映画『名前のない女たち うそつき女』城アンティア インタビュー
【写真】映画『名前のない女たち うそつき女』 主演・城アンティア

映画『名前のない女たち うそつき女』
主演・城アンティア インタビュー

幸せってなんだろうって普段からよく考えています。
人間関係を奥深くまで描いた作品です。

中村淳彦によるノンフィクション書籍「名前のない女たち 貧困AV嬢の独白」をベースに、AV業界で生きる男女を描いた群像劇『名前のない女たち うそつき女』。『冷たい熱帯魚』(2010年)の吹越満が主人公のルポライター・志村篤を演じ、家族関係や自分の人生などに悩みもがきながらも、企画AV女優として生きる女性・前田葉菜子を映画初出演の城アンティアが体当たりで演じ抜いた。

映画『名前のない女たち うそつき女』メインカット

オーディションによって本作で映画初出演を果たした城アンティアへのインタビューをお届けする。

―― 本作への出演は、ご自身でオーディションを受けたと伺いました。この役を演じるにあたって、かなりの覚悟が必要ではなかったでしょうか?

お話が来て、思い切ってオーディションを受けてみたのですが、受かってから正直とても悩みましたね(笑)。嬉しい反面、こんな大役が私に務まるのか?という葛藤が最初の方はあったのですが、日にちが経つにつれ自ずと覚悟が決まりましたね。

【写真】映画『名前のない女たち うそつき女』 主演・城アンティア インタビューカット

―― 撮影前とクランクアップ後で自分の中での何か変化や新たに得た感覚はありますか?

結構タイトなスケジュールで撮りました。監督がどう思われるかわかりませんが、私の中では「やれた」という感覚があったのと、監督がおっしゃっていた「自然に演じる」という感覚ってこういうことなのかなという。「演技をする」って「演技をしないこと」なんだなと言いますか、そういった感覚を得ることが出来たように思います。

映画『名前のない女たち うそつき女』場面カット1

―― AVのお仕事には、お金目当てで入る人もいれば、単純に好きだから入る人もいますね。ただ、貧困でも幸せに生きている人、お金があっても幸せでない人が世の中にはいますが、城さんが思う幸せのあり方ってなんだと思いますか?

色んな動機の入り口がある職種なんだと思いますね。ただ、お金だけ一杯あったとしても、人がお金目的で寄ってくるのだとしたら、それは寂しいなと思いますし、逆に自分が叶えたいちっぽけな夢や願いも叶えるぐらいのお金も無い状態だと、きっと自分の心が貧しくなっちゃうと思うんですよね。良くも悪くも人間関係って怖いものだなと思っているので、人間関係も大事にしていたいですね。なので、自分の心が貧しくならないぐらいのお金と、豊かな人間関係を育んでいることですかね。

【写真】映画『名前のない女たち うそつき女』 主演・城アンティア インタビューカット

―― 人間関係に関して、作中では同居している彼氏が無職でヒモ状態なわけですが、実際にヒモの彼氏がいるとしたらいかがですか?

実際にいたとしたら、2、3ヶ月が限界ですね(笑)。「いいよいいよ」って思えるのっておそらく最初だけだと思うので、2、3ヶ月経っても無職なままで何も変わらないようなら、きっとイライラしちゃうんでしょうね。

映画『名前のない女たち うそつき女』場面カット3

―― 本作で共演した吹越満さんはいかがでしたか?

すごくお優しく面白い方でした!普段はとても物静かで寡黙な方なんですけど、よくよく聞いているとただの人見知りだったっていう(笑)。お茶目というか、お優しい方でしたね。楽屋でも独特で、スマホをお持ちでなかったり。キャリアもものすごく長い方なので、演技についても、こうやったらいいよとか、色々ご指導頂きました。学ばせていただきましたね。

映画『名前のない女たち うそつき女』場面カット2

―― 今後、共演したいなと思う方はいますか?

共演したいと言いますか、ずっと好きな女優さんは吉高由里子さんですね。原作から読んでいた『蛇とピアス』の実写映画を観に行った時に衝撃を受けまして、そこから一気に大活躍されているところまでずっと見てきました。あの個性豊かな感じが大好きですね。

―― 次回作以降、どんな役を演じたいですか?

