国連UNHCR 難民映画祭2017 記者会見レポート

国連UNHCR 難民映画祭2017 記者会見

国連UNHCR 難民映画祭2017 記者会見レポート

“観なかったことにできない映画祭” 全国6都市で開催!

国連UNHCR 難民映画祭2017 ポスター今年も難民を題材にした作品を集めた映画祭「国連UNHCR 難民映画祭」が9月30日(土)から11月12日(金)まで、全国6都市(東京・札幌・名古屋・大阪・福岡・広島)にて開催!8月1日(火)より事前申込みがスタートした。

2006年から12年目にあたる今回は、シリアの作品が多く、東京会場では、多くの映画祭で受賞歴のあるアキ・カウリスマキ監督の日本初上映作品『希望のかなた』や、全6都市では、シリアを逃れて難民となった子どもたちの現実を4Kカメラで撮影した『シリアに生まれて』など、13作品が無料上映される。

日本記者クラブで行われた記者会見では、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)駐日代表のダーク・へべカー氏と特定非営利活動法人 国連UNHCR協会 事務局長の星野守氏の挨拶から始まった。

UNHCRとは、1950年に設立されたスイス・ジュネーブに本部を置く国連の難民支援機関で、難民や避難民を国際的に保護や支持している。1954年と1981年には、ノーベル平和賞を受賞し、約6,770万人の支援対象者に約125カ国で援助活動を行なっている。

ダーク・へべカーUNHCR駐日代表は、流暢な日本語で世界の難民を取り巻く状況について次のように語った。

【写真】国連UNHCR 難民映画祭2017 記者会見 ダーク・へべカーUNHCR駐日代表

「今、私たちは先が見えない大変な時代を生きています。難民など家を追われた人々の数は、かつてないほどの規模になっています。その数は、イギリスの人口以上です。解決されないままの紛争が続いているうえに、新たな紛争が起き、飢餓、災害も発生し、UNHCRと世界の人道支援組織は第二次世界大戦後、最大のチャレンジに直面しています。毎日3万人以上が家を追われているのです。とくに女性と子どもたちが大変な思いをしています。生命を救い、難民に希望と未来を提供することは、ひとつの国や政府、組織だけではできません。世界全体が力を合わせて、この状況の緩和につとめなければなりません。」

【写真】国連UNHCR 難民映画祭2017 記者会見 ダーク・へべカーUNHCR駐日代表

「日本は、世界の紛争地域から地理的には遠くにありますが、とても多くの貢献をして下さっています。みなさまの ご支援に心から感謝しております。今後とも、日本からのあたたかいご支援を続けていただきたく、どうぞお願い申し上げます。日本のみなさまに、難民についてより多くを知っていただくために、この映画祭では、多くを失ってしまったが、希望を忘れない人々のストーリーをお届けします。このストーリーを通じて、みなさまにぜひご自身が難民の立場になったら、どうなるか想像していただきたいです。」

【写真】国連UNHCR 難民映画祭2017 記者会見 ダーク・へべカーUNHCR駐日代表

「今晩は、『シリアに生まれて』をご覧いただきます。シリアから逃れた7人の子どもたちの作品です。これから10月(9月30日)以降、全国6都市にて、このドキュメンタリーをはじめ多くの作品をご覧いただきます。日本のみなさまに、難民の置かれた状況を決してシリアだけではない現実を知っていただきたいです。これらの映画によって、何を感じていただけるでしょうか。理解が深まることによって、日本から世界の難民問題の理解や支援がさらに進むことでしょう。ありがとうございました。」

【写真】国連UNHCR 難民映画祭2017 記者会見 ダーク・へべカーUNHCR駐日代表

「日本はもう少し難民問題に目を向けて取り組むべきだ」という思いが強くあったという星野守事務局長からは、2016年の国内の寄付の額が28億円を超えたことに厚く礼を述べるとともに、世界の支援活動の必要額75億970万米ドルに対して、調達額44億3,560万米ドルと59%にとどまっており、大変な資金不足の現状も訴えた。その必要額はこの5年で倍増し、年々深刻化しているという。

【写真】国連UNHCR 難民映画祭2017 記者会見 国連UNHCR協会  星野守事務局長

また、明るいニュースとしては、シリア難民から2020年の東京オリンピックを目指す水泳アスリートのユスラ・マルディニ(19才)さんが、史上最年少のUNHCRの親善大使として、8月末に来日し、自らの難民としての経験や希望、挑戦する心を伝える予定だ。

