映画『リバースダイアリー』園田新監督インタビュー

映画『リバースダイアリー』初日舞台挨拶

映画『リバースダイアリー』園田新監督インタビュー

視点とともに感情が激変する
予測不能のサスペンス・ラヴストーリーに世界中が絶賛!!

映画作家・園⽥新が『Wiz/Out』(2007)以来となる、自身のオリジナル脚本を映画化。監督みずから製作全般を兼務し、⾃⼰資⾦とクラウドファンドによって完成させたインディペンデントスピリット溢れる野心作『リバースダイアリー』が、2018年5月26日(土)より公開した。

初日は満席を記録。視点とともに感情が激変する、予測不能のサスペンス・ラヴストーリーに世界中が絶賛。「ロンドンフィルムアワード」最優秀作品賞(⻑編部⾨)ほか国内外10を超える映画祭から正式招待を受けた。

シネマアートオンラインでは園田新監督にインタビューし、その魅力を伺った。

【画像】 映画リバースダイアリー』メインカット

―― 長編一作目『Wiz/Out』が2007年にユーロスペースで公開されて、レイトショーとしては異例の大ヒットとなりました。続く二作目『ネムリバ』は2010年に公開。本作は8年ぶりの新作です。その間の活動についてお聞かせ下さい。

ゲームソフトの「ゼルダ無双 」(2014年)の脚本監修や映像演出、「ドラゴンクエストヒーローズⅡ 」(2016年)のオープニングムービー監督などを務めていました。映画については、二度ほどオリジナル脚本で商業映画を撮れるお話があったのですが、リーマンショックや東日本大震災の影響により企画自体が流れてしまい、今回8年ぶりの新作公開となりました。

―― 3年前には短編映画を発表されていますよね。

『DEPARTURE』(2015年)ですね。長編の企画を数年かけて準備して、流れて。その繰り返しに徒労感を感じつつも、何一つ作品は出せていないわけです。『DEPARTURE』は、何か一つでも映画をつくって発表しなければいけないという焦りにも似た気持ちから、自分の中でできる範囲で映画をつくろうと思って生まれた作品です。この映画が、自分の想像よりも世界の映画祭で評価されて。今は機材がコンパクトになって、一人でも色んなことがハンドリングできることを実感したんです。それで、次もこのやり方で、今度は長編を撮ろうと思い、本作の制作に至りました。

―― 4Kの鮮やかな映像の中、練りに練られたストーリーが99分続きます。ほぼ一人で制作し、自己資金とクラウドファンディングで完成させた映画とはとても思えないクオリティでした。

予算的な制約はもちろんありますが、基本的にはクリエイティビティとして一切妥協していない作品です。日本公開よりも前に、海外の映画祭で数多くの賞を受賞させてもらえたことがとても励みになっています。有名な映画会社や俳優が関係していなくても、こうして評価を頂けるのはうれしいです。

【画像】 映画リバースダイアリー』場面カット

―― 俳優陣は、ワークショップを経て撮影に臨まれたと聞きました。

自主制作映画なので、この映画でしかできないことをやろうと思ってキャスティングを行いました。ただひとつ、先に申し上げておきたいことは、この映画は巷で言われる「ワークショップ映画」とは違うものです。参加者達からの参加費を製作費の一部にして作品をつくるものではありません。キャストの参加費は無料で、ただ彼らには、毎週、長期間に渡って稽古をしてもらい、役を掘り下げてもらいました。

外見を役の性格に無理やり似せて特徴づけることや、現場で役者を追い詰めるような演出はせずに、自分達の人間性の中で役を引き出してもらいました。皆、まだ商業映画で主演をはる役者ではないですが、すごく落ち着いていて、自然な表情で演じられていたと思います。普段自分達の身の回りにいそうな人として役を演じられるかどうかが物語とのバランスを取る上で非常に重要になってくるので、そこは上手く出来ていたのかなと思います。

