映画『愛がなんだ』公開記念舞台挨拶レポート
【写真】映画『愛がなんだ』公開記念舞台挨拶 (岸井ゆきの、成田凌、深川麻衣、若葉竜也、今泉力哉監督)

映画『愛がなんだ』公開記念舞台挨拶

岸井ゆきの、成田凌が丁寧に演じた、恋愛の温度差。
このキャストだからこそ撮れた“刺さるシーン

直木賞作家・角田光代の傑作恋愛小説を恋愛映画の旗手今泉力哉監督が映画化した『愛がなんだ』が4月19日(金)より全国公開!

公開2日目の4月20日(土)、テアトル新宿にて、公開記念舞台挨拶付きの上映が行われた。

【画像】映画『愛がなんだ』メインカット

本編上映後に行われた舞台挨拶には、主人公テルコを演じた岸井ゆきの、テルコが一方的に想いを寄せるマモル役の成田凌、テルコの親友・葉子役の深川麻衣、葉子に好意を持つ青年ナカハラ役の若葉竜也、今泉力哉監督が登壇。上映後の興奮冷めやらぬ観客を前に、物語のシーンや展開などにも触れる深い話が繰り広げられた。

イベントレポート

今泉監督: 撮影したのは去年の6月。昨日やっと劇場公開されて、早速映画の反響もきこえてきました。刺さったという感想も思ったよりいただいていて、お客さんに届いては初めて
分かることもあるので、今日観た方はどんな感想を抱くのか、楽しみです。

【写真】映画『愛がなんだ』公開記念舞台挨拶 (今泉力哉監督)

岸井: 原作者の角田さんとお話する機会があったのですが、少しだけキャラクターとかが原作と違うものになっています。「テルコがストーカーならみんな見習った方がいい」とか、映画のテルコとは違うなって。これから原作を読んだらその違いを見つけるのもおもしろいのではないかと思います。

【写真】映画『愛がなんだ』公開記念舞台挨拶 (岸井ゆきの)

成田: 演じているときは主観になるので、マモルの行動は間違ってないと思って演じていますが、映画を観たらやっぱり人でなしだなと思いました(笑)。マモルはクズって言われるのですが、でも本当にやばいのはテルコだから(笑)!

【写真】映画『愛がなんだ』公開記念舞台挨拶 (岸井ゆきの、成田凌、深川麻衣、若葉竜也、今泉力哉監督)

岸井: 友達も、観たあと成田君嫌いになりそうって言っていました(笑)。でも、よくみて、テルコも大分おかしいよ(笑)!

成田: 僕は観た友達みんな若葉君良いねと言っていました。

若葉: みんな同じくらい痛い恋愛してるんですよ(笑)。

【写真】映画『愛がなんだ』公開記念舞台挨拶 (若葉竜也)

深川: 映画を観終わった後、誰も誘導的に悪者に見せないというところが素敵だなと思いました。突き抜けているけれど、言ってるいことは共感できる。魅力的なキャラクタ―達です。

【写真】映画『愛がなんだ』公開記念舞台挨拶 (深川麻衣)

若葉:結構前なので覚えてないことも多いですけど…演じていて恥ずかしかったというのは覚えています。裸をみられているみたいだなって。みんな覚えてるの?

【写真】映画『愛がなんだ』公開記念舞台挨拶 (若葉竜也)

成田: それを今思い出して話す場なの(笑)。

岸井: わたしも忘れちゃったな~(笑)。やっぱりケチャップのシーンは思い出しますね。追いケチャップのシーン。監督が「(役ではなく素の)成田出ちゃった」っておっしゃていて。私もその時の反応は、岸井が出ちゃいました(笑)。

成田: かっこよくはないよね。アドリブです。

今泉監督: 身長差があるので肩に顎を載せてとは言ったのですが…その後何かやってるぞって。

成田: 終わってすぐにカットをかけないからですよ!

今泉監督: すぐにカットしないのが信条なので(笑)。

成田: 僕が印象に残ってるのは冷蔵庫の前でのキスシーンですね。監督に「今にキスじゃ岸井さんは芝居できない」って言われて。

今泉監督: 追いケチャップの話題から逃げようとしてる(笑)。意味的にはそうですけど、そんな成田のキスが良くないみたいなことは言っていなくて、僕はOK出したんですが、普段はやり直しなんて求めない岸井さんが「愛情がないというのはわかっているけれど、肉体としても求められてない感じがして、テルコとしては悲しすぎる」と。そう伝えてもう一度やったら今度は成田の熱量がありすぎて、それは違う、熱量があっても眼だけは死んでいてと言って調整しました。

【写真】映画『愛がなんだ』公開記念舞台挨拶 (今泉力哉監督)

成田: さじ加減が難しかったです。一個も間違えられないって丁寧に演じました。

若葉: 僕が印象に残ってるのはバーベキューのシーンで成田君がブヨに刺されたこと。笑っていたら自分も耳を刺されていました(笑)。

深川: 私は原作にはなかった写真展のところです。脚本を読んだときも、あのシーンがあるとないとではすごく違うと感じて、とっても好きなシーンです。

今泉監督: ナカハラとテルコは鏡のような存在で、先に諦めて離れたことで葉子が近づくみたいな展開があると、その後のテルコが際立つあるかなと思って入れました。

成田: 編集しているところを見させていただいたのですが、音楽の位置でシーンの雰囲気がガラッと変わるのでハラハラして観ていました。

今泉監督: どの曲をどこにかけるかで変わるので試行錯誤しました。

成田: (観た人それぞれで解釈できる)余白のある映画ですよね。人によって共感する部分や感じ方が違う。

若葉: 俺が共感するのはもちろんナカハラですよ!違うようでも、みんな似ている部分はあると思います。

岸井: テルコって落ち込んでいてもご飯だけは食べれられるのが自分と同じだなと思いました。心とごはんは別!

