映画『ラブ×ドック』鈴木おさむ監督インタビュー

【写真】映画『ラブ×ドック』鈴木おさむ監督

映画『ラブ×ドック』鈴木おさむ監督インタビュー 

苦みと甘みと酸っぱさがミックスされた35~40歳の5年間を描く
クリーム、ピンポン、金魚がフックのキスが見どころ!

放送作家の鈴木おさむが初監督を務める映画『ラブ×ドック』が5月11日(金)に公開される。
本作は鈴木おさむによる完全オリジナル作品。吉田羊が演じる、恋に仕事に悩みが尽きないパティシエ・剛田飛鳥の35~40歳の5年間をコメディタッチに描いた。

飛鳥は3人の男性と恋に落ちる。スイーツ店のオーナーで不倫相手の淡井淳治を、自ら吉田羊ファンであることを公言している吉田鋼太郎。友人が通う整体ジムのトレーナー野村俊介を玉木宏。経営するスイーツショップで働くひと回り以上年下のパティシエ・花田星矢を野村周平。また、お笑いコンビ・オアシズの大久保佳代子が飛鳥の親友であり、未婚のシングルマザー・細谷千種を演じる。

初めてメガホンを執った鈴木おさむ監督に本作に対する思いを聞いた。

【写真】映画『ラブ×ドック』鈴木おさむ監督インタビュー

★恋愛は主観、人それぞれで違う

―― 初監督作品です。脚本だけでなく、監督もやってみようと思ったきっかけをお聞かせください。

映画は監督が絶対です。監督が「こうだ」と言ったら、産んだ我が子を変えていかなきゃいけないことがありますが、脚本家とはそういうもの。それはそれでいいと思いますが、恋愛は主観で、人それぞれ違います。「そういうセリフは言わない」と言われたときに、それはその人の正解ですが、僕の正解じゃない。恋愛ってすごく難しい。

この作品では、映画全体のテーマより部分部分でこだわったところがあり、それを変えられるのは耐えられないと思ったのです。

そう考えると、この作品は自分じゃなきゃ成立しなくなるかもしれない。脚本を完成させてから、監督の恋愛観に合わせるのは難しいと思ったのがいちばんの理由です。

―― 飛鳥は恋愛を遺伝子で解析するクリニック「ラブ×ドック」を怪しいと思いながらも通院します。そこで院長の冬木が不倫した相手を嫌いになるための方法として、その男性が毎日していると思われることを想像するよう提案しましたが、そのエピソードの数々に笑ってしまいました。

僕があるとき、ブログで “不倫男あるある”を募集したところ、「携帯の履歴を消すだけでなく、予測変換も消す」、「ホテルに泊まるときにはあらかじめ、無香料のボディソープを用意しておく」「奥さんがプリンと言ったのを不倫と言ったと思って焦る」などいろいろ出てきたのです。「スマホを見られると思うと長風呂ができない」という話もありましたが、今回は削りました。どれもリアルな体験です。

★仕事や大切な人を失う恋愛を逆算して考えた

―― 3人の男性との恋愛で起きたこともブログで募集したのでしょうか。

物語は飛鳥が初めて男に振られたところから始まります。すべてを計算で生きてきて、それでうまくいっていた女性が、ちょっと人生の調子が狂ってくる。気がつけば、仕事や大切な人を失くしていた。では、どう失くすのがいちばんショックなのか。仕事でいい気になって、しかも不倫までした挙句、仕事を辞めなきゃいけなくなる。大切な親友の好きな男と一晩寝た上、調子に乗ってしまうことで親友を失う。35~40歳のいちばん気持ちが寂しくなる時期に、大切なものを失う恋愛を逆算で考えました。そして、そんなときにいちばん臆病になる恋は何かと考えて、年下の男を登場させました。

【画像】映画『ラブ×ドック』(Love × Doc) 場面カット2

★役に役者自身が降臨、まさに飛鳥であり、吉田羊!

