第30回 東京国際映画祭 アニメーション特集「映画監督 原恵一の世界」原恵一監督インタビュー

第30回 東京国際映画祭(TIFF) アニメーション特集「映画監督 原恵一の世界」

第30回 東京国際映画祭(TIFF)
アニメーション特集「映画監督 原恵一の世界」
原恵一監督に単独インタビュー!

祝!監督人生30年、これからは”楽しい”失言を増やしていきたい。

劇場版『クレヨンしんちゃん』シリーズを筆頭に、数多くの賞を受賞、国内外問わず高い評価を受けている原恵一監督。今年で30周年を迎える東京国際映画祭(TIFF)では、アニメーション特集「映画監督 原恵一の世界」として原監督を大特集!『エスパー魔美 星空のダンシングドール』(1988年)、『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』(2001年)、『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦』(2002年)、『河童のクゥと夏休み』(2007年)、『カラフル』(2010年)、『百日紅 ~Miss HOKUSAI~』(2015年)、初めての実写映画監督作品である『はじまりのみち』(2013年)の計7作品が上映されています。これまでの活動や、イメージボードが解禁となった待望の新作アニメーション映画についてもお話を伺いました。

―― この度は、東京国際映画祭での特集上映おめでとうございます。今回上映となる7作品への思いを聞かせてください。

ありがとうございます。僕が監督になって30年になります。その間に、本当に色んなジャンルの作品を作ってきたなぁと思います。自分でも妙に感心しているところです(笑)。

【写真】原恵一監督インタビュー

―― 今回のアニメーション特集のメインビジュアルを見ても、本当に様々な作品を作られていることがわかります。メインビジュアルの監修は原監督がされたそうですね。

はい。ラフを何点か見て、これがいいと選びました。

―― 映画祭では、観客の皆さんの反応が間近に見えますが、反応はいかがですか?

上映後には拍手をしてくれるし、来てくれたお客さんも楽しんでくれているのではないかと思っています。僕自身も、楽しくトークをやれています。

―― 監督も観客の皆さんと一緒に作品をご覧になることはありますか?

今のところ観ていないですね。自分の作った作品は相当な回数観ているので、いまさら感があります。でも『はじまりのみち』(2013年)は初めての実写映画で、とても思い入れのある作品です。ぜひスクリーンで観たいなと思っています。

【写真】原恵一監督インタビュー

―― 『はじまりのみち』は現在、原監督唯一の実写映画ですね。アニメーションと実写とでは異なる点がたくさんあると思います。特にここは違うなと感じる点を一つ、教えてください。

アニメーションは足し算で作るもので、実写映画は引き算で作るものだと思っています。アニメーションは白い画面に少しずつ絵が浮かび上がりカラーになって声がついていきます。対して、 実写の場合はカメラのフレームに必要のないものはどんどん排除していく、そんな違いがあるような気がします。

―― ちなみに、アニメーションと実写、似ているなと思うことはありますか?

撮影期間中はずっと、何て違うんだろうと思っていました。けれど、ダビングや編集作業になると「同じだなぁ」と思いましたね。同じように「”映画”を作っているんだ」と思ったので、全然違和感は感じなかったです。

―― 今回の特集は「映画監督 原恵一の世界」ですが、原監督がご自身の作品で、大切にしてる世界観やこだわりは何ですか?

自分に嘘をつかずに作品を作ることです。商業映画の監督は、出資者やプロデューサーから映画の方向性など色々言われます。でも、どこかで引かなければならない一線というのがあります。それを守らないと自分らしい作品にはならないと思うんです。不本意な物を作ることはしたくない、といつも思っています。作品ごとに譲れない物は違いますが。

【写真】原恵一監督インタビュー

―― 新作アニメーション映画のイメージボードが解禁となりましたね。差し支えない範囲で新作について教えてください。

僕にとって初めての本格的なファンタジー映画です。お客さんに大サービスをしたいと制作中です。子供から大人まで、広い観客層を考えています。その人達をみんな、映画の上映中はたっぷり楽しませて、気持ちよく帰ってもらえるような作品を目指しています。ぜひ楽しみにしていてください。

―― イメージボードに描かれている自転車と少女が印象的です。少女を主人公にした王道冒険ファンタジーとのことですが、この自転車も何か大きな役割を果たすのでしょうか?

秘密です(笑)。それも含めてお客さんに大サービスが待っている作品です。

第30回 東京国際映画祭(TIFF) アニメーション特集「映画監督 原恵一の世界」

―― 今回の東京国際映画祭では、原監督のお話を直接聞ける機会がたくさんありました。このような機会を今後も楽しみにしている方々に、一言メッセージをお願いします。

最近は、観た人がすぐに感想を発信できるようになりました。トークショーなどでも、登壇する側も発言に気をつけるようになってきてしまっています。無難なことしか言わなくて面白くないなと思います。僕自身も不用意な発言で誰かを傷つけたいなんてことは思っていません。しかし、あまり気を遣いすぎて優等生的なことばかり言っていても面白くないですよね。僕はもう58歳で、若くはありません。なので、徐々に失言を増やしていこうと思っています。もちろん、それによる炎上騒ぎなんかは避けたいですけど、お客さんはそういう話を聞きに来ていますから。わざわざ観に来て監督の話を聞いて、身になった「面白かった!」と思ってもらえるようなことが伝えられればいいなと思っています。

【写真】原恵一監督インタビュー

―― インタビューを終えて

ゆっくり丁寧に話をして下さる原監督は、揺るがない自分軸を持つ方だと思いました。そんな原監督が、監督人生30年を迎えた今、私達観客を「楽しませる」ことによりこだわった最新作が、ますます楽しみです。

[スチール撮影: 平本 直人 / インタビュー: 宮﨑 千尋]

監督プロフィール

原 恵一 (Keichi Hara)

1959 年、群馬県出身。『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』(2001年)、映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦』(2002年)が、大人も泣けるアニメ映画として高い評価を受ける。その後『河童のクゥと夏休み』(2007年)、『カラフル』(2010年)、2013 年には実写映画『はじまりのみち』を監督。『百日紅~Miss HOKUSAI~』(2015年)は、アヌシー国際アニメーション映画祭やシッチェス・カタロニア国際映画祭など、国内外で多くの主要アニメーション賞を受賞し、世界的に高い評価を得ている。

アニメーション特集「映画監督 原恵一の世界」

 第30回 東京国際映画祭(TIFF) アニメーション特集「映画監督 原恵一の世界」
©藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 1988 ©藤子プロ/シンエイ ©臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2001 ©臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK ©2007 小暮正夫/「河童のクゥと夏休み」製作委員会 ©2010 森絵都/「カラフル」製作委員会 ©2013「はじまりのみち」製作委員会 ©2014-2015 杉浦日向子・MS.HS/「百日紅」製作委員会

この記事の著者

Cinema Art Online

この著者の最新の記事

関連記事

ピックアップ記事

映画 「聲の形」 (こえのかたち)

2016-10-23

映画 「聲の形」 (A Silent Voice)

カテゴリー

アーカイブ

Feedlyで購読

follow us in feedly

YouTube Channel

Google+

Facebook

Twitter でフォロー

ページ上部へ戻る