第29回 東京国際映画祭「サーミ・ブラッド」 監督&主演来日記者会見

第29回 東京国際映画祭「サーミ・ブラッド」 記者会見 アマンダ・ケンネル監督 & レーネ=セシリア・スパルロク

第29回 東京国際映画祭 (TIFF)
コンペティション部門出品作品『サーミ・ブラッド』
監督 アマンダ・ケンネル & 主演 レーネ=セシリア・スパルロク 来日記者会見

10月30日、第29回東京国際映画祭コンペティション部門出品作品『サーミ・ブラッド』の記者会見がTOHOシネマズ 六本木で行われ、来日したアマンダ・ケンネル監督、主演女優のレーネ=セシリア・スパルロクが会見した。

本作は、スウェーデン北部の美しい自然を舞台に劣等民族と呼ばれ差別的な扱いを受けてきたサーミ族の少女の運命とスウェーデン史のダークサイドを描いたスウェーデン=デンマーク=ノルウェー合作映画である。

記者会見は、スウェーデンから来日したアマンダ・ケンネル監督の挨拶から始まり「皆さんこんにちは、本当にこのような場に来れて非常に嬉しく思っておりますし、東京国際映画祭に出品できたことを非常に嬉しく思っております。私にとっては初めての長編作品となるので、なおさらこのような場で皆さんに観ていただけることを非常に嬉しく思っています。」と挨拶した。

第29回 東京国際映画祭「サーミ・ブラッド」 記者会見 アマンダ・ケンネル監督 & レーネ=セシリア・スパルロク

「ご自身がサーミ族ということが作品を生み出す原動力となったのでしょうか?」という司会の質問に、ケンネル監督は「私自身もそうですが家族も親族もサーミ族ですので色んな話を聞いました。多くの親族はサーミ族であることを嫌っているんですね。ですけど彼らはもちろんサーミ族として生まれ、最初に話していた言語もサーミ語なのですが、この映画の中と同じように寮制の学校に通って、サーミ語を話してはいけないスウェーデン語を話せと教育を受けます。そういう背景の親族がいることもあり、昔からこのようなストーリーの映画を作りたいと思っていました。そして、アイデンティティを消し去るといことはどういうことなのであろうか。自分の文化・言葉・伝統を全部忘れて違う人間であるということはどういうことなんだろう、という問いが映画を製作するきっかけになったと思います。」と語った。

続いて、ケンネル監督と同じサーミ族である、ノルウェーから来日した主演のレーネ=セシリア・スパルロクは、迫真の演技の秘訣について「もちろん監督に助言を貰いながらというのはありますが、私も歴史のことはよく理解していますしサーミ族や文化、そしてアイデンティティを捨てるということを近くで見ていましたので、それが助けてくれたのかなと思っています。実際に映画に登場する妹は私の実の妹ですので、そういう意味では非常にやりやすく安心して演技ができたので助けられた一つの要因かなと思っています。」と振り返った。

第29回 東京国際映画祭「サーミ・ブラッド」 記者会見 レーネ=セシリア・スパルロク

また「土地の権利の問題がまだ解決しておらず、非常に狭い土地の中で生活しておりトナカイを飼って生活している人々にはとても経済的に苦しい面があります。そのような問題と”何千年も前から受け継がれている伝統を引き継いでいかなければいけない”ということに非常にプレッシャーを感じてしまって自殺してしまう子供たちが多くいるのも映画で訴えていかないといけない。」と明かした。

女優の仕事以外で実際にトナカイを飼育しながら暮らしているというサーミ族のレーネ=セシリア・スパルロクは「映画の中で(主人公の)エレ・マリヤは全て捨て去っていくのですが、私自身はサーミ族の伝統や文化が大好きですし誇りに思っており、自分のアイデンティティであり伝統は非常に重要なことだと思っています。サーミ族では私達の世代から”初めて伝統や文化に誇りを思えるようになった”のではないのかなと思っています。」と語った。

Cinema Art Online の質問に監督が回答!

第29回東京国際映画祭(TIFF)公式の作品解説の中に「支配階級と劣等民族の構図はまだ存在します。映画はスウェーデン史の暗部を書いていますが、でも基本的には、同様なことが現在でも難民キャンプで暮らす誰かに起こりうるのです。」といった監督の言葉があり、具体的にどういった現実があるのか質問した。

第29回 東京国際映画祭「サーミ・ブラッド」 記者会見 アマンダ・ケンネル監督

この質問に難民キャンプを題材とした映画を作ったことのあるケンネル監督は「やはり難民キャンプの子供たちはキャンプの中でしか暮らさないので、キャンプ外の人間と全く交流する機会がないのです。キャンプの中に学校があり、同じくにの中にいますが完全に線が引かれているということと、サーミ・ブラッドという映画も同じなんですね。若い子たちが自分のアイデンティティであったり、そのアイデンティティを無くしたいい、もしくは恥じている、自分たちがどのように見られているんだろうかということが当事者である若い彼らには大きく影響してると思います。1930年代当時はそれが正しいと思われていましたが今は違う時代の流れがあります。私の映画ではある意味で難キャンプで過ごしてる人と気持ちと相通ずるものがあるのかもしれません。」と答えてくれた。

最後に二人がお揃いで身に着けている“銀の首飾り”はサーミ族の伝統的なアクセサリーであることを明かし会場を後にした。

[記者: 清野 奨 / 撮影: Cinema Art Online UK]

 
© 2016 TIFF

記者会見概要

日時: 2016年10月30日(日)
会場: TOHOシネマズ六本木 スクリーン6
登壇者: アマンダ・ケンネル(監督)、レーネ=セシリア・スパルロク(女優)
司会進行: 笠井 信輔(フジテレビ アナウンサー)

映画作品情報

第29回 東京国際映画祭(TIFF) 公式サイト

この記事の著者

清野 奨Webデザイナー/エディター/ライター

1988年、東京生まれのWebサイト制作者です。

★好きな映画
『ファイト・クラブ』 (Fight Club) [監督: デヴィッド・フィンチャー 製作: 1999年]
『メメント』 (Memento) [監督: クリストファー・ノーラン 製作: 2000年]
『インセプション』 (Inception) [監督: クリストファー・ノーラン 製作: 2010年]

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