映画『万引き家族』是枝裕和監督凱旋帰国記者会見レポート

【写真】映画『万引き家族』是枝裕和監督凱旋帰国記者会見

映画『万引き家族』第71回カンヌ国際映画祭パルムドール受賞!
是枝裕和監督凱旋帰国記者会見

是枝裕和監督、トロフィーと共に凱旋!
「このトロフィーは一晩ぐらいは抱いて寝ようと思っています」

日本人では1997年の今村昌平監督の『うなぎ』以来、21年ぶりの快挙​!5月9日(水)から19日(土)にフランス・カンヌで開催された第71回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門にて、これまで『そして父になる』(2013年)、『海街diary』(2015年)、『三度目の殺人』(2017年)のメガホンを取った是枝裕和監督の最新作『万引き家族』が最高賞のパルムドール賞を受賞した。

【画像】映画『万引き家族』メインカット

5月23日(水)の夜、東京・羽田空港の「TIAT SKYHALL」にて、カンヌから帰国直後の是枝監督による凱旋帰国記者会見が行われた。

【写真】映画『万引き家族』是枝裕和監督凱旋帰国記者会見

多くのマスコミが会見場で待ち構える中、沢山のフラッシュを浴びながら、トロフィーを抱えて登場した是枝監督は「ようやく帰って、スタッフのにこやかな顔をみたら、実感が湧いてきました。来月の公開に向けて、宣伝活動を始めなければならないので、気合を入れないとなと思っています(笑)」とコメント。その後、記者からの質疑応答を受けた。

―― 日本に帰国して、改めて受賞したことに対しての気持ち、そして帰宅したら何をしたいか?

大きな賞であることが、本日このようにお越しいただいたマスコミの方の数をみてわかります。実感が湧くのはこれからだと思います。シャワーを浴びて一息ついたところですが、LINEやメールが山のようにたまっているので、お礼の返信をしたいと思います。

【写真】映画『万引き家族』是枝裕和監督凱旋帰国記者会見

―― 最高賞(パルムドール)を受賞したことによって、TVや映画の製作者としての心情の変化はあったりするのか?

変わらないです。スタンディングオベーションをいただいたときも嬉しいけど、TVディレクターの性でつい観察してしまって、純粋に楽しめないんです。それは、僕の強みでもあり、弱点でもありますが、これからも変わらず、TVにも映画にも関わっていきたいと思っています。

―― 『誰も知らない』では柳楽さんが主演男優賞、『そして父になる』では審査員賞は受賞されていますが、今作との反応の違いは?

前のことはあまり覚えていませんが、『誰も知らない』のときも温かったけど、あのときは子供たちの世話で手一杯で、それだけで終わってしまったという印象なんです。宣伝としては大事だけど、拍手の長さというものは本質的なことではないと思っています。しかし、深夜でも熱い反応だったので、それに対しては前向きに受け止めました。公式上映後に受けた取材では、記者たちから「Touch」と「Love」という言葉が一番多かったんです。それで、届いたなと良い手ごたえは感じました。

【写真】映画『万引き家族』是枝裕和監督凱旋帰国記者会見

―― 本作に出演したことで、城桧吏くんが注目を浴びているが、撮影中、城くんに驚かされたことはあるか?

普段は実年齢よりも幼いぐらい子供っぽいのに、レンズを通すと色っぽいんです。僕の演出上、子供には台本を渡さないので、桧吏も理解していない。でも周りの大人をよく観察していて、撮影が進むごとにカット割りを推測し始めたりしていました。そういう観察力が演技に生かされていたと思います。

―― 今後も世界に認められるような映画がつくられていく為に、日本ではどうしていくべきだと思うか?

色んな課題があると思います。現在は、オリジナル脚本で企画が通り映画が製作されることは少ないです。新たな監督たちを生みだすことは、僕にとっても刺激になるので、映像集団をつくり新しい監督をデビューさせようとその支援を始めています。自分の身の回りからできることはやらないととは思っています。

【写真】映画『万引き家族』是枝裕和監督凱旋帰国記者会見

―― 受賞後、NYに少し滞在されていたそうだが、その理由は?

色々差支えがあって喋れないんですけど、近いうちに情報が発表されるかと思います。でも、打ち合わせは上手くいきました。そのときは、受賞してよかったなと思いましたね(笑)。

―― 名だたる監督の作品がある中で自分の作品が受賞された理由について、是枝監督の分析は?

