BEST SHORT FILM FES 2016 上映作品紹介&イベントレポート
BEST SHORT FILM FES 2016 (BSFF2016) Supported by SONY 2017.4.8 sat @ Loft9 Shibuya

BEST SHORT FILM FES 2016 開催!

2016年度 BESTショートフィルムを一挙上映!
無いなら作ってしまおう!熱い思いが生んだ!ありそうでなかった短編映画祭

2017年4月8日(土)、カンヌ国際映画祭をはじめとする海外の映画祭や日本国内の各映画祭の受賞作品、さらには米国アカデミー賞受賞作品など、2016年に注目を集めた短編映画の中から選りすぐりの作品を一堂に会する、上映イベント「BEST SHORT FILM FES 2016」が東京・渋谷の「LOFT9 Shibuya」で開催された。

本イベントは、毎年数多くの作品が制作され各地の映画祭などで高い評価を得てもなかなか一般の方の目に触れる上映機会に恵まれない短編映画の現状から、NHKでクリエイティブ・ディレクターとして大河ドラマ「真田丸」や連続テレビ小説「ひよっこ」のオープニング映像等を手がけ、自身も短編映画も数多く制作する佃尚能氏が中心となって有志により企画したイベントで、第1部8作品、第2部14作品(全22作品)の上映ほか、第1部に『半落ち』の佐々部清監督と、第2部に『湯を沸かすほどの熱い愛』の中野量太監督をゲストに招いたトークセッションも行われた。当日は駆けつけた映画ファンで立ち見が溢れるほどの満員御礼のイベントとなった。

BEST SHORT FILM FES 2016 (BSFF2016) @Loft9 Shibuya

第1部 上映プログラム紹介&イベントレポート

描きたいのは「人間ドラマ」。佐々部監督が語る登場人物の作りこみは短編映画ほど難しい。

第1部ではオープニング作品として第89回 米・アカデミー賞 短編実写部門受賞作品『SING/合唱』(監督:クリストフ・デアーク)、モントリオール世界映画祭 グランプリ作品『 ボイスレス 』(監督:デイビッド・ウロス)の上映をはじめ、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭 グランプリ作品『かたすみの鱗』、TOHOシネマズ学生映画祭 グランプリ作品『あたしだけをみて』(監督:見里朝希)、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭 グランプリ作品『こんぷれっくす×コンプレックス』(監督:ふくだみゆき)のアニメーション部門3作品、さぬき映画祭 グランプリ作品『 中年よ、神話になーれ! 』(監督:頃安祐良)など、ご当地映画+アクション部門3作品が上映された。

開催直前にCinema Art Onlineが単独取材したインタビューの際、プログラムディレクターの佃尚能氏が「バラエティ豊かな作品を集めた」と話していたが、ここまで振り幅が大きいとは思わなかった。心があっちこっちに動き、ドキドキ・イライラ・ほっこり・キュンキュンなど、いろいろな感情を思い起こすことができた第1部であった。

 

【オープニング作品】

『SING / 合唱』(クリストフ・デアーク監督)

映画 「合唱」(Sing)

第89回 アカデミー賞 短編実写部門受賞
SHORT SHORT FILM FESTIVAL&ASIA 2016 グランプリ
 

10歳の転校生、ジョフィーは合唱団に入ったことをきっかけにクラスの人気者であるリザと仲良くなる。合唱団をまとめているエリカ先生は美人で優しいと評判だったが、ジョフィーの告白でエリカ先生の裏の顔を知ったリザ。大人が語る「世の中の不公平」に合唱団が立ち向かう。

 

『ボイスレス』(La Voce)(ディビッド・ウロス監督)

映画 「ボイスレス」(La Voce)

第40回 モントリオール世界映画祭 グランプリ
​第11回 札幌国際短編映画祭 グランプリ & 最優秀監督賞
 

豚肉の加工場で働く男。ある女性に恋をしたが、裏切られた悲しみで奇妙な現象が起きるようになる。だが、悲しみで心がいっぱいなのは男だけではなかった。全編モノクロで現実とも虚構ともいえる独特な世界観を描き出している。衝撃的な映像が、迫力あるオペラと共に圧倒的な存在感で映し出される。

 

【アニメーション部門】

『かたすみの鱗』(石谷恵監督)

ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2016 グランプリ
福井映画祭10TH グランプリ
 

大人になると思い出さなくなる記憶。決して忘れたわけではなく、心の奥底に隠れているけど、日々の生活には必要ない。なくても生きていける記憶。でも、ふとしたきっかけで心の表面に出てくるととても大切な記憶だったことに気付く。誰しも1つは持っているそんな体験を、優しいタッチのアニメーションで描いている。

 

『あたしだけをみて』(見里朝希監督)

映画 「あたしだけをみて」

第10回 TOHOシネマズ学生映画祭 ショートアニメーション部門 グランプリ
第28回 東京学生映画祭 アニメーション部門 グランプリ
 

ストップモーションアニメーション。ファミレスに行ったら隣で繰り広げられていたかのような、若いカップルの身近なテーマを、アニメーションだからこそ描ける展開で切り取っていく。本当に大事なのは目の前にいる人なのに、それをいつのまにか忘れてしまう。彼女の怒りは彼の対応の写し鏡。

 

『こんぷれっくす×コンプレックス』(ふくだみゆき監督)

映画 「こんぷれっくす×コンプレックス」

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2016 アニメーションコンペティション部門 グランプリ
FOXムービー短編映画祭2016 最優秀賞 & 観客賞

 
ふくだ監督自身の体験を元に作られたという「わき毛アニメ」。くすっと笑ったり、ギャハハと声をあげたり、キュンと甘酸っぱい気持ちになったり、切なさがこみ上げたり。いろいろな感情が映し出される25分。「変な子!でもこんな子いるかもしれない!」と思わせてくれる主人公の中学生、ゆいちゃんの細やかなわき毛への愛情を感じる。

 

【ご当地映画+アクション部門】

『中年よ、神話になーれ!』(頃安祐良監督)

映画「中年よ、神話になーれ!」

さぬき映画祭2017 グランプリ
 

息子の目から見た主人公のおやじは認知症だけど、毎日楽しそう。大好きだったおふくろと出会った18歳の自分に戻っているからだ。アニメオタクだったというおやじとおふくろ。出会った頃と変わらない気持ちの2人にもやがて別れの時が訪れる。香川県で実際に投稿されたエピソードを頃安監督が映画化した作品。

 

『テンプル・ナンバー・ゼロ』(松本卓也監督)

映画「テンプル・ナンバー・ゼロ」

那須ショートフィルムフェスティバル2016(第10回那須アワード2016)グランプリ
ちちぶ映画祭2016 観客賞
 

埼玉県秩父市に住む中学3年生のユウスケとアツシ。学校で漫才をしていたはずの2人は目を覚ますと、まったく知らない人たちと知らない場所に来ていた。そこには、オオババ・コババと呼ばれる「0番札所」の管理人だと名乗る2人組がいた。その場所こそ、秩父の札所34ヶ所をすべて回った人の中で選ばれた人だけが呼ばれるという幻の札所で、何でも1つ願いをかなえてくれるという。集まったみんなが願ったこととは……。

 

『歴史は男で作られる』(小暮法大監督)

映画「歴史は男でつくられる」

シネマジャンクション2016 グランプリ

待つことがとことん嫌いな一流の殺し屋。ぼやぼや待っていたら敵にやられてしまう。だから赤信号も待たない。だから時々、車に轢かれる。車に轢かれた殺し屋は、ボスからラブホテルで待機しろと命令される。もちろん待つのはごめんだ。メイド服の風俗嬢はいくら待っても来ない。来ないならこちらから向かうまでだ。しかし、松葉杖で向かった先に待っていたのは風俗嬢だけではなかった。

 

【第1部 トークセッション】

ゲストに『半落ち』で日本アカデミー賞(最優秀作品賞・優秀監督賞・優秀脚本賞)を受賞された佐々部清監督を迎え、【アニメーション部門】3作品と【ご当地映画+アクション部門】3作品についてトークセッションが行われた。

【アニメーション部門】

普段アニメーション作品はほとんど観ないという佐々部監督。今回は大きなスクリーンで観たことによって、新たな魅力を発見されたようだ。

佐々部監督:『こんぷれっくす×コンプレックス』は中身のインパクトが強すぎた!なるほど、アニメだとこういうテーマが面白く描けるんだと作った監督がどんな人か見てみたくなった。

『あたしだけをみて』は、街中で若いカップルの、こういう場面をよく見るんだよ。自分の映画の一場面にも落とし込みたいけど、どうやったらいいかなと思っていたら、この作品のように直球で描くという方法もあるのかと勉強になった。