この作品もわりかし暗いと言いますか、キャピキャピした役どころではないので、次回もシリアスな役どころを演じたいですね。恨みを持っていたり、強烈な復讐劇を演じたりとか、サイコまではいかないですけど、そういった役を演じたいですね。

【写真】映画『名前のない女たち うそつき女』 主演・城アンティア インタビューカット

―― 最後にシネマアートオンラインの読者の皆様へメッセージをお願いします。

この映画は人間関係を描いた作品だと思っているんですけど、普通に観ているだけだと、「こういう現実ってあるんだな。こういう女の子っているんだな」って思うだけで終わっちゃうと思うんですけど、各登場人物の性格と言いますか、裏というか実は優しいとか、本心についてまで思いを馳せて見ていただきたいなと思っています。例えば私が演じたはなちゃんはなかなか自分の思い通りに人生がうまくいかなくて、でもそれを表になかなかストレートには出せなくて苦しんでいるというようなところなどですね。内容を噛み砕いて観てもらえると奥深いところまでこの作品を捉えていただけると思います。どうぞよろしくお願いいたします。

[インタビュー: 蒼山 隆之 / スチール撮影: 平本 直人]

プロフィール

城アンティア (Anthia Jo)

1991年3月15日生まれ、神奈川県出身。
女優・モデル。多摩大初代ミスコングランプリ、ミスユニバース2017長崎大会ファイナリスト。近年の出演作にテレビ東京「ウソでしょ!?ヒストリー「今」から「昔」がわかる偉人伝 」、舞台「ACT GAME 第三回戦」「ドブ恋8」などがある。
城アンティア

映画作品情報

映画『名前のない女たち うそつき女』ポスタービジュアル

《ストーリー》

ルポライターの志村篤(吹越満)は、主にAV女優を専門に取材をしては本にしていた。

AV女優を「人前で裸になってセックス売ってるだけの社会の底辺」と内心バカにしつつも、彼女たちの前では「尊敬している」と言ってみたりしていた。

自分が心底見下している対象であるはずのAV女優たちに、なぜ彼は執着し、追い続け、そして取材し続けるのか。彼はある種の矛盾を抱えていた。

彼をそこまで惹きつけて止まないAV女優とは。

そんな中、企画AV女優である前田葉菜子(城アンティア)と取材を通して出会う。いつものパターンだと思った。惨めなくせに、そこを直視することなく、「充実している」「幸せ」「AV女優は夢だった」等と言っては明るく振る舞い、空虚な嘘で作り固められた今までのAV女優と同じだと思っていた。しかし、葉菜子は何かが違っていた。

一方で、葉菜子の妹の前田明日香(円田はるか)は、高校を中退し、若さも時間も持て余していた。実家に全く帰ってこない葉菜子に会いに、田舎から親に内緒で出てきてしまう。そんな時、ワケありのホストとして働き始めていたツバサ(小南光司)と出会う。

それぞれが、それぞれに、切ない人生を日々生きていて、心にある闇や、葛藤、矛盾、言いようのない何かを抱えて、それでも生きて……

 

原作は企画AV女優へのインタビュー集。2002年6月に発売されて以来、ベストセラーになりパート④まで出版され、現在では文庫化・コミック化され、今もなお増刷されている話題作。シリーズ累計40万部以上の売り上げを突破。

2017年1月7日には最新刊「名前のない女たち貧困AV嬢の独白」が発売。

 
出演: 吹越満、城アンティア、円田はるか、笠松将、小南光司、吉岡睦雄、不二子、クノ真季子、川瀬陽太
 
監督: サトウトシキ
 
原作: 中村淳彦「名前のない女たち 貧困AV嬢の独白」(宝島社)
 
脚本: 加瀬仁美
製作: 「名前のない女たち うそつき女」製作委員会(オデッサエンタテイメント・渋谷プロダクション)
プロデューサー: 森原俊朗、小林良二、橘慎
ラインプロデューサー: 川上泰弘  
脚本: 加瀬仁美(「なにもこわいことはない」)
撮影監督: 小川真司
録音: 岩間翼
衣装: 杉本京加
メイク: 高橋可菜
助監督: 大城義弘
音楽: 入江陽
制作会社: ソリッドフィーチャー 
 
主題歌: アクメ「CALL MY NAME」
 
配給: 渋谷プロダクション
 
2018年 / DCP / ステレオ / 86分
 
© 2018 名前のない女たち うそつき女
 

新宿K’s cinemaにて公開中!

2月10日(土) ~
大阪 第七芸術劇場 (※初日サトウトシキ監督の舞台挨拶あり)
茨城 土浦セントラルシネマズ
山梨 甲府シアターセントラルBe館
 
3月16日(金) ~
兵庫 神戸映画資料館
 
3月17日(土) ~
愛知 名古屋シネマテーク
 
3月24日(土) ~
福岡 中洲大洋
 
映画公式サイト
 
公式Twitter: @usotsukionna007

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