―― この物語は、四人の登場人物が交錯し、終盤に進むにつれて予測不能な展開を見せていきます。宣伝活動の中で、どこまであらすじを語るのか。難しい判断があったと思います。

そこは賭けでもありました。はじめは、あまり具体的な内容は言わない方がいいという意見がありました。試写を通じて、割と前情報が少ない人の方が評判がよかったんです。ただ、宣伝をする上で、もしかしたらチラシのビジュアルと簡素な文章だけではただのラブストーリーとして受け取られるかもしれないという意見があり、最終的に現在のかたちに落ち着きました。それでも、本編にはまだ二転三転、予想外な仕掛けが残っています。ひとつの出来事が様々な視点から語られることで、ラブストーリーにもサスペンスにもスリラーにもなるという、ジャンルの枠を超えながら進む、映画でしか表現できない映画体験を追求した作品になっています。

【画像】 映画リバースダイアリー』場面カット

―― 短編『DEPARTURE』もそうですが、「たまたまそこにいたから何かが起った」というような、運命のいたずらが本作でも描かれていて、そこに園田監督の映画の面白さを感じます。

それは、僕自身も常々興味を持っていることではあります。たまたまそこにいたから巡り合えた人もいるだろうし、事故に巻き込まれた人もいるだろうし。人生は運命の分かれ道みたいなものの連続だと思うんです。だから、ある人にとっては幸運なことでも、ある人にとっては不幸であるみたいな、そういった作品をつくってみたいということを本作の着想の段階で思っていました。個人的にはアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督の『アモーレ・ペロス』(2000年)や『21グラム』(2003年)が好きなので、ああいった群像劇に影響を受けている部分があるかもしれません。

――「運命のいたずら」という題材だけでいうと、コメディを扱うこともできたはずです。なぜ今回、ドキッとするようなサスペンス・ラヴストーリーにしたんですか?

そこは、僕の内省的な性格が出たのかもしれません(笑)。昔、僕もコメディっぽいものを作ったことはあるのですが、やっぱり人の内面、人の感情の奥深い部分を捉えたいと思うことの方が多くて、そうするとだいたい笑いにはいかないんです。

ただ、コメディではないと言っても、悲劇的なことを暗く描いた作品にはしたくない。悲劇的であっても、希望があるようなストーリーにしたいということは気を付けています。映画の「エンターテイメント」という部分はとても大切だと思うんです。見に来た人があっと驚いて、楽しんで帰れる、そこに、ちょっと心に残るものがあればいいなと思っています。

『Wiz/Out』と同様に、基本的には、何かを失ったキャラクターが、何かを得る。喪失から再生していくという話を描きたいと思ってストーリーをつくっています。そこに対して、観客をどう引き込むか。交錯するドラマの仕掛けが今回の挑戦ではあります。

【画像】 映画リバースダイアリー』場面カット

―― 本作の宣伝・配給は、一般公募で募った人達とワークショップ形式で進めていると聞きました。非常に珍しい試みだと思います。

そうですね。2月上旬から、年齢も職業も異なる八人と僕と、アドバイザーが三人、宣伝会社のブラウニーさんと、配給会社のエレファントハウスさん、クラウドファンディングのプラットフォームのMOTION GALLERYさんからご協力を頂きながら、ワークショップ形式で宣伝・配給活動を行っています。もともとは今回上映する劇場の支配人から、「宣伝会社に依頼しても結果が出ない映画は沢山ある」「この作品でしかできないことをやって欲しい」と言われたことがきっかけです。

今日まで、皆で宣伝コンセプトやチラシビジュアル、リリース配信など意見を出し合いながら進めてきました。結果的に、複数の人間の目が入ることで自分では気付かなかった作品の魅力に気付くことが出来ました。物語同様、関わる人間の視点の数だけ予測不能な広がり方をしていったので、『リバースダイアリー』らしい、いい宣伝活動が出来たと思います。

