映画『九月の恋と出会うまで』山本透監督インタビュー

【写真】映画『九月の恋と出会うまで』山本透監督インタビュー

映画『九月の恋と出会うまで』

山本透監督インタビュー

ごく普通の男性が好きな女性を救うために何ができるのか

「書店員が選んだもう一度読みたい恋愛小説」第1位に選ばれた、松尾由美の人気小説「九月の恋と出会うまで」が実写映画化された。映画『九月の恋と出会うまで』である。主人公の北村志織は引っ越したばかりの部屋で「1年後の未来」からの声を聞く。その声は隣人の平野と名乗り、奇妙なことを頼んできた。半信半疑で引き受けた志織は現在の平野とも知り合い、恋に落ちていく。

【画像】映画『九月の恋と出会うまで』メインカット

運命的な出会いをした主人公を演じるのは、本作が初共演となる高橋一生と川口春奈。意外にも高橋一生は恋愛映画の主演は本作が初めてという。メガホンをとったのは『探検隊の栄光』(2015年)、『猫なんかよんでもこない。』(2016年)、『わたしに××しなさい!』(2018年)の山本透監督。独特な世界観を持つ原作をどうアレンジしたのか。作品のコンセプトなどを山本透監督に聞いた。

―― 松尾由美さんの同名小説が原作です。初めて読んだときの感想はいかがでしたか。

純粋なラブストーリーですね。映画化を前提に読んだので、ファンタジー要素をどれくらい抽出すべきなのかといったことも頭の片隅にありました。タイムスリップといえば、普通は本人が体ごといきますが、この作品は声だけがタイムスリップする。声だけというのはどうやって描いたらいいのか。映像化は意外に難しいかもしれないと思いました。

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―― 原作はラブストーリー、ファンタジーやサスペンスの要素を織り交ぜた独特な世界観で構成されています。映画ではその辺りのバランスをどのようにしたのでしょうか。

大人が観られるラブストーリーにしようと思っていました。ファンタジーやサスペンスは要素ですね。パーツに過ぎません。

【画像】映画『九月の恋と出会うまで』場面カット4

―― 脚本に監督も含めて3人の名前が入っています。

今回の場合はまず、草野翔吾さんが原作の中から映画のコンセプトに合う部分を抽出して第一稿を書き、そこに山田麻以さんが女性目線を加えました。その上で僕がブラッシュアップしたのです。作品によっては僕が最初から書くときもあります。

映画の脚本は第一稿があがってきたら、足りないものは何かを考え、それを加えることができる人に入ってもらってブラッシュアップさせる。一人の人間が書き上げる作品もありますが、僕の作品の場合は複数の人が関わって作り上げていくことが多いですね。

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―― 平野の「男はみんな奇跡を起こしたいと思っている」というセリフが印象に残りました。

もちろん、すごく大事なセリフです。ただ、作品の主題はファンタジー的な奇跡ではありません。平野は志織を想い、それまで破れなかった自分の殻を破る。その結果、奇跡のようなことが起きました。

ごく普通の男性が好きな女性を救うために何ができるのか。これを突き詰めたときに起きる人間のピュアな部分を描き、映画化するときの武器にしたかったのです。それがストレートであればあるほど、映画の純度があがります。

【画像】映画『九月の恋と出会うまで』場面カット1

―― 平野や志織が住んでいるマンションが素敵でした。

室内はセットですが、建物そのものは本物です。花を植えたり、ベンチを置いたりして外観に変化を加えました。

【画像】映画『九月の恋と出会うまで』場面カット3

―― 平野と志織の部屋は間取りが同じですが、雰囲気はまったく違いますね。

平野は普通の人よりも好きなものが突出してたくさんあるので、小説にしても、レコードにしても、膨大な量を部屋に飾っています。後は室内の灯りの色を変えていて、志織は暖色系のオレンジベース、平野はブルーなどの寒色系をベースにして雰囲気を変えました。

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―― これから作品をご覧になる方々にひとことお願いいたします。

僕はこれまで、お客さんがどれだけ気持ちよく映画館を出られるかということを大事にしてきました。ビターエンドやホラーはダメなんです。苦さを重視する作品もありますけれど、僕はそういう作家ではありません。見た人が気持ちよくなれるハッピーエンドのものを作りたい。そして、少しでもポジティブなものを熱量として伝えたい。この映画はラスト10分にいろいろな謎が解け、平野は最後にやっと自分の言葉で想いを告げます。その温かさをたくさんの人に感じていただけたらうれしいです。

[インタビュー: 堀木 三紀 / スチール撮影: 坂本 貴光]

プロフィール

山本 透(Toru Yamamoto

1969年3月20日生まれ、東京都出身。大学を卒業後、フリーランスの助監督として多数のドラマや映画にかかわる。2008年『キズモモ。』で長編映画監督デビュー。2012年『グッモーエビアン!』では、ヒロインの三吉彩花に第67回毎日映画コンクール スポニチグランプリ新人賞をもたらした。近年の監督・脚本作に、『探検隊の栄光』(2015年)、『猫なんかよんでもこない。』(2016年)、『わたしに××しなさい!』(2018年)、待機作に『チャンネルはそのまま!』(3月11日よりNetflix先行配信)など。

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映画『九月の恋と出会うまで』予告篇

映画作品情報

【画像】映画『九月の恋と出会うまで』ポスタービジュアル

《ストーリー》

“未来”が愛する人を消してしまう――時空を超える、一途な想いと切ないウソに涙する。
「一年後、あなたは消えてしまう」――ある日突然、志織に聞こえた“未来からの声”。隣人の平野は謎の〝声の主”を探すため志織と奔走する。愛する人を救うため、タイムリミットが迫る中、平野はある決断をする。

 
出演: 高橋一生、 川口春奈
 
監督: 山本透
原作: 松尾由美「九月の恋と出会うまで」(双葉社刊)
脚本: 草野翔吾、山田麻以、山本透
音楽: 渡邊 崇
配給: ワーナー・ブラザース映画
© 松尾由美/双葉社 © 2019 映画「九月の恋と出会うまで」製作委員会
 

2019年3月1日(金)全国ロードショー!

映画公式サイト
 
公式Twitter: @9koi_movie

この記事の著者

堀木 三紀

堀木 三紀ライター

映画の楽しみ方はひとそれぞれ。ハートフルな作品で疲れた心を癒したい人がいれば、勧善懲悪モノでスカッと爽やかな気持ちになりたい人もいる。その人にあった作品を届けたい。日々、試写室に通い、ジャンルを問わず2~3本鑑賞している。(2015年は417本、2016年は429本、2017年は504本の映画作品を鑑賞)

主に映画監督を中心にインタビューを行っており、これまでにインタビューした監督は三池崇史、是枝裕和、阪本順治、岸善幸、篠原哲雄、大九明子、入江悠、本広克行、荻上直子、吉田照幸、ジョン・ウーなど30人を超える。

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