国連UNHCR 難民映画祭2017の見どころ

紛争の状況を最前線から配信する形のドキュメンタリー作品が増えて、難民という状況に置かれている一人ひとりの異なるストーリーを映画を通じて伝えている。以前であれば、プロの戦場カメラマンやテレビ局が制作していたが、今は紛争国の当事者が自分たちで撮影し、クオリティの高い編集によって、高く評価される作品を作っている。ヨーロッパが舞台の受け入れ国の目線で難民問題をとらえた作品も増えている。

『シリアに生まれて』(原題: Born in Syria)

シリアに生まれて

ニュースでしか知らない難民問題について、映画の子どもたちを通してリアルに触れることができる作品である。今回は、全都市にて上映されるので、難民問題と聞いて想像がつかない方に先ず観ていただきたい作品である。

《ストーリー》
2011年以降、シリア危機によって故郷を後にした数百万人もの人々や、その多くは子どもである。ヨーロッパへと向かう長く過酷な道のりや周辺国の難民キャンプ、ようやくたどり着いた見知らぬ土地にて、子どもたちは何を想うのか。爆撃により負傷し、家族と生き別れて、子どもとしての時間も奪われて、それでも新たな希望を胸に抱いて生きる7つの小さな生命にカメラが丁寧に寄り添っている。

全都市上映 ★日本初上映!
2017年ゴヤ賞 長編ドキュメンタリー賞ノミネート
 
監督:エルナン・ジン / デンマーク、スペイン / 2016 年 / 86分 / ドキュメンタリー / 言語:アラビア語、クルド語、フランス語、ドイツ語、スペイン語 / 字幕:日本語、英語
© 2016 Contramedia Films / La Claqueta PC
 

『ウェルカム トュ ジャーマニー(仮)』(原題: Willkommen bei den Hartmanns)

ウェルカム トゥ ジャーマニー(仮)

ドイツはドイツ憲法に政治的に迫害を受けた何人を保護する義務を規定している。敗戦直後から1950年代に、労働力として連行されて故郷に帰らなかった元捕虜や強制労働者などの戦争難民、東欧諸国から追放されたドイツ系移民の子孫など、約1,650万人の難民を受け入れている。現在も積極的に難民を受け入れているドイツを舞台にした東京会場のオープニング作品。

《ストーリー》
ミュンヘンの高級住宅地に暮らすハルトマン一家は、裕福な4人家族。最近、教師を引退した妻のジェシカは、医師で夫のリチャードの意思に反して、家に難民を受け入れることに決める。ハルトマン家にやってきた難民申請中のナイジェリア青年ディアロ。彼はすぐに家族と仲良くなるが、一家とともに偏見やテロの嫌疑など、思わぬ試練に直面することになる。積極的な難民受け入れ国であるドイツを舞台に、人と人との絆を描く、笑いと涙の感動作。

東京会場のみ上映 ★日本初上映!
2018年 正月第2弾、シネスイッチ銀座にて公開決定!
2017年 ドイツ映画賞 作品賞ノミネート、観客賞受賞
 
監督:サイモン・バーホーベン / ドイツ / 2016 年 / 116分 / ドキュメンタリー / 言語:ドイツ語 / 字幕:日本語 / 配給:セテラ・インターナショナル
© 2016 WIEDEMANN & BERG FILM GMBH & CO. KG / SENTANA FILMPRODUKTION GMBH / SEVENPICTURES FILM GMBH
 

『希望のかなた』(原題: The Other Side of Hope)

希望のかなた

前作『ル・アーヴルの靴みがき』に引き続き、難民との出会いをテーマにした巨匠カウリスマキ監督が独特のユーモアと弱者への温かいまなざしで、今日の難民問題に一石を投じる。今回も35ミリフィルムで撮影している。

《ストーリー》
戦禍のシリアを逃れて、フィンランドにたどりついたカーリドは、難民申請が却下されて、強制送還されることになる。収容施設を抜け出して、路上生活を送る中で差別や暴力にさらされる。ある日、レストランを営むヴィクストロムに助けられて、店員として働くことになる。

東京会場のみ上映 ★日本初上映!
2017年 第67回ベルリン国際映画祭 最優秀監督賞
2017年 12月ユーロスペースにて公開決定!
 