―― クライマックスの橋のシーン、飛鳥のセリフに涙が止まりませんでした。

ありがとうございます。人生経験を積んだ女性の多くが「泣いた」と言ってくれます。共感してもらえる映画でありたいと思っていましたからうれしいですね。

飛鳥は無様な自分をさらした上で、けじめをつけるために、自分が好きになった男とその男を取った女が提案したものを掛け合わせたケーキを焼いて、男に渡す。これはとても残酷で、エロチック。羊さんも「本番をやっていたら泣けてきた」と言っていました。

役に役者自身が降臨したときのパワーってすごいなと僕は思っています。このシーンはまさに飛鳥であり、吉田羊。降臨パワーがありましたよね。無様ですが、すごくカッコよかったと思います。

―― このときに作ったジンジャー黒糖レモンのパウンドケーキはジンジャーの程よい苦み、黒糖の渋めの甘み、レモンの酸味がミックスされています。この苦みと甘みと酸っぱさはまさしく、この作品で描かれた飛鳥の5年間の象徴。パウンドケーキにジンジャーと黒糖とレモンを組み合わせたのは、監督が思いついたことでしょうか。

僕は育児で1年仕事を休んでいたのですが、そのときに、クックパッドをよく使っていました。すごく便利なんですよ、クックパッドって。飛鳥のお店の定番商品を考えていたとき、パウンドケーキは大人のケーキだという話になって、クックパッドでパウンドケーキを検索したら、黒糖パウンドケーキがうまそうだったんです。レモンを載せるパウンドケーキも人気メニューとしてありました。それに加えて、ジンジャーは女性が好きそうだということで、3つをミックスして黒糖ジンジャーレモンを思いつきました。うまいんじゃないかと。ほとんど勘でしたけれどね。

「ジンジャーの程よい苦み、黒糖の渋めの甘み、レモンの酸味」のナレーションは後から考えついたのですが、飛鳥の人生みたいなケーキだなと思って付け足しました。

【写真】映画『ラブ×ドック』鈴木おさむ監督インタビュー

★飛鳥の親友、千種にとってもリアルでファンタジーであってほしい

―― クライマックスは飛鳥だけでなく、星矢もかっこいいですね。胸キュンな行動でした。

役って大事。星矢というか、野村君なら橋からジャンプできちゃいそうじゃないですか。一人取り残される飛鳥は切ないけれど、大久保さんが演じる千種に感情移入する人もいっぱいいる。そこのファンタジーでもあってほしい。千種と星矢の関係で言えば、女性に子どもがいて、その子どもが愛おしくなり、その結果、子どもの母親が恋しくなる。リアルでファンタジーな作品だと思っています。

ただ、星矢のジャンプは野村君が若いからできる。鋼太郎さんだったら死んじゃうかも(笑)。

―― 星矢の「うちはシングルマザーで」の一言に彼の背景が見えた気がして、飛鳥を好きになった理由がすとんと納得できました。細かな設定がリアルさを生みますね。

星矢はなぜ年上の女性に惹かれるのか。シングルマザーに育てられたら、必ず年上の女性に惹かれるわけではありませんが、1つの理由にはなるのではないか。背景として思い浮かべやすいので、ちょっとリアリティを足したいと思って、付け加えました。

【画像】映画『ラブ×ドック』(Love × Doc) 場面カット1

―― 羊さんが美味しそうなスイーツ作るシーンがあります。プロに見えるよう、かなり特訓したのでしょうか。

ホイップをきゅっと絞り上げたり、ケーキに塗ったりするのは意外と難しいんですよ。でも、羊さんはすごく器用。お菓子作りは初めてでしたが、プロっぽく見える作業をピックアップして覚えてもらったところ、すぐにクリアしました。ところが、野村君と音尾琢真さんは不器用。超簡単な作業さえ全然できなくて、こりゃダメだなと思いました(笑)。

★次に監督するなら、ラブサスペンスやラブホラー

―― 今後も監督をやってみたいと思いますか。

原作があるものは、普通の監督がやった方がいい。でも、僕が書いた小説やマンガを映画にするチャンスがあって、自分が監督をやった方が絶対にいいと思ったら、やってみたい。
ジャンルは恋愛モノ。僕は『危険な情事』や『氷の微笑』が好き。ドキドキするけれど、笑ってしまう部分もある。日本の作品はただ怖くするだけのことが多いですけれどね。僕はコメディに限らず、ホラーも好きなので、恋愛にエンターテインメントが加わったラブサスペンスやラブホラーがやりたい。ベースに恋愛があるところに、自分のやる意味があるのかなと思っています。

―― 今回はアラフォー世代の恋愛でしたが、次はどんな世代の恋愛がいいですか。

20代のキラキラした恋愛を描くことには、まったく興味がない。自分と同じ世代か、大人の女性がいいですね。

女の人が描く恋愛モノはシビアになりがちですが、男が描くとちょっとロマンティック。リチャード・カーティスは『ノッティングヒルの恋人』、『ブリジット・ジョーンズの日記』の脚本を書き、『ラブ・アクチュアリー』と『パイレーツ・ロック』、『アバウト・タイム 愛おしい時間について』の監督をしましたが、あんな感じがいいですね。

