映画『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』リュック・ベッソン監督インタビュー

【写真】リュック・ベッソン監督 (Luc Besson)

映画『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』
リュック・ベッソン監督インタビュー

あらゆる人種の共生と調和を体験せよ!
名匠リュック・ベッソン監督が奏でる超然絶後の多民銀河の物語!!

人類は凄まじいスピードで進化を遂げ次々と宇宙に進出する時代に…そして多くの宇宙人と遭遇するようになる。ついにはあらゆる種族が共存する巨大宇宙ステーション「アルファ」が建設された。アルファは次々と拡張し続け、やがて3,000以上の種族が暮らす宇宙の中心的存在となる。連邦捜査官として宇宙の平和を守る任務についているヴァレリアン(デイン・デハーン)と相棒のローレリーヌ(カーラ・デルヴィーニュ)は、日々銀河をまたにかけパトロールを行っていたが、ある任務をきっかけにアルファで起こった一大事変に巻き込まれていくのであった・・

【画像】映画『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』ヴァレリアン & ローレリーヌ

フランスで長く愛され続けてきたバンド・デシネ(仏語圏の漫画)「ヴァレリアン」。40年以上にわたって描き続けられ、その壮大な物語は実に多くの人を虜にしてきた。幼き日のリュック・ベッソン少年もその一人。やがて大人となり映画監督としてデビューしてからも、長い間自身の手で映画化するのを夢見ていた。ただ、広大な宇宙をまたにかけ、数多くの惑星と異星人が登場するヴァレリアンを映像化するのはあまりにもスケールが大きく前衛的で、技術的にまず不可能であった。しかし宇宙技術同様、映像技術も日進月歩で進化を遂げる。やがて時代がようやくリュック・ベッソン監督の“夢”に追いついた。満を持して永きに渡る“想い”が今果たされるのであった!

【写真】リュック・ベッソン監督 (Luc Besson)

世界的名匠リュック・ベッソン監督の半生にわたる悲願、映画『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』が2018年3月30日(金)遂に日本公開!それに先んじてシネマアートオンラインでは来日されたリュック・ベッソン監督に“特別な一本”に込められた思いなどをお伺いした。

―― 息をのむほど美しく、素晴らしい作品でした。以前『フィフス・エレメント』(1997年)を観たのですが、本作と同じく未来の宇宙を舞台にしたSF映画にもかかわらず、全く違ったテイストで…『フィフス・エレメント』でどうしたことを学び、どう応用したのでしょうか?

(フィフス・エレメントを撮り終えてから)この20年間で何を学んだかって!?(笑) そうですね・・『フィフス・エレメント』では1,088のエフェクトショット(特殊効果シーン)がありました。『ヴァレリアン』では2,454…だったかな。数字を比べるだけでも、VFXの数が多かったのがわかると思います。

SG2 – BIG MARKET Big Market is the largest commerce center both on Alpha and in the universe. With over one million stores, the market is a massive tourist attraction which exists in alternate dimension. From visionary writer/director Luc Besson’s Valerian and the City of a Thousand Planets. Photo courtesy of EuropaCorp © 2016 VALERIAN SAS – TF1 FILMS PRODUCTION

『フィフス・エレメント』の時はまだCGの技術が成長途上で完全体の一歩手前、というところだったのですよね。現在は技術が目覚ましく進歩しましたが、(CG技術を著しく向上させた)『アバター』(2009年)以前に本作をとることは物理的に不可能であったのです。登場するほとんどが人間と異なったビジュアルである宇宙人でしたし…でも、今回は高い技術を持った会社と仕事ができましたし、自分も色々と学んできましたし…ただ、それでも本作を撮るのにはさらなる飛躍が必要で、知識の他に勇気も必要でした。

―― 原作のファンだと伺っていますが、何年もかけて企画しVFXの技術も向上してようやく映像として具現化できたのですが、どのシーンが一番大変でしたでしょうか?

あなたはどう思いますか?