―― 最後に、読者に向かって一言お願いいたします。

初日を満席立ち見で迎えられたことは、今までの苦労が報われた瞬間でした。ただ、それはゴールではなくて、新しい挑戦の始まりでもあります。ユーロスペースでの動員を広げて、全国公開に繫げていきたいと考えています。是非、2週間の公開中に劇場に足をお運びいただけましたら嬉しいです。よろしくお願いいたします。

[スチール撮影: 『リバースダイアリー』宣伝部 / インタビュー: 大久保 渉]

プロフィール

園田 新 (Shin Sonoda)

立教大学法学部国際比較法学科卒。大学在学中にニューヨークに留学し、映画づくりを学ぶ。テレビ番組のディレクターを経て、2007年、脚本、監督から配給、宣伝まで自らトータルプロデュースした初長編作品『Wiz/Out』が渋谷ユーロスペースにて公開、スマッシュヒットを記録。函館港イルミナシオン映画祭・シナリオ大賞にて自身の長編映画用脚本が2作品連続受賞(2009年『記憶代理人』審査員奨励賞、2011年『リアルファミリー』グランプリ受賞)。2013年、釜山国際映画祭が主催するアジアの新進映画作家支援プログラム・AFA(Asian Film Academy)の監督として選抜される。2017年、新作長編映画『リバースダイアリー』を製作。同作は現在までに国内外10を超える映画祭に招待され、最優秀作品賞、最優秀脚本賞を含む8つの賞を獲得。
【写真】園田新監督

映画作品情報

【画像】映画『リバースダイアリー』ポスタービジュアル

《ストーリー》

小説家を志すもゴーストライターをしている白石理人が、少し風変わりな女優志望の女性、本田沙紀と出会う。白石は彼女の日記から、その出会いが偶然ではなかったことを知る。ある飛行機事故によって結び付けられた2人はやがて、互いに影響を与え合いながら、偽りなき自分と向き合い始める……。

 
「London Film Awards」(イギリス)最優秀作品賞(長編部門)
「SOMA Film Festival」(アメリカ)最優秀脚本賞
「Mediterranean Film Festival 」(フランス)審査員特別賞
「International Independent Film Awards」(アメリカ)プラチナアワード
「WorldFest Houston International Film Festival」(アメリカ)シルバーアワード 
「Asian International Film Festival」2nd Best Film
「Utah Film Festival」(アメリカ)正式招待
「Asian Film Festival of Dallas」(アメリカ)正式招待
「Nice International Film Festival」(フランス)正式招待
「映像グランプリ」若獅子賞
「四万十映画祭」優秀賞  
「新人監督映画祭」正式招待
「4K徳島国際映画祭」正式招待
「茅ヶ崎映画祭」正式招待
 
キャスト: 小川ゲン、新井郁、小野まりえ、赤染萌、平吹正名、綱島恵里香
 
監督: 園田新
脚本: 園田新
製作: 園田新
共同プロデューサー: 小島英雄
撮影監督: トーマス・シュナイト
照明: 石橋素幸
録音: 岡本洋平]
ヘアメイク: 伊藤直加
整音: 米山靖
効果: 井上久美子
編集: 園田新
音楽監督: 末廣健一郎
音楽: KOKOSA、SarahFlay
製作・配給・宣伝: CiNEAST
宣伝協⼒: ブラウニー
2017年 / 日本 / 99分 / シネマスコープ
©CiNEAST
 
2018年5月26日(土)~
ユーロスペースほか全国順次ロードショー!
 
映画公式サイト
 
公式Twitter: @ReverseDiaries
公式Facebook:
 @reversediaries

この記事の著者

大久保 渉

大久保 渉ライター・編集者・映画宣伝

映画活動中です。フリーで色々。執筆・編集「映画芸術」「ことばの映画館」「neoneo」「FILMAGA」ほか。SKIPシティ国際Dシネマ映画祭事務局アシスタント、東京ろう映画祭スタッフほか。邦画とインド映画を応援中。でも米も仏も何でも好き。BLANKEY JET CITYの『水色』が好き。桃と味噌汁が好き。

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