分析というのは、自分で自分の作品を褒めることにもなりますよね?自慢げに聞こえるようで嫌ですが・・・(苦笑)。でも、授賞式のあと映画祭公式のディナーの場で、審査員長を務められたケイト・ブランシェットさんに、授賞式後の公式記者会見の際にも仰っていただいたことと同様「演技、監督、撮影などトータルで素晴らしかった」と改めて言っていただきました。また、安藤さんの芝居についても熱く語っていて、彼女の泣くシーンがとにかくすごかったと。「今後、私も含め今回の審査員を務めた俳優の中で、今後あの泣き方をしたら、彼女の真似をしたと思って」と仰っていて、その会話から虜にしたんだなとよくわかりました。元々付き合いのあるチャン・チェンは、「家族が見えない花火をみんなで見ているカットが素晴らしかった」と言ってくれました。他それぞれの方たちとのやりとりが、審査員というよりは、シンプルに作品によって心を動かされたと言ってくれている感じで、良い時間でした。

【写真】映画『万引き家族』是枝裕和監督凱旋帰国記者会見

―― トロフィーは、NYへは持っていかず誰かに預けていたのか?再び自分の手元に返ってきたことへの気持ちは?

NYに持っていくには、筋肉痛が昨日やっとなおってきたくらい重すぎて(苦笑)。スタッフに渡して金庫に預けていたので、今日再会しました。思い出したのが、『誰も知らない』のときは、記者会見で柳楽くんにトロフィーを渡すといった感じのやりとりがあったと思いますが、今回は自分の手元に返ってきたといった感じ。一晩くらいは、抱いて寝ようと思います(笑)。

【写真】映画『万引き家族』是枝裕和監督凱旋帰国記者会見

―― 映画の中で注目してほしいポイントは?

今回役者のアンサンブルがとてもうまくいきました。自分なりの子供への演出と演出も担える樹木さんとリリーさん、安藤さん、松岡さんも相手の演技を受けるのが上手でバランスがよかった。撮影している中で、惚れ惚れするくらいの演技もみせてくれたりと、監督としてはとても恵まれた環境で撮れたと思っています。

―― 映画が出来上がった際に、手ごたえはあったか?

役者が素晴らしかったです。ケイトさんも仰っていた安藤さんの泣くシーンは、カメラの脇で立ち会っていても特別な瞬間だと感じましたし、そんなことが他にも何度もありました。いろんな意味で化学反応も起こり、良い映画が出来たと実感はしましたね。

【写真】映画『万引き家族』是枝裕和監督凱旋帰国記者会見

記者会見では、この度のパルムドール受賞を記念して先行ロードショーが6月2日(土)と3日(日)に行われることが決定したほか、全国200館公開予定を300館へと拡大、海外の149の国と地域に配給が決定し、是枝監督書き下ろしの同名小説も5月28日(月)の発売を前に3万部の重版が決定したことなどが発表された。

映画『万引き家族』は、6月8日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開される。

[スチール撮影: 坂本 貴光 / 記者: 蒼山 隆之]

イベント概要

<映画『万引き家族』是枝裕和監督凱旋帰国記者会見>

■日程: 2018年5月23日(水) 
■場所: 羽田空港国際線ターミナル 出発ロビー4階 「TIATSKYHALL」
■登壇者: 是枝裕和監督

【写真】映画『万引き家族』是枝裕和監督凱旋帰国記者会見

映画『万引き家族』予告篇

映画作品情報

【画像】映画『万引き家族』ポスタービジュアル

《ストーリー》

高層マンションの谷間にポツンと取り残された今にも壊れそうな平屋に、治と信代の夫婦、息子の祥太、信代の妹の亜紀の 4 人が転がり 込んで暮らしている。彼らの目当ては、この家の持ち主である初枝の年金だ。足りない生活費は、万引きで稼いでいた。社会という海の底を這うような 家族だが、なぜかいつも笑いが絶えず、互いに口は悪いが仲よく暮らしていた。 冬のある日、近隣の団地の廊下で震えていた幼い女の子を、見かねた治が家に連れ帰る。体中傷だらけの彼女の境遇を思いやり、信代は娘として 育てることにする。だが、ある事件をきっかけに家族はバラバラに引き裂かれ、それぞれが抱える秘密と切なる願いが次々と明らかになっていく──。

 
第71回カンヌ国際映画祭 コンペティション部門 パルムドール受賞
 
邦題: 万引き家族
英題: shoplifters
 
原案・監督・脚本・編集: 是枝裕和
音楽: 細野晴臣(ビクターエンタテインメント)
出演: リリー・フランキー、安藤サクラ、松岡茉優、池松壮亮、城桧吏、佐々木みゆ、緒形直人、森口瑤子、山田裕貴、片山萌美、柄本明、高良健吾、池脇千鶴、樹木希林
配給: ギャガ
2018年 / 日本 / カラー / 
© 2018『万引き家族』製作委員会
 
2018年6月​8日(金)​
TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー!
 
映画公式サイト
 
公式Twitter: @manbikikazoku
公式Facebook: @manbikikazoku

この記事の著者

Cinema Art Online

この著者の最新の記事

関連記事

カテゴリー

アーカイブ

YouTube Channel

Google+

Twitter

ページ上部へ戻る