BEST SHORT FILM FES 2016 (BSFF2016) 第1部トークセッション

 

【ご当地映画+アクション部門】

佐々部清監督は、山口県や群馬県などの地方で多く撮影をされているが、ご当地映画部門の作品は地域の観光映画を作るというより、人間ドラマをどのように描けているかという観点でご覧になられたようだ。

佐々部監督: 僕は、人物像を作りこんで、最後に感動を与えられるような作品を作りたいと思っている。短編映画は、長編映画よりも凝縮した時間の中で作りこまなければいけないから大変だけれど、「何のためにその映画を作るのか」を考えて作らないと、観る人には伝わらない。

『中年よ、神話になーれ!』は、夫婦の大事なエピソードがもっと盛り込めていたら良かったし、『テンプル・ナンバー・ゼロ』は主人公の青年たちの漫才をきちんとしたものを見せないといけないし『歴史は男で作られる』はモノクロ映画にした意味がきちんとしていて、もっと人が描かれていればより良い映画になったと思う。

どれだけお芝居をさせずに、よりリアルに近づけるかということを大切にされているという佐々部監督。第1部の短編映画の感想からも「人物像の作りこみ」の徹底が、映画を作る際のキーワードとなっていることが覗えた。

BEST SHORT FILM FES 2016 (BSFF2016) 佐々部清監督

第2部 プログラム紹介&イベントレポート

人間不在はもったいない。中野監督、短編映画でも大切にしたいのは“人間の機微”

第2部ではBSFF2016の発起人である佃 尚能監督の『私とわたし』の上映をはじめ国内実写部門5作品、お題を与えられてから脚本、撮影、編集と、すべての映画製作の過程を48時間以内で行い、1本の短編映画を完成させるという映画製作コンペティション「The 48 Hour Film Project」から3作品、「SONY PROFESSIONAL MOVIE AWARD」受賞作品5作品、そして特別招待作品として、第69回カンヌ国際映画祭 短編部門 パルムドール受賞作品『TIME CODE』(監督:フアンホ・ギメネス)が上映された。

 

【第2部 トークセッション】

ゲストの中野量太監督(映画『湯を沸かすほどの熱い愛』で、2016年日本アカデミー賞の多数の賞を受賞)と各作品の監督・俳優陣のトークセッションに会場が湧いた。

中野量太監督は、自主映画が注目され、資金をえて長編作品を制作するチャンスを勝ち取った。自身は完全に、プロになるために(短編自主映画を)撮っていたという中野量太監督は「多額の資金を出してもこれは撮らしてやりたい、そう思ってもらえるものを作ってきた」。後半には「(今回の映画祭の作品達に)そこまでの強さはあるのか?」という疑問が中野量太監督から投げかけられる場面も。映画ファンはもちろん、クリエイターにとっても刺激的なイベントとなったに違いない。中野量太監督の、ピリッと辛さを含んだ講評は的確で、会場でも多くの頷きが見られた。各作品と中野量太監督のひとこと講評を紹介する。

BEST SHORT FILM FES 2016 (BSFF2016) 中野量太監督

 

【国内実写部門】

『私とわたし』(I & Myself)(佃尚能監督)

L.A. Shorts Awards(February 2017) ワールドプレミア上映
作品賞・主演女優賞・メイクアップ賞・監督賞受賞

 
「私は、わたしが嫌い」1日の失敗を思いながら、帰宅電車の中で暗い表情の私。自宅最寄り駅には、私と同じ顔をした別人の“わたし”が待っていた。彼女に誘われるがまま夜の街に繰り出すと、寿司職人、店員、Barのママ、お客のギャル、熱唱するシンガーソングライターなどなど様々な“わたし”が現れる。私以外のわたしは、どこか皆、楽しそうにキラキラ輝いていて……。主演女優が一人八役をも演じわけた。第70回カンヌ国際映画祭での上映が決定している。

中野監督: すごく上手。ダメだった自分が元気になる、映画の基本である成長記が描かれている。シンプルだけどコマーシャルみたいに感じるのは、上手に最後が終わり過ぎているからかもしれない。

 

『N.O.A』(下向拓生監督)