「う~ん…そうですね。キリアン星の砂漠、ビッグマーケットのシーンあたりでしょうか?」

その通りです(笑)。だって二つの世界が同時に描かれているのですから。あのシーンを撮るのに6週間かかりましたよ。本編では15分くらいのシーンなのに(笑)。撮影する前に全ての技術者に来てもらって、絵コンテを使って説明しましたが、誰一人理解できなかったと感じました。どうしようか途方に暮れましたが、その後(自分が開いている学校の)生徒たちに参加してもらって、一週間で絵コンテどおりの実写を創ってしまったのです。つまり生徒たちが実際に演じてお手本の映像を撮り上げたのです。さらにそれぞれカラーをあててシーンの仕分けをし…それでようやく撮影スタッフに理解してもらいました。

【画像】映画『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』場面カット9

―― 何千ものエイリアンやVFXを駆使した異世界のシーン…どれも素晴らしかったですが、特に主役の二人に魅せられました。原作からどのように脚色してヴァレリアンとローレリーヌのキャラクターを創り上げていったのでしょうか。

彼らは宇宙刑事であったり、カップルでもあったり…色々な側面があるのですが、極めて人間的だと思います。大きな冒険・壮大なストーリーの中で、私は小さな人間を描きたかったのです。いわゆる無敵のスーパーヒーローが登場する映画は、これまでいくつも創られてきました。それらは大抵エイリアンのような外敵をヒーローがやっつけるというシナリオです。それらは自分から見ると一種のプロパガンダ映画のように感じるのです。悪の枢軸国から正義の米国が守ってやるのだ…のような。でも自分がやりたい仕事とはそうしたものでなく、共生…つまり皆が共に生きていくような世界を撮りたいのです。自分と違う人種と会うことがその人自身を豊かにしてくれる、お互いの文化や知識を分かちあうことが大事と思うのです。

【画像】映画『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』ヴァレリアン & ローレリーヌ

―― ディストピア(暗黒世界、ユートピアの反義語)を描写した映画が多い中、本作はユートピアを主体に描かれていますね。そもそもなぜディストピア映画が多いのでしょうか?

先ほど言った通りプロパガンダと化している映画が多いからではないでしょうか。ニュース番組を見ても悪いニュースばかり流していますよね。そうした情報を増やすことが、残念ながら一部の人の利益につながるのです。でも人類史を振り返るとスーパーヒーローに助けられたことはありません。ファシズムからも戦争からも。例えばガンジーは(アメコミのヒーローのような)タイツも履いていなければ、マントもひるがえしません。アウンサンスーチーだってマンデラだって、空を飛んだりすることは勿論できません。でも、彼らが世界を創ってくれたのです。彼らは普通に生まれて普通に育って…だから私はスーパーヒーローの信奉者ではないのです。

―― 監督ご自身が幼少の頃、夢中になって読んだ漫画を今回自らの手で映画化…思い入れもヒトシオだったと思うのですが、楽しさ、難しさ、プレッシャーなど様々な思いがあったのではないでしょうか。

プレッシャーは特に感じませんでした。ただ、あまりにも壮大な企画だったので、全体を見ながら一気にやろうとすると死ぬような思いがします(笑)。だから全体を見ながら撮影を進めるのでなく、ピンポイントに視野を絞って今やるべきことをやっていきました。一日一日、一つずつ集中して取り組みました。それが唯一この作品を撮り上げる方法だったのです。

――『レオン」や『ジャンヌ・ダルク」『ルーシー」など、監督の作品は強く美しく聡明な女性が数多く登場しますね。本作のローレリーヌも強くてキュートで、若さ溢れる活躍でした。彼女の魅力を引き出すのに、どのような点を意識されましたか。

ローレリーヌ役をつとめたカーラと初めて会った時に、元々ローレリーヌは10歳の時から知っていますから…29巻に渡って原作も読んでいるし、僕は彼女のことを良く知っているのです。女優さんと初めて会う時、その演じるキャストに合っているかどうか、私はすぐわかるのです。

まずはフィジカル的に…そういう意味でカーラはビジュアル的にベスト・マッチでした。それから一緒にランチを食べ、人生など色々と語り合ったのだけど、彼女の内面にいくつかローレリーヌと共通しているものを見出しました。物怖じしないし、はっきりと何でも物事を言うし(笑)、非常に聡明だし…ローレリーヌと同じ気質をもっていると感じました。ただ、演技ができるかどうか不安だったのです(カーラは元々モデル出身)。ですので、たくさんのテストを行いました。それは彼女にとって、かなり大変なことだったと思います。そう、きっと月に行く宇宙飛行士の訓練の方が楽なくらいにね(笑)。

