映画『レミングスの夏』五藤利弘監督インタビュー

【写真】映画『レミングスの夏』五藤利弘監督
 

映画『レミングスの夏』

映画『レミングスの夏』五藤利弘監督インタビュー

“一貫した芯の強さを持つ14歳の主人公”
映画を通して、監督が伝えたいこととは―?

第59回江戸川乱歩賞受賞作家 竹吉優輔が描く、青春ミステリー小説『レミングスの夏』が茨城県取手市を舞台の中心に、牛久市、つくば市、つくばみらい市、稲敷市で撮影、映画化された。

主人公は、14歳の少年、少女達。あまりにもまっすぐで純粋な心を持った彼らの名前は「レミングス」。「レミング(Lemming)」という“ねずみ”は、新天地に向かうために、集団で移動して必死に海や川を渡るという。

この映画の主人公達「レミングス」が向かう新天地とは?中学2年生の夏は、彼らにとって大きな戦いの夏となる・・・。

映画『レミングスの夏』

映画『レミングスの夏』の監督・脚本を手がけた五藤利弘氏に映画化のきっかけなどお話を伺いました。

―― 竹吉優輔氏原作の『レミングスの夏』を映画化しようと思ったきっかけはどんなところからでしょうか?

2014年の暮れに、先輩の松村克弥監督と、俳優の城之内正明さんと、原作の竹吉優輔さんと、(物語の舞台である)茨城県取手市でお酒を飲んでいた時に、竹吉さんの「レミングスの夏」は僕の作風に会うのではないかということを松村さんに言ってもらいました。竹吉さんとも映画の話で意気投合したこともあり、原作を読ませてもらったところ、ぜひこれは映画化させてもらいたいと思いました。竹吉さんや地元の皆さんとも「映画化しよう!」と盛り上がり、皆さんが支えて下さって映画化することになりました。

【写真】映画『レミングスの夏』五藤利弘監督

―― 原作を読まれて、特にどんなところに魅かれたのでしょうか?

ナギの一貫した芯の強さです。今は忘れられがちな真っ直ぐさに惹かれました。
映画では、ナギの芯の強さをそのまま活かして、それでいて中学生らしい粗があるところに好感が持てるようにしました。

―― 主演に前田旺志郎さんを起用した理由をお聞かせください。

是枝裕和監督の『奇跡』(2011年)に出演しているのを観て以来彼に注目していましたが、『海街Diary』(2015年)で、広瀬すずさんの彼氏役で光っていたのと、実際に表情を見て、彼こそナギだと感じました。

映画『レミングスの夏』前田旺志郎

―― 前田旺志郎さんをナギだと感じた表情とはどのような表情だったのでしょうか?

彼は少年の表情を残しながら、相手を射抜く大人のような鋭い視線を時々向けます。その表情こそがナギだと感じました。

―― 今回のレミングスの仲間達は、どのようなところに惹かれて起用されたのですか?

レミングスメンバーの皆さん、それぞれが原作から僕が受けたイメージそのままだったので、それぞれの役で皆さんを起用しました。

―― 例えば、千葉旭役の菅原麗央さんはどのようなところが原作のイメージそのままだったのでしょうか?

菅原麗央君が演じたアキラは、頭がよくて人当たりもいいけれど、ナギのような大胆な行動にはなかなか踏み切れなくて常に迷い心が揺らいでいます。菅原麗央君の中性的な表情、佇まい、その繊細な雰囲気はアキラのイメージそのものでした。

映画『レミングスの夏』菅原麗央

―― 6年も気持ちを保ち続けることは並大抵のことではないと思います。レミングスの仲間達はなぜ、気持ちを保てたのでしょうか?

純粋な心を持ち続けたからではないかと思います。

―― 彼らの純粋な心は6年間一度も交わることがありませんでした。それなのに、なぜ気持ちは変わらなかったと思いますか?

彼らレミングスにとって、心の拠り所がサキだったのだと思います。そのサキへの想いを持ち続けていることをお互いが再会したときに言葉を交わさなくても確認し合えたのだと思います。交わらなくてもずっとお互いが6年間想いを抱き続けていたからこそ、行動を起こせたのだと思います。

映画『レミングスの夏』

―― 決して許されないことをしている彼らですが、8歳で既に心の痛みを知っているレミングスの仲間達を観ているとなぜか応援したくなってしまいます。

理不尽なことを許せない、まっすぐな気持ちに従って行動をしているからではないでしょうか。

―― レミングスの仲間達は、それぞれがそれぞれの価値観の元、行動していて、自分の意思を持っています。この映画から、今の14歳にどんなメッセージが届くと思いますか?