深川: わたしは葉子ですね。負けず嫌いなところとか、テルコにはアドバイスするのに、自分のことが全然見えてないところとか。

成田: すみれさんはあれぐらい好意を受けてもわれ関せずなのは、わざとなのかなと考えてしまいました。それもある種の優しさなのかなと思います。ちょっとなびいたりとか、言葉で拒否したはせず、テルコも応援するみたいな距離感は考えさせられましたね。

【写真】映画『愛がなんだ』公開記念舞台挨拶 (成田凌)

今泉監督: 昨日感想を調べたのですが、テルコに共感したという声もたくさんあって、あと最後のほうのコンビニのシーンではすすり泣きが聞こえたという話もありました。自分では泣くシーンではないと思って撮っていたのですが、あとからそのシーンの撮影でで、録音部が泣いていたと聞きました。その空気がお客さんにも届いたのかと嬉しく思っています。ほとんど音楽もないし、お芝居をひたすら撮っていったシーンなので、役者さんたちのおかげですね。このキャストだったからこそ、とここまで“刺さるシーン”になったのだと思います。

—— 最後は岸井から、観客に向けてメッセージが送られた。

岸井: みんなでこの日を迎えるため、映画の完成に向けて頑張ってきました。満席で迎えることができてとても嬉しいです。明日、明後日もたくさんの人に見てもらいたいので、ぜひお友達などにも「劇場で見てね」っお話してもらえると嬉しいです。今日はありがとうございました!

【写真】映画『愛がなんだ』公開記念舞台挨拶 (岸井ゆきの)

人それぞれの感じ方を共有することでまた楽しむことのできる映画『愛がなんだ』。劇場で鑑賞した後、自分がどう感じたか、キャストたちの話とあわせて味わいを深めてほしい。

[スチール撮影: Cinema Art Online UK / 記者: 金尾 真里]

 

イベント情報

映画『愛がなんだ』公開記念舞台挨拶

■開催日: 2019年4月20日(土)
■会場: テアトル新宿
■登壇者: 岸井ゆきの、成田凌、深川麻衣、若葉竜也、今泉力哉監督
■MC: 奥浜レイラ

【写真】映画『愛がなんだ』公開記念舞台挨拶 (岸井ゆきの、成田凌、深川麻衣、若葉竜也、今泉力哉監督)

映画『愛がなんだ』予告篇

映画作品情報

【画像】映画『愛がなんだ』ポスタービジュアル

《ストーリー》

28歳のテルコ(岸井ゆきの)はマモちゃん(成田凌)に一目惚れした5ヶ月前から、生活すべてマモちゃん中心。仕事中でも、真夜中でも、マモちゃんからの電話が常に最優先。

けれど、マモちゃんにとっては、テルコはただ都合のいい女でしかない。マモちゃんは、機嫌良く笑っていても、ちょっと踏み込もうとすると、突然拒絶する。今の関係を保つことに必死なテルコは自分からは一切連絡をしないし、決して「好き」とは伝えない。

仕事を失いかけても、親友・葉子(深川麻衣)に冷たい目で見られても、マモちゃんと一緒にいれるならテルコはこの上なく幸せ。テルコの唯一の理解者は葉子に思いを寄せる青年ナカハラ(若葉竜也)。葉子との友達以上恋人未満の関係を壊したくないナカハラは、テルコと同じ悩みを抱え、互いを励ます関係だ。

ある日、朝方まで飲んだテルコはマモちゃん家にお泊まりすることになり、2人は急接近。恋人に昇格できる!と有頂天になったテルコは、頼まれてもいないのに家事やお世話に勤しんだ結果、マモちゃんからの連絡が突然途絶えてしまう。それから3ヶ月が経ったころ、マモちゃんから突然電話がかかってくる。会いにいくと、マモちゃんの隣には年上の女性、すみれさんがいた。

 
原作: 角田光代「愛がなんだ」(角川文庫刊)
監督: 今泉力哉  脚本:澤井香織、今泉力哉
 
出演: 岸井ゆきの、成田凌、深川麻衣、若葉竜也、片岡礼子、筒井真理子、江口のりこ
配給: エレファントハウス
©2019映画「愛がなんだ」製作委員会
 
2019年4月19日(金)より、テアトル新宿他にて全国公開中!
 
映画公式サイト
 
公式Twitter: @ai_ga_nanda

この記事の著者

金尾 真里ライター

神奈川県横浜市生まれ。
「うつし世はゆめ、夜の夢こそまこと」(江戸川乱歩)を座右の銘とし、エンタテインメント全般を愛好。作品の規模、ジャンル問わず、自分が「面白い」と感じる映画の紹介をしたいと映画ライターの活動を行う。キャスティングと物語が好きな映画は『ベニスに死す』、好きな映画音楽は『ロシュフォールの恋人たち』、総合して一番好きな映画は『GSワンダーランド』

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