<インタビューを終えて>

非常に日本通でも知られるリュック・ベッソン監督。映画の魅力や撮影秘話の他、寿司の話などまで交えながら、非常に丁寧に、かつ多くの言葉をもらいました。映画『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』は、遠い未来の宇宙を舞台にしたSF作品でアクション要素満載。しかし華やかで楽しいだけの映画ではなく、実は異人種間の共生世界の創造といったメッセージが込められていたり、異星人を撮り上げるのに非常に細かいキャラクター設定をしていたり…とたくさんの見どころがあります。数多くのヒット作を飛ばしてきた名匠リュック・ベッソン監督が、少年時代からの夢を一本のフィルムに詰め込んだ本作。是非劇場でお楽しみ下さい。

[インタビュー: 藤田 哲朗 / スチール撮影: 坂本 貴光]
[編集: Cinema Art Online UK]
 

監督プロフィール

リュック・ベッソン (Luc Besson)

1959年、パリ生まれ。1983年、 初監督作『最後の戦い』でアヴォリアッツ映画祭特別審査員賞を受賞。自らのダイバーの経験を活かした長編第三作『グラン・ブルー』(1988年)がフランスで1年間にわたって上映される大ヒットとなり、世界に知られた存在となる。 ジャン・レノと子役時代のナタリー・ポートマンが主演した『レオン』(1994年)、『ヴァレリアン~』の原作コミックの影響を受けたSF『フィフス・エレメント』(1997年)を経て、1999年には歴史劇『ジャンヌ・ダルク』を監督。同じ年に映画スタジオ「ヨーロッパコープ」を設立する。同スタジオではプロデューサーと脚本を兼ねてアクション映画を数多く送り出し、『TAXi』(1997年)、『トランスポーター』(2002年)、『96時間』(2008年)はいずれもシリーズ化されている。一時は映画監督業からの引退を公言していたが、2010年のアドベンチャー大作『アデル/ファラオと復活の秘薬』で撤回。以降、アウンサンスーチーの伝記映画『The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛』(2011年)、ロバート・デ・ニーロ主演のアクションコメディ『マラヴィータ』(2013年)、サイバーSFアクション『LUCY/ルーシー』(2014年)とジャンルを問わず精力的に活動している。

【写真】リュック・ベッソン監督 (Luc Besson)

映画『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』メイキング映像

映画作品情報

【画像】映画『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』ポスタービジュアル

《ストーリー》

一つの恋よ、叶え。一つの銀河を、救え。
西暦2740年。宇宙を守る任務を帯びたエージェントのヴァレリアン(デイン・デハーン)とローレリーヌ(カーラ・デルヴィーニュ)は、星から星へと飛び回り、あらゆる種族が共存する“千の惑星都市・アルファ”へ派遣される。
しかし、その深部には謎の放射線反応が見られ、“アルファ”は滅亡の危機にあった。
「10時間以内にその原因を究明せよ」という極秘ミッションを託された2人の前に突如現れたのは、30年前に消えたはずの惑星の住人たち。彼らの思惑とは一体…?
果たしてヴァレリアンとローレリーヌは“アルファ”の危機を救うことができるのか―!?

  
原題・英題: Valerian and the City of a Thousand Planets
 
監督・脚本: リュック・ベッソン
原作: 「ヴァレリアン」ピエール・クリスタン(作)/ジャン=クロード・メジエール(画)
 
キャスト: デイン・デハーン、カーラ・デルヴィーニュ、クライヴ・オーウェン、イーサン・ホーク、リアーナ、クリス・ウー、ジョン・グッドマン、ハービー・ハンコック、ルトガー・ハウアー
 
日本語吹替え版声優: 日野聡(ヴァレリアン)、沢城みゆき(ローレリーヌ)、大塚明夫(フィリット司令官)、関俊彦(オクト=バー将軍)、咲野俊介(客引きジョリー)、石川界人(ネザ軍曹)、富田耕生(国防長官)、楠見尚己(アイゴン・サイラス)、ゆりやんレトリィバァ(バブル)、THE ALFEE(ドーガン=ダギーズ)他
 
2017年|フランス|英語|カラー|スコープサイズ|137分|
製作: ヨーロッパコープ
配給: キノフィルムズ/木下グループ
© 2017 VALERIAN S.A.S. – TF1 FILMS PRODUCTION
 
2018年3月30日(金) 全国ロードショー!
 
映画公式サイト
 
公式Twitter: @Valerian_jp  #ヴァレリアン
公式Facebook: @valerian.jp 

公式Instagram: @valerian_jp
 

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Cinema Art Online

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