映画「N.O.A」

第4回 クォータースターコンテスト グランプリ

​第4回 MKE映画祭 グランプリ、Director of Directors賞 & はんどめいど賞受賞

人工知能の(おそらく)アプリであるN.O.A.と、持ち主である男の、車中会話劇。車の発進を拒むN.O.A.は、恋人の命を奪った人物を、男が殺しに行こうとしていることに気が付いていた。検索ワードや心拍数など、機械のN.O.A.ならではの観察眼も盛り込みながら、男の心中が明らかにされていく。15分カメラを回し続ける、ワンカットの手法で撮影されている点も注目だ。

中野監督コメント: ワンカットが挑戦的。ほとんど同じ場所での映像なのに、飽きずに見れるのがすごい。機械のN.O.Aが実は一番人間味があるのかも。主人公の気持ちを一番わかっているからこそ行かせないのが人間的だ。よくできている、でも、映像はきたない(笑)

 

『ピノッキオ』(土肥耕作監督)

第9回 したまちコメディ映画際 グランプリ
 

アパートの一室で繰り広げられる、友人二人の何気ない日常の一コマ。のように見える、が、実は二人にはそれぞれ秘密がある。陽気な眼鏡の男は、おもむろに服を脱ぎ捨て秘密を暴露する。秘密を教えるよう迫られた、漫画を読み続ける暗い男は、嘘をつくと鼻が伸びるのだと神妙な面持ちで陽気な友人に告げる。まさかありえない、そう笑い話になるかと思いきや、強烈な光がさして暗い男が連れていかれる。

中野監督コメント: ねらい通りに作っている映画。途中、冷静な方の彼は宇宙人だという秘密は言わないけれど、結果「ああ」なる。最後のありえなさも、ま、いっかと思える。人間がちゃんと描かれているからだ。

 

『アレルギー』(ヒョン・スルウ監督)

映画「アレルギー」

福岡インディペンデント映画祭(FIDFF) 2016 グランプリ

 
主人公は、就職活動中の女の子。部屋の模様替えを手伝ってほしい、仲のよい友人達に電話をかけるも月曜日のため、誰も手伝ってくれそうにない。そんな中、あいつがいるじゃないかと名前があがった一人の同級生(男)。二人の関係は明確にはわからない。部屋の模様替えをしながら、ぽつぽつとわかってくる部分もあるが、微妙な距離感のまま、タイトルにあるアレルギーの意味もどこかぼんやりと終わる。

中野監督コメント: 男にイライラしながら見ていた。あの二人の関係性はいったい何なのか。大好きだ!とは言えない感じだが、これはこれでいい。

 

『100年の謝罪』(渋谷悠監督)

第15回 ダラスアジアン映画祭 最優秀短編ドラマ賞
第58回 ロチェスター国際映画祭 Best of the Fest賞

 
田舎町で、みんなを元気にするお医者さん、父は少年の自慢だった。しかし、無邪気に覗いた診療所で少年は、父の浮気現場を目撃してしまう。父から謝罪はなく、言い訳ばかりを繰り返すしまつ。少年は大人になり自分の家庭を持った。読まないまま捨てたはずの父からの手紙は、少年本人も知らぬまま、妻の手によって子供たちのタイムカプセルにいれられていた。長い時を経て、手紙は孫の手に渡る。

中野監督コメント: 100年を短編で作る意気込み、大きな挑戦をやっていてよい。残念ながら、人間が不在で、誰の気持ちを引っ張ればいいのかわからない。絶対にお父さんのことが許せなかった、ことへの説得力があったらこの映画はすごい。

 

【48時間+SONY部門】

『鼻歌』(Humming)(佃尚能監督)

映画「鼻歌」"Humming"

Tokyo 48 Hour Film Project 2015 Best Film
​第69回 カンヌ国際映画祭 正式上映作
 

トランペット奏者の主人公は、東京から地元へ夢半ばに帰ってきた。路上ライブで稼いだ小銭で入る銭湯には、楽しいメロディをハミングする女性がいる。彼女の鼻歌を思いだし演奏すると、振り向かなかった街の人々が足をとめ、帽子の中にはお札も入るようになる。喜んだ男は、音楽プロデューサーと名乗る人物に尋ねられて、思わず、この曲は自分の作ったものだと言ってしまう。

中野監督コメント: 佃さんは、応援歌のような映画が好きなんですね。『私とわたし』もこれも、どちらも応援してくれる映画。ただ、重要なはずの、観客も足をとめる曲のよさの違いがよくわからない。観ている僕らも「おっ!」となるような、どれだけ曲が変わったのかを意識するとよかった。

 

『paradaise』(大澤健太郎監督)

映画「paradaise」(パラダイス)

