映画『ワンダーストラック』トッド・ヘインズ監督舞台挨拶イベントレポート

【写真】トッド・ヘインズ監督、鈴木福&鈴木梨央

映画『ワンダーストラック』
トッド・ヘインズ監督来日舞台挨拶

「デヴィッド・ボウイの楽曲が使えてうれしい」とヘインズ監督
ゲストの鈴木福と鈴木梨央が英語で質問

トッド・ヘインズ監督最新作『ワンダーストラック』が4月6日(金)に公開される。 本作では、居場所を失くし、大切な人を探して旅に出た別々の時代の少年と少女が、行く先々で “驚きと幸せの一撃=ワンダーストラック”に遭遇する。ヘインズ監督が初めてティーンを主人公に迎え、ふたつの時代を行き来する壮大な世界観で人生という名のワンダーランドを創り上げた。

【画像】映画『ワンダーストラック』メインカット

公開に先立ち、ヘインズ監督が来日して舞台挨拶を行った。『ベルベット・ゴールドマイン』(1998年)のプロモーション以来、20年ぶりのことである。さらに、映画の主人公と同世代となる鈴木福と鈴木梨央がヘインズ監督へのプレゼントを持って登場!昨年中学に進学し、英語を学び始めた二人はハリウッドの名匠ヘインズ監督に英語でアタックした。

脚本の素晴らしさに魅かれて映画化を決めた
2人の子どもの話が同時に描かれてところに注目!

「素敵で美しい街である東京に20年ぶりに戻ってくることができて本当にうれしい」と笑顔を見せたヘインズ監督。ブライアン・セルズニックの原作を映画化しようと思ったきっかけについて「原作の前に脚本を読んだが、脚本が本当に素晴らしく描かれていた」と話す。 注目してほしいところを尋ねられると「ブライアン・セルズニックの作品は想像力を刺激し、子どもの可能性を追求したものが多い。私はこれまでの作品でそこに焦点を当てたことがなかった」と過去作を振り返り、「今回は2人の子どもの話がなぜ、同時に描かれているのかを注目してほしい」と語った。

【写真】トッド・ヘインズ監督

ヘインズ監督が語ったように、本作では50年のときを経て、2人のキャラクターが核になり、話が行ったり来たりして描かれている。少女は最初から聴覚障害を持ち、少年は途中から聴覚障害になった。少女のパートはサイレントで描かれ、主人公のローズを演じたミリセント・シモンズや何人かは実際に聴覚障害を持つ俳優である。その意図については「作品に真実味や彩りを与えたかった」とし、「全米でオーディションを行ったが、聴覚障碍者に限定するとプロではなくアマチュアになってしまう。責任と重要性を考えて探した。ミリセント・シモンズはカメラの前で自然に演技ができ、私たちの望んでいたものをすべて叶えてくれた。才能のある子です」とミリセント・シモンズを称えた。

【画像】映画『ワンダーストラック』メイキング

さらに「サイレント映画の時代には、聴覚障碍者が実際に配役されていた。彼らは身体を使った表現が非常に豊か。そういった部分を生かしたかった。また、この映画と聴覚障害を持つ人たちとの結びつきを強いものにしたかった」と話した。

また、劇中で使われているデヴィッド・ボウイの「スペイス・オディティ」に対する思いを聞かれると「デヴィッド・ボウイの曲が大好き」と前置きしたうえで、「グラム・ロック時代を描いた『ベルベット・ゴールドマイン』の時は権利の関係で使えなかった。今回はボウイの財団から許可をもらい、使うことができた。夢が叶うには時間がかかる」とした。

【写真】トッド・ヘインズ監督

ゲストとして鈴木福、鈴木梨央が登壇!
「2人を主人公にして日本でリメイクを作りたい」とヘインズ監督

イベントの半ばで主人公と同年代の鈴木福、鈴木梨央もゲストとして登壇。ヘインズ監督に咲き始めたばかりの桜の花束とオオカミのぬいぐるみをプレゼントした。

【写真】鈴木福&鈴木梨央、トッド・ヘインズ監督

まず鈴木福がスムーズな英語で自己紹介と映画の感想を述べた。ヘインズ監督への質問になると「えー、なんだっけ?」と言葉を詰まらせてしまったものの「俳優を続けていくために最も大切なことは何ですか?」と質問。ヘインズ監督は「たくさんの映画に出演し、いろいろな役にチャレンジして、自分のやりたいことをいつも情熱を持って、一生懸命にやることが大切」とアドバイス。鈴木福は「サンキュー」と答えた。

【写真】鈴木福

続いて、鈴木梨央は手話を交えながら英語で「こんにちは、鈴木梨央13歳です。この映画からいろいろなことを学びましたが、その1つが幸せになるには勇気が重要だということです」と挨拶。ヘインズ監督は手話も使って挨拶したことに驚いてから、鈴木梨央の髪形と服装が「作品の少女にインスピレーションを受けたものと聞いた。ミリセント・シモンズも喜んでいると思う」と話すと、鈴木梨央は恥ずかしそうに「ありがとうございます」と答えた。

【写真】鈴木梨央

続いて、司会が鈴木福、鈴木梨央にワンダーストラックな体験を尋ねた。鈴木福は歳の離れた弟や妹が生まれたうれしさを、鈴木梨央は2016年のカンヌ国際映画祭で『リトルプリンス 星の王子さまと私』(2015年)の吹き替えキャストとして、赤い着物を着てレッドカーペットを歩いたことを挙げた。