監督:アキ・カウリスマキ / フィンランド / 2017年 / 98分 / ドラマ / 言語:フィンランド語、英語、アラビア語 / 字幕:日本語 / 配給:ユーロスペース
© SPUTNIK OY, 2017
 

『アレッポ 最後の男たち』(原題: Last Men In Aleppo)

アレッポ 最後の男たち

それぞれ仕事を持った、家では普通のお父さんだった彼らが国内避難民となり、命を削ってでも家族を守り、その中でさえ、人生を味わって生きる姿を映したホワイトヘルメット(シリア国内で人命救助活動をする民間の防衛隊)のドキュメンタリー。

《ストーリー》
シリアの街アレッポは、今日もまた昼夜を問わずに爆撃が続く。人々が逃げ惑う中、誰よりも早く瓦礫の中から生存者を救うために、爆撃地へ向かうホワイトヘルメットの男たちの姿がある。彼らにも守るべき家族がいる。自らの命を懸けて、家族を危険にさらしてまで、そこにとどまるべきか否か、筆舌につくしがたい苛烈な戦闘地で人々がみせる勇気と他者への人間愛を描く。

2都市(東京・大阪)上映 ★日本初上映!
2017年 サンダンス映画祭 ワールド・シネマ ドキュメンタリー・コンペティション部門 審査員大賞グランプリ
 
監督:フィアース・ファイヤード / デンマーク、シリア / 2017年 / 104分 / ドキュメンタリー / 言語:アラビア語 / 字幕:日本語、英語
© Aleppo Media Center

 

★その他のラインナップ

[記者会見撮影: Cinema Art Online UK / 記者: おくの ゆか]

 

《国連UNHCR 難民映画祭2017 記者会見情報》

■日時: 2017年8月1日(火)
場所: 日本プレスセンタービル 10階ホール
■登壇者: 国連難民高等弁務官(UNHCR)駐日代表  ダーク・ヘベカー、特定非営利活動法人 国連UNHCR協会事務局長  星野守

 

国連UNHCR難民映画祭2017 概要

日本で唯一「難民」を題材にした作品を集めた映画祭
「国連UNHCR難民映画祭2017」が9月30日より開催!

2017年8月1日(火)より、事前申込開始!

■開催日程: 2017年6月22日(木)~ 6月25日(日)
■上映会場: 有楽町朝日ホール、TOHOシネマズ 日劇
■主催: 主催:ユニフランス
■公式サイト: http://unhcr.refugeefilm.org
■公式SNS
・Twitter:
twitter.com/unhcr_rff
・Facebook: www.facebook.com/unhcrrff/
・Instagram: www.instagram.com/unhcr_rff/
 
■スケジュール
東京: 2017年9月30日(土)、10月1日(日) スパイラルホール
    2017年10月2日(月)~6日(金) 渋谷ユーロライブ
    2017年10月7日(土)~9日(月・祝) イタリア文化会館
札幌: 2017年10月14日(土)、15日(日) 札幌プラザ2.5
名古屋: 2017年10月21日(土)、22日(日) イオンシネマ大高
大阪: 2017年10月28日(土)、29日(日) 大阪ナレッジシアター
    2017年10月28日(土)、29日(日) 朝日生命ホール
福岡: 2017年11月4日(土)、5日(日) レソラNTT夢天神ホール
広島: 2017年11月11日(土) 広島平和記念資料館「メモリアルホール」
    2017年11月12日(日) 広島国際会議場「ヒマワリ」
 
■主催: 国連難民高等弁務官(UNHCR)駐日事務所、特定非営利活動法人 国連UNHCR協会
■パートナー: 独立行政法人 国際協力機構(JICA)
■国連UNHCR難民映画祭 上映作品(一部)
 

【国連難民高等弁務官(UNHCR) 駐日事務所について】
UNHCR駐日事務所は、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が、現在世界約125カ国に置く事務所のひとつです。本部はスイスのジュネーブにあります。主に日本政府との窓口を務めています。難民に関する政治的・政策的な問題に関する政府やメディアとのコミュニケーションはUNHCR駐日事務所が担っています。
URL:  www.unhcr.org/jp

【特定非営利活動法人 国連UNHCR協会について】
国連UNHCR協会は、日本におけるUNHCRの公式支援窓口として2000年に設立されました。UNHCR駐日事務所と連携しながら、UNHCRの活動を支えるための広報・募金活動を行っています。皆さまからのご寄付に対して、税控除の領収証を発行することができる認定NPO法人です。
URL: www.japanforunhcr.org

この記事の著者

おくの ゆか

おくの ゆかライター

映画好きの父親の影響で10代のうちに日本映画の名作のほとんどを観る。
子どものときに観た『砂の器』の衝撃的な感動を超える映像美に出会うために、今も映画を観続けている。

★好きな映画
『砂の器』[監督: 野村芳太郎 製作: 1974年]
『転校生』[監督: 大林宣彦 製作: 1982年]
『風の谷のナウシカ』[監督: 宮崎駿 制作:1984年]
『硫黄島からの手紙』(Letters from Iwo Jima) [監督: クリント・イーストウッド 製作: 2006年]

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