本当に大切なこと、仲間を信じる気持ちを忘れないで持ち続けて欲しいです。想いを貫き通せば願いは叶うということを信じて欲しいです。

―― 本当に大切なこととはなんでしょうか?

真っ直ぐな心、理不尽なことを理不尽なままにしない強い気持ちだと思います。
それは、ともすると現在を生きている僕たちみんなが忘れてしまいがちなことではないかと思います。

映画『レミングスの夏』

―― どのような方に、『レミングスの夏』を観ていただきたいですか? また、どんなところに注目していただきたいですか?

子供の頃の真っ直ぐな気持ちを思い出したいすべての大人の方、そして、レミングスと同世代の皆さんにぜひ観て頂きたいです。
若いメインキャストの皆さんの瑞々しい演技にぜひ注目頂きたいです。

―― 監督が一番好きな場面はどの場面でしょうか?

すべてです。

【写真】映画『レミングスの夏』五藤利弘監督

映画の一番好きな場面は?という問いに「すべて」とまっすぐに応えてくださった五藤利弘監督。
心の痛みを押し殺したり、忘れたりせず、ひたむきに向き合い続けたレミングスの仲間達の戦いをぜひ劇場でご覧ください!

映画『レミングスの夏』は、9月30日(土)茨城県・土浦セントラルシネマズ、イオンシネマ守谷。10月1日(日)東京都・渋谷ユーロライブなど順次公開予定です。

[スチール撮影: 平本 直人 / インタビュー: 大石 百合奈]

プロフィール

監督・脚本
五藤 利弘 (Toshihiro Goto)
 

新潟県長岡市出身。日本シナリオ作家協会所属、著作権委員会委員。
日本テレビ「NNNドキュメント」、フジテレビ「ザ・ノンフィクション」「NONFIX」などのプロデューサー、企画、構成、ディレクターを務め、脚本・監督作に『モノクロームの少女』(2009年)、『雪の中のしろうさぎ』(2011年)、『ゆめのかよいじ』(2012年)、『フェルメールの憂鬱』(2012年)、『スターティング・オーヴァー』(2013年)、『ゆめはるか』(2014年)、『愛こそはすべて ALL YOU NEED IS LOVE』(2014年)、『花蓮~かれん~』(2015年)、監督作に『鐘楼のふたり』(2011年)、『ジョフクの恋』(2012年)、『ブーケ~a bouquet~』(2013年)などがある。

【写真】映画『レミングスの夏』五藤利弘監督

映画作品情報

映画『レミングスの夏』

《ストーリー》

レミングとは、ねずみのこと。
レミングは自殺しない。レミングは新天地に向かうために、集団で移動して、必死に海や川を渡る。

アキラこと千葉旭、ナギこと南木秀平、それからモトオ、ミト、ヨーコら「レミングス」の仲間達は、中学2年の夏に大きな戦争をする。

その年、茨城県取手の街には、ハサミで小学生に切りつける「ハサミさん」が現れるという都市伝説が広がっていた。

6年前の小学2年生の夏の出来事を機に、二度と戻ることのない楽しかったあの日を取り戻すため、ナギは、人生を賭けて計画を練り上げ、仲間達を誘い、遂に計画を遂行する。
少年少女の固い決意の理由に迫っていく、青春ミステリー。

 
出演: 前田旺志郎、菅原麗央、遠藤史人、桃果、瑚々、平塚麗奈
椋田涼、たくみ稜、大桃美代子、田中雅美、モロ師岡、城之内正明、中村ゆり、田中要次、渡辺裕之、スネオヘアー
 
監督・脚本: 五藤利弘
原作: 竹吉優輔 『レミングスの夏』(講談社文庫)ⓒ竹吉優輔/講談社
 
エグゼクティブプロデューサー: 染谷明、宮本澄江 
ゼネラルプロデューサー: 城之内景子
プロデューサー: 西田宣善
協力プロデューサー: 狩野善則、小林良二
 
音楽: スネオヘアー 撮影監督: 谷基彦(JSC) 照明: 庄山徹
録音: 宋晋瑞 美術: 中谷暢宏 助監督: 富澤昭文
編集: 曽根剛、五藤利弘 制作担当: 谷口昭仁
ヘアメイク・スタイリスト: 岩橋奈都子 
制作・配給: オムロ 制作: OneScene
宣伝・配給: 渋谷プロダクション
後援: 取手市・取手市教育員会・牛久市・牛久市教育委員会
2017年 / DCP / stereo / 98分
 
2017年10月1日(日)よりユーロライブ他全国順次公開!
 
映画公式サイト

公式Twitter: @lemmingsnonatsu
公式Facebook: www.facebook.com/eiga.lemmings/

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