【写真】鈴木福&鈴木梨央

ここで、ヘインズ監督が鈴木福と鈴木梨央にデヴィッド・ボウイの「スペイス・オディティ」のLPレコードをプレゼント。司会者が2人にデヴィッド・ボウイを知っているかと尋ねると「映画の音楽ですよね」と鈴木福が答えたが、「映画の前には知らなかった」と答え、レコードについても、「お店で見たことはあるが、手に取るのは初めて」と世代の違いを感じさせた。司会者が「レコードプレーヤーは持ってきていないのですか?」とヘインズ監督に振ると、ポケットを探るふりをして「ポケットには入っていないです」とおどけ、「このレコードはデヴィッド・ボウイのキャリア初期のころ。デヴィッド・ボウイはどんどん変化していった。変化した姿は見たことがあるんじゃないか」と続けた。

【写真】鈴木福&鈴木梨央、トッド・ヘインズ監督

イベントの最後にヘインズ監督は「鈴木福くんと鈴木梨央さんに来てもらって本当にうれしい。2人を主人公に日本でリメイクを作りたい」とにこやかに答えた。そして「この作品は自分が最も信頼するスタッフと一緒に心を込めて撮りました。子どもたちが想像力を広げるきっかけになるものであると同時に、ニューヨークに対するラブレター。映画への愛が込められています。音声よりも映像で伝えました。楽しんでください」とイベントを締めくくった。

【写真】トッド・ヘインズ監督

 [記者: 堀木 三紀  / スチール撮影: Sayaka Hori]

 
 

イベント概要

<映画『ワンダーストラック』トッド・ヘインズ監督舞台挨拶イベント>

■日程: 2018年3月20日(火) 
■場所: 神楽座
■登壇者: トッド・ヘインズ監督、鈴木福、鈴木梨央
■MC・通訳: サッシャ、寺岡歩美(J-WAVE STEP ONEナビゲーター) 

【写真】トッド・ヘインズ監督

映画作品情報

《ストーリー》

いつだって、人生は驚きと幸せのワンダーランド
1977年、ミネソタ州ガンフリント。12歳のベン(オークス・フェグリー)は、母エレイン(ミシェル・ウィリアムズ)を交通事故で亡くし、伯母の家で暮らしている。父とは一度も会ったことがなく、母は「いつか話すから」と言いながら、なぜか父の名前すら教えてくれなかった。 ある嵐の夜、母の家に秘かに戻ったベンは、「ワンダーストラック」というニューヨークの自然史博物館の本を見つける。中にはキンケイド書店のしおりが挟まれていて、「愛を込めて、ダニー」と記されていた。きっと父親だと直感して書店にかけようとした電話に、雷が落ちてしまう。病院で意識を取り戻したベンは耳が聞こえなくなっていたが、父親を探すためにニューヨークへと旅立つ。 何とかキンケイド書店を見つけるが、店は閉店していた。途方に暮れたベンは、声をかけてきた少年ジェイミー(ジェイデン・マイケル)のあとをついて行き、自然史博物館に辿り着く。

1927年、ニュージャージー州ホーボーケン。生まれた時から耳の聞こえないローズ(ミリセント・シモンズ)は、大きな屋敷に父と使用人たちと暮らしていた。支配的な父とは心が通わないローズにとって、女優のリリアン・メイヒュー(ジュリアン・ムーア)の映画を観て彼女の記事を集めることだけが心の支えだった。 ある日、リリアンがニューヨークの舞台に出演すると知ったローズは、彼女に会いに行こうと決意し、ひとりで船に乗る。兄のウォルター(コーリー・マイケル・スミス)が働く自然史博物館にも行ってみたかった。ローズはリリアンが稽古中のプロムナード劇場を探しあてるのだが──。

 
第70回カンヌ国際映画祭 コンペティション部門正式出品
 

原題・英題: Wonderstruck

監督: トッド・ヘインズ 
脚本・原作: ブライアン・セルズニック
製作: クリスティン・バション、パメラ・コフラー、ジョン・スロス
エグゼクティブ・プロデューサー: ブライアン・ベル、サンディ・パウエル
撮影: エドワード・ラックマン
編集: アフォンソ・ゴンサウヴェス
美術: マーク・フリードバーグ
音楽: カーター・バーウェル
衣装: サンディ・パウエル
出演: オークス・フェグリー、ジュリアン・ムーア、ミシェル・ウィリアムズ、ミリセント・シモンズ
2017年 / アメリカ / 英語 / カラー / 5.1ch / スコープ / 117分 / 字幕翻訳:松浦美奈 
配給: KADOKAWA

© 2017 AMAZON CONTENT SERVICES LLC
 
2018年4月6日(金)より
角川シネマ有楽町、新宿ピカデリー、
ヒューマントラスト渋谷他 全国ロードショー!
 
映画公式サイト
 
公式Facebook: @wonderstruck.jp 
 

この記事の著者

堀木 三紀

堀木 三紀ライター

映画の楽しみ方はひとそれぞれ。ハートフルな作品で疲れた心を癒したい人がいれば、勧善懲悪モノでスカッと爽やかな気持ちになりたい人もいる。その人にあった作品を届けたい。日々、試写室に通い、ジャンルを問わず2~3本鑑賞している。(2015年は417本、2016年は429本、2017年は504本の映画作品を鑑賞)

主に映画監督を中心にインタビューを行っており、これまでにインタビューした監督は三池崇史、是枝裕和、阪本順治、岸善幸、篠原哲雄、大九明子、入江悠、本広克行、荻上直子、吉田照幸、ジョン・ウーなど30人を超える。

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