーレスク』 (Burlesque) [監督: スティーヴ・アンティン 製作: 2010年/米]

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