Tokyo 48 Hour Film Project 2016 Best Film
第70回 カンヌ国際映画祭 上映予定作品
 

恐らく近い未来の世界、通販番組でたやすく手に入る”paradise”は、理想の世界を楽しめる装置だ。パッとしないブロガーで、彼女との関係も上手くいかない男が”paradise”の世界に現実逃避する。かわいい女の子がみんな、自分を羨望の眼差しで見つめてくる夢のような場所に、男は知らず知らずどっぷりとのめりこんでいく。

中野監督コメント: 僕なんかは絶対(作ることが)無理な面白さ、すごさはある。しかし、設定勝負になってしまっている感は否めない。僕は、人間の心の機微を描くのが映画だと思う。

 

『ガチャガチャ/GACHA GACHA』(松本動監督)

映画「ガチャガチャ / GACHA GACHA」

Tokyo 48 Hour Film Project 2016 最優秀観客賞 & 最優秀撮影賞
第70回カンヌ国際映画祭 上映予定作品
 

セイヤさんは、真面目で、気弱そう。前の席にやってきた年下新人のイケメンに無駄にトキめいてしまう、どこにでもいる年配女性だ。誕生日の夜、見知らぬオジサンから勧められ、ドラマのような体験が叶うガチャガチャを1度回す。手に入れたのは、気になっていたイケメンと過ごす自宅でのディナータイムのプレゼントだった。しかし、魔法の様なその時間は、イケメンとガチャガチャのオジサンが企てた殺人計画のためのものだった。だが、その殺人計画も更なる計画の前座に過ぎなかった。

中野監督コメント: こんなものはありえないな、と思った。あーゆー人がいるかもしれない、というところまで嘘をつき続けてほしい。

 

BSFF2016 SONY PROFFESSIONAL MOVIE AWARD 受賞作品

『君が教えてくれたこと。』(長濱えみな監督)

SONY PROFESSIONAL MOVIE AWARD グランプリ受賞作品
 

監督の弟に起きた出来事のドキュメンタリー。お腹の中にいるわが子に、片足がないことがわかった時、どんな思いだっただろう。子供に向けた「片足がないから何ができるんだろう」と考えてほしい、という言葉は、単語は人それぞれ違うだろうが自分ごととして誰もが思えることだろう。

中野監督コメント: 受賞作品のいくつかはドキュメンタリーだから、安心して見れる。ありえない世界を見せられると人は苦しいものがある。映画の虚構に入りこめるように、本物をとらなければならない。

 

【特別招待作品】

『TIME CODE』(フアンホ・ギメネス監督)

映画「TIME CODE」

協力:なら国際映画祭
第69回 カンヌ国際映画祭 短編部門パルムドール受賞
スペイン・アカデミー賞 (ゴヤ賞) 最優秀短編賞
 

駐車場で昼夜反対の監視員として働く男女。客の車のランプが壊れていたことをきっかけに、女は男の秘密を知る。「お疲れさま」「また、明日」そんな言葉のルーティーンのみだった二人の関係は、秘密を共有することで変化し始める。「短編は長編映画の足がかりではない」とする監督の魂がこめられている。最後の台詞に、ニヤリ、自然と笑みがこぼれる人は少なくないだろう。

中野監督コメント: 「これを観れただけで今日は満足」というぐらいよかった。何かいい。素晴らしい。ああいうことが、ありそうな気がして見えるじゃないですか。全然嘘だと思わず観れる、そこはすごい。(Cinema Art Onlineの独自インタビューによるコメント)

あとがき

インターネットのみの告知だったにも関わらず、満員御礼、大盛況で幕を閉じたBSFF2016。なかなか目にする機会がない短編映画を、数多く観れるだけでなく、作り手の思いや作品の裏側を垣間見ることができた。2017年度はもちろん、翌年、そのまた翌年と長く続けていってほしい。

[スチール撮影&編集: Cinema Art Online UK / 記者: 大石 百合奈、宮﨑 千尋]
[協力: BEST SHORT FILMS FES 2016

 

イベント情報

BEST SHORT FILM FES 2016

■開催日: 2017年4月8日(土)
■会場: Loft9 Shibuya
■第1部ゲスト: 佐々部清監督
■第2部ゲスト: 中野量太監督
■総合MC: 松尾敏伸、大須みづほ
■プログラムディレクター: 佃 尚能

BEST SHORT FILMS FES 2016 公式サイト

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