【写真】映画『ラブ×ドック』鈴木おさむ監督インタビュー

★自分で映画を作るときには意外性のあるキャスティングでありたい

―― 一緒に仕事をしてみたい俳優はどんな方でしょうか。

若い人より樹木希林さんや西田敏行さんといったコメディができるレジェンドと仕事がしたい。杖を使って、街の悪い人をめっちゃやっつける人がいる。実はそれが樹木さんだったなんて、面白いと思いませんか。今回もラブドックの院長に樹木さんを考えたこともありました。

また、自分にしかできない作品を将来的には作ってみたい。僕はバラエティーをやっている人間なので、自分の映画に鶴瓶さんやさんまさんが出てくれたらうれしいですね。

最近はキャストの組み合わせを変えただけの作品が多い。しかし、自分で映画を作るときには意外性のあるキャスティングでありたいと思っています。TBSのディレクター、福澤克雄さんはドラマを作るときに、今まで一緒に仕事をしたことがない芸人さんを持ってくるなど、面白いキャスティングをする。例えば、「小さな巨人」で和田アキ子さんをキャスティングしていました。

キャスティングは大事。今回で言うと羊さんが真ん中にいて、野村君や玉木さん、鋼太郎さんが両脇にいる。それを見た人は「何だろう」と思うはず。そこに大久保さんが入るとすごく効いてくる。

今回は友情出演の人を除けば、大久保さん以外初めて仕事をする人ばかり。僕の初監督作品だから面白そうといって、出演してくれました。

【写真】映画『ラブ×ドック』鈴木おさむ監督インタビュー

―― 最後に『ラブ×ドック』の見どころを教えてください。

吉田鋼太郎、玉木 宏、野村周平との3つのキスですね。クリーム、ピンポン、金魚がフックになっていますが、大の大人が真剣にやると面白くてカッコいい。僕の中でキス大喜利みたいなところがあるので、ぜひ女性に見てほしいと思います。

[スチール撮影: Cinema Art Online UK / インタビュー: 堀木 三紀]

監督プロフィール

鈴木 おさむ (suzuki osamu)

1972年4月25日生まれ。千葉県出身。大学在学中に放送作家としてデビュー。多数の人気バラエティの構成を手掛けるほか、ベストセラーとなった「ブスの瞳に恋してる」などのエッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍している。脚本を手がけた主な作品に映画『ラブ★コン』(2006年)、『ハンサム★スーツ』(2008年)、『ONE PIECE FILM Z』(2012年)『新宿スワン』(2015年)、ドラマ「人にやさしく」(2002年・CX)、「生まれる。」(2011年・TBS)、「奪い愛、冬」(2017年・EX)など。本作は初の映画監督作品となる。

【写真】鈴木おさむ監督

映画『ラブ×ドック』予告篇

映画作品情報

《ストーリー》

運命の恋、遺伝子で診断します!
女性のホンネが詰まってる!?
笑って泣けて恋がしたくなる、“大人のため”のラブコメ、誕生!
 

「人生に無駄な恋なんてない」
とあるところに存在する恋愛クリニック「ラブドック」。そこは恋愛体質の人にこそ、意味のある場所。ある日訪れたのは人気パティシエの剛田飛鳥。人生で成功を収めながらも、節目節目で恋愛に走り、仕事を無くし、親友を無くしてきた。そんな飛鳥に、魅惑の女医、冬木玲子が処方したのは、遺伝子から抽出したという、特別な薬。これを打てば危険な恋愛をストップできる優れもの?果たして彼女の恋愛模様は、薬で軌道修正できるのか?いくつになっても恋をしたい!人生を楽しみたい!でも理想と現実がかみ合わない・・・。そんな女性たちに贈る、遺伝子レベルで恋が始まる、究極のラブコメディ!

 
脚本・監督: 鈴木おさむ
 
出演: 吉田 羊
野村周平、大久保佳代子、篠原 篤、唐田えりか、川畑 要(CHEMISTRY)
山田純大、音尾琢真、大鶴義丹、成田 凌/広末涼子、吉田鋼太郎(特別出演)/玉木 宏
 
ミュージックディレクション&主題歌: 加藤ミリヤ
ビジュアルディレクター: 飯田かずな
企画・制作・配給: アスミック・エース 
 
© 2018『ラブ×ドック』製作委員会
 
2018年5月11日(金)
TOHOシネマズ新宿ほか全国ロードショー!
 
映画公式サイト
 
公式Twitter: @lovedocmovie  #ラブドック
公式Facebook: @lovedocmovie
公式Instagram: lovedocmovie
鈴木おさむ公式Instagram: osamuchan_suzuki

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